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紅き焔を操る妖と夕暮れの神社
- 第十話「結」 -

そして時が流れた…
菊さんの四十九日と、葬儀で会った
楓樹の四十九日は終わり。
今日は…母親が苦手だった少女。
美紀が来ていた。相変わらず…
俺は[お嬢さん]と呼んでいるが。
「でね、お母さんがね…!」
「そっか。良かったね?」
母親は本当に優しくなったらしく、
美紀は笑顔で話していた。
意外と俺は聞き流して、相づちを打つ。
「ねぇ、神主さんは…お母さんは?」
「…んー、神主だから居ないや。」
……苦しい嘘だなぁ。
母親なんて最初から居ないけど。
「へぇー…!そうなんだ!」
…あぁ、そうだった。
この子は5歳程度だ。
実年齢は知らんが。
「そうそう。神主だからねー。」
にこっと笑えば…
同じように、にこにこしていた。
この子は憎むに憎めないなぁ…
それが可愛いけど。
「じゃあ、美紀は帰るね?
お家帰ったらリンゴ食べるの!」
「ん、気い付けてね?
ははっ、良かったね?
よく噛んで食べんだよ~。」
少し笑顔を見せれば
また笑顔を返す。
子供ってそういう者なんだな…
「うん!神主さん、またねー!」
大きく手を振ってきたから、
こっちも少し手を振った。
まぁ、着いていくけどな。
姿を眩ませれば、見送る。
いつまで気付かないかな…
神社までの帰り道は
そんな事を考えながら歩いた。
最近、人と話す機会が多いな。
霊でも生きている人でも。
そして自分が独りきりだと
あまり思わなくなった。
無意識に人と関われるように
なったのだろうな…
きっと。
こんな日々の繰り返しでも良い。
いつか会うつもりの三人と会うのも…
随分と先の未来の話だろうけど。
一日が短いと感じるくらいなのだから…
きっと直ぐ其処にある未来なのだろうな。
一日、一日。
日々を大切にすれば良い。
いつか終わる命を。
いつか終わるだろう世界を。
いつか終わるだろう全てを
大切にしていれば…
後悔はしないと自分は思う。
自分なりの。
自分が思う限りの前向きな発言だ。
神社に着けば、縁側に座り
空を見た。
今更だが、空の高さに気付く。
空は何処までも上に続くから。
無限に広がる世界なんだろうな…
宇宙。
宇宙の話は最早、哲学かもしれない。
…哲学の意味合ってんのか?
まぁいいや。
兎に角、凄い広くて終わらない場所。
それだけ分かれば良いか。
話が唐突過ぎるが、
あまり何もすることないけど…
意外に前向きになってさ。
暇を楽しもう。
こうやって考えるようになった。
ただ暇なだけ。
これが楽しみなんじゃないか?
いや、それは暇なだけ。
こうして…
暇を楽しむ方法を考えて
暇潰しをする訳だ。
これが意外にも楽しかったりする。
飽きたら…
神社の近くで遊んでる子供と
小さな姿に化けて混じって遊んでたり。
こんな感じの毎日。
後は月を眺めたり…
月の満ち欠け記録書いたり。
まぁ、月の満ち欠けは分かるけどさ。
最近やらないけど。
こうやって…日常を頭の中で語るのも
暇潰しの一つだ。
暇だなー…暇だなー…
って、ひたすら頭で思う日もあるけどさ。
まぁ意外に人生…いや、神妖生?
妖生を楽しんでるつもりなんだろうな。
縁側から居間に行き、
気配がしたから…戸を開けた。
「……ん?」
あぁ、君だったか。
「どうした?
…ん、そっか。
寄ってく?」
まぁ…どっちでも良いけど、ね?
寄ってくなら気軽にどうぞ?
…ようこそ、紅魁神社へ。

最終話です。まさか閲覧数が100を
越えてくれるとは…!
読んで戴き、ありがとうございました。
<2016/10/05 03:18 漓夜月 澪>消しゴム
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