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気紛れ毒虫になるまえに
- 1. 毒虫になる前に -

喧騒に溢れる教室の中、最早声ひとつひとつが僕の声かどうかさえわからない。
下らない話だった。誰が言った話がどうだとか、下ネタに爆笑したり、誰と誰が付き合っている、とか。
僕を含めて4人。同じ男子が、一緒に笑っていた。

僕は葛西 縁(かさい ゆかり)。
私立中学の2年、Dクラスの学級委員で、軽音部所属。フォーピースバンドでベースを担当している。
会話はツッコミ役に回ることが多く、他人から見れば真面目だとか優しいとか言われるタイプの狡い人間だ。

さて、共に話している3人は、というと。

「だから、鮫島がー」
「いやっ、それはわかってなかったの!!俺下ネタ詳しくねーって、一番わかってんの臨だろ!」
「って、言ったってさー!!はははっ!!!」

最初に喋った髪が短く背の低い男は、桐島 臨(きりしま りん)。
同じ軽音部。ギターのピースを埋めている。
さばさばしていて言いたいことを言う。そして、僕の持論だが人を嫌いやすい。

次に話した目の茶色い外人のような美形の男は、鮫島 寛貴(さめじま ひろき)。
彼も同じ軽音部。ボーカルだ。
彼は生徒会執行部にも所属しており、声がよく通る。だが人に流されやすく、自分の意見を持たない。

最後は、綿橋 錬(わたはし れん)。
こちらはサッカー部。ノリが良く、よく笑うが、少しのわがままが祟ってクラスで嫌われている。

僕以外の2人も、嫌っているのだ。綿橋のことを。

僕は、綿橋のことを嫌ってはいない。
勿論悪口は叩かない。 しかし無論、かばいもしない。

すべて、嫌われたくないから。

自分をかばうためだ。

<2016/07/26 18:07 翼 カラナ>消しゴム
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