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紅き焔を操る妖と夕暮れの神社
- 第七話「焼」 -

夕日煌めく日に紅き焔に惹き入れる妖…
まるで俺を色魔みたいに言ってきたよなぁ…
妖世界は。
“惹き“入れるのではなくてさ。
”引き“入れる…なんだよな。
もしかしたら引きずり込むかもしれない。
うちの神社の中は日本家屋みたいになってて
賽銭箱やら鈴やらが前に置いてあって、
鈴の直ぐ後ろに戸がある。
その戸を開ければ俺の住まい。
普通に縁側もあるし…
玄関を開けたら、でかい鈴と賽銭箱が
あるだけだ。
まぁ、違うと言えば…家の丁度、裏に
一つ部屋があって。
そこに人殺し…じゃねぇや。
夕日の綺麗な日とか…まぁ、居たり
転んだりすれば…
殺したり…するじゃん?
そのための焔が置いてあるわけさ。
俺は居たら、その場で燃やしてから
神聖な真っ白の袋に一つ残らず灰を入れる。
それを持ち帰って、その火に入れる。
実際は其処まで人間を操り連れていき、
部屋に入れば勝手に自分の意識を戻し…
自分から火に入る。
……まるで、飛んで火に入る夏の虫。
その言葉の通りになる。
それは見るのも気が引けるからさ…
俺はその場で焼き尽くす。
つーか…今までさ。
数々の奇妙な奴。
数々の馬鹿な奴。
数々の虐めてた奴。
数々の優しい奴。
数々の綺麗な奴。
数々の虐められてた奴。
…人それぞれ、様々な沢山の人を
焼き付くして消してきたな……
この中で印象深いのは、
誰もいなかったがな。
俺が消したわけではないが、
無視されてた…この前の幽霊。
彼奴が印象深い。
何故に死んだのか…
少し心残りだ。
好き、という訳ではない。
ただ、辛そうに見えて。
ただ…心配。
それだけだった。
何だろうな…これ。
まぁ、いいか。
何故に気になるのかなんて…
彼奴が転生してさ。また会えるって…
必ずではないから。
俺が消した奴は輪廻に戻り、
転生しても同じような人生を歩む。
町も変わらず同じようにな。
ただし、必ず少しは良くなる。
何度も何度も後悔して死んでゆけば
時間が経過するごとに、死ぬたびに、
少しずつ浄化されていくのだ。
まぁ…一度、俺が消して輪廻に戻した奴は
完全浄化するまで同じように俺に
消されるのだがな。ある意味、鳥籠の中の鳥。
うちの神社では童謡の[かごめ]という曲を
大切にされているのだが、
それは俺の仕事だからだ。
籠の中の鳥は、いついつ出やる…は、
焔の中の人は、いついつ出やる…と
解釈する。何度死んでも焔に消される人は
いつ出る事が出来るのか。という意味だ。
今日は…また、俺が殺した誰かが来る日。
「あー…やだなぁ…面倒だなーー…」
…やべ、声に出てた…
……あ、人か…
ふと、鈴の音が聞こえて戸を開けてみた。
…あ、今日死ぬ奴だ。
「…?」
わー、何故か変な表情で見てくる。
まぁ…そうか。
「…あー…えっと、こんにちは…」
「…?こんにちは。」
何だよ、この会話…
何この挨拶。
挨拶だけで何だよ、この冷めた空気…
「…何か用?まぁ、お参りだと思うけど…」
「あぁ、はい。お参り…ですけど。」
「う、うん。そっか。」
…さて。殺るか。
「お参りに来てくれて有難うねー…
まぁ、帰らせないけどさ。」
「…………はぁ?」
「…じゃあね。」
…さて、完了。
灰になるまで待つか。
……よし、出来た。
袋に入れて…っと。
こんな仕事、慣れたくねぇなぁ…
やめたいって気持ちもあるけどさ。
少し好きになったんだよな。
……本当、俺って最低だな。
もう寝よう。今日は誰も来ないから。

そう思えば、戸を開けて
直ぐに布団に入った。

<2016/10/03 15:55 漓夜月 澪>消しゴム
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