「おはよ~公生君!」
「ん……おはよ」
僕が目をうっすらと開くと、目の前には彼女の笑顔があった。
最近は、誰かにおはよう、と笑顔を向けられることはなかった。
久々に見た彼女の笑顔は、朝日と同じくらい眩しかった。僕には眩しすぎるくらい。
僕はこの、太陽みたいな彼女の隣にいるのにふさわしいのか、って何度も悩んだけど、今はそんなこと考えない。
僕が側にいたい。だから例えふさわしくなくても、自分がいたいから側にいる、そう決めた。
彼女と離れてからはよりいっそうそう思って……。
「急いで!間に合わないよ!」
「待ってよ早いって!」
起きてすぐにご飯を食べて家を出た。今日は二人で目一杯遊ぶ約束をしている。
ホームにいる電車に向かって二人で走る。
僕の前を走る彼女は、病気を治して今まで以上に活発になった。
なんとか電車には間に合い、目的地の遊園地に着いた。
遊園地を選んだのは彼女だ。
今まで入院しがちで、あまりこういうところでは遊んだことのない彼女は、遊園地を楽しみにしていた。
それもあってのこの元気なのだろう。
全て乗り尽くしたんじゃないか、と思うくらいの乗り物に乗った。
平日のおかげで、待ち時間も土日ほどは長くない。
おかけで、休むことなくひっきりなしに乗り物、乗り物。
そして僕は酔った。
「ちょっとコーセー君?」
「………はい」
「乗り物弱すぎじゃない!?もしかしてバスでも酔ったりするんじゃないの!?」
「……………」
図星だから言い返す言葉が見つからない。
それでも、なんだかんだ言いながら彼女は僕を心配し、観覧車に乗ってくれた。
日はもう傾き、もうすぐ夕陽が綺麗な時間になる。
「あーあ、観覧車は最後がよかったな」
「え、まだ乗るの?」
「まだどうしても乗りたいのがあるの。それが最後になっちゃったじゃん」
観覧車がじわじわと頂上へ上りつめてゆく。
「綺麗だよねぇ~」
「ん………」
僕は声を出すだけの返事をした。僕は今、外なんか見ていないから。
「ねぇ、公生君………私、今も生きてるね」
「うん」
「なんか、まだ夢を見てる感じ」
「ほんと、いつもそんな風に大人しければなぁ……」
彼女は少し頬を膨らませ、僕のほうを振り向いた。だけど、その顔はすぐに引き締まる。
「かをり、僕のわがまま、聞いてくれる?」
「ん~仕方ないなぁ」
彼女は笑った。僕が言いたいことなんて、わかりきったかのように。そして、彼女が待ちわびていることだから。
「かをりの人生、僕にください。僕は、死ぬまでかをりと一緒にいたい。」
「……………ばか」
彼女の目から涙が溢れ出した。
「私の人生、君に狂わせられっぱななんだよ。小さい頃から、君だけを追いかけて……。だから、責任とってよね!」
彼女は、今までの中で最も輝いている笑顔を僕に向けた。
「でもね、一つだけ約束してほしい」
「………?」
「死ぬ時は一緒がいい」
僕はハッとした。「死」という言葉は、僕たちを苦しませた。
「残していく辛さも、残される辛さも、私たちはよく知ってる。もう、あんな思いしたくない。私だけが残されるのも辛いけど、公生君を傷つけることもしたくないの。公生君を元に戻すのに私がどれだけ苦労したか」
「そうだね、僕もそう思う。残されていくのは、もう………嫌だ。あんな怖い思いしたくない。」
彼女が微笑んだところで、観覧車は最下部へと戻ってきた。ドアが開けられ、観覧車を降りる。
「ねぇ、プロポーズもう一回やって?」
「えぇ!!?」
「お願い!僕と結婚してくださいって言って!憧れだったの!」
「はぁ!?さっきのじゃダメなの!?」
「ダメじゃないけど、聞いてみたいの!お願い!」
「…………」
僕と結婚してください、僕は彼女の耳元で囁いた。びっくりして、抱き締めた腕を押し退けようとする彼女を無理矢理胸に押さえつけた。
「ちょっと、なんで放してくれないの!」
「いや、今顔真っ赤だと思うから恥ずかしい!」
「見たい!」
彼女は一気に力を入れて僕を突き放した。嬉しそうに顔を覗きこんでくる。
「うわぁ真っ赤だ!でもね………」
ニカッと笑って顔を寄せてくる。
「私もだし!悔しいけどときめいた!」
「悔しいけどってなに」
「え?さあね?」
僕はまだ熱い顔を隠すように彼女とは反対の方に顔を向けて歩き出した。
彼女の小さな手を握って。
「公生君大好き!」
「はいはい」
「あ、照れた!かわいー」
「もう、行くよ」
僕も大好きだよ………
小さい声で呟いた。この距離だから、きっと聞こえただろう。聞こえたくせに聞こえないふりをしてニヤニヤしている。
(僕は彼女に振り回されるんだろうな)
これからを思うと、苦笑してしまう。だけど、そんなことも楽しくて。
これから僕らを待っているのは、きっと今までよりも幸せな未来ー。
「ん……おはよ」
僕が目をうっすらと開くと、目の前には彼女の笑顔があった。
最近は、誰かにおはよう、と笑顔を向けられることはなかった。
久々に見た彼女の笑顔は、朝日と同じくらい眩しかった。僕には眩しすぎるくらい。
僕はこの、太陽みたいな彼女の隣にいるのにふさわしいのか、って何度も悩んだけど、今はそんなこと考えない。
僕が側にいたい。だから例えふさわしくなくても、自分がいたいから側にいる、そう決めた。
彼女と離れてからはよりいっそうそう思って……。
「急いで!間に合わないよ!」
「待ってよ早いって!」
起きてすぐにご飯を食べて家を出た。今日は二人で目一杯遊ぶ約束をしている。
ホームにいる電車に向かって二人で走る。
僕の前を走る彼女は、病気を治して今まで以上に活発になった。
なんとか電車には間に合い、目的地の遊園地に着いた。
遊園地を選んだのは彼女だ。
今まで入院しがちで、あまりこういうところでは遊んだことのない彼女は、遊園地を楽しみにしていた。
それもあってのこの元気なのだろう。
全て乗り尽くしたんじゃないか、と思うくらいの乗り物に乗った。
平日のおかげで、待ち時間も土日ほどは長くない。
おかけで、休むことなくひっきりなしに乗り物、乗り物。
そして僕は酔った。
「ちょっとコーセー君?」
「………はい」
「乗り物弱すぎじゃない!?もしかしてバスでも酔ったりするんじゃないの!?」
「……………」
図星だから言い返す言葉が見つからない。
それでも、なんだかんだ言いながら彼女は僕を心配し、観覧車に乗ってくれた。
日はもう傾き、もうすぐ夕陽が綺麗な時間になる。
「あーあ、観覧車は最後がよかったな」
「え、まだ乗るの?」
「まだどうしても乗りたいのがあるの。それが最後になっちゃったじゃん」
観覧車がじわじわと頂上へ上りつめてゆく。
「綺麗だよねぇ~」
「ん………」
僕は声を出すだけの返事をした。僕は今、外なんか見ていないから。
「ねぇ、公生君………私、今も生きてるね」
「うん」
「なんか、まだ夢を見てる感じ」
「ほんと、いつもそんな風に大人しければなぁ……」
彼女は少し頬を膨らませ、僕のほうを振り向いた。だけど、その顔はすぐに引き締まる。
「かをり、僕のわがまま、聞いてくれる?」
「ん~仕方ないなぁ」
彼女は笑った。僕が言いたいことなんて、わかりきったかのように。そして、彼女が待ちわびていることだから。
「かをりの人生、僕にください。僕は、死ぬまでかをりと一緒にいたい。」
「……………ばか」
彼女の目から涙が溢れ出した。
「私の人生、君に狂わせられっぱななんだよ。小さい頃から、君だけを追いかけて……。だから、責任とってよね!」
彼女は、今までの中で最も輝いている笑顔を僕に向けた。
「でもね、一つだけ約束してほしい」
「………?」
「死ぬ時は一緒がいい」
僕はハッとした。「死」という言葉は、僕たちを苦しませた。
「残していく辛さも、残される辛さも、私たちはよく知ってる。もう、あんな思いしたくない。私だけが残されるのも辛いけど、公生君を傷つけることもしたくないの。公生君を元に戻すのに私がどれだけ苦労したか」
「そうだね、僕もそう思う。残されていくのは、もう………嫌だ。あんな怖い思いしたくない。」
彼女が微笑んだところで、観覧車は最下部へと戻ってきた。ドアが開けられ、観覧車を降りる。
「ねぇ、プロポーズもう一回やって?」
「えぇ!!?」
「お願い!僕と結婚してくださいって言って!憧れだったの!」
「はぁ!?さっきのじゃダメなの!?」
「ダメじゃないけど、聞いてみたいの!お願い!」
「…………」
僕と結婚してください、僕は彼女の耳元で囁いた。びっくりして、抱き締めた腕を押し退けようとする彼女を無理矢理胸に押さえつけた。
「ちょっと、なんで放してくれないの!」
「いや、今顔真っ赤だと思うから恥ずかしい!」
「見たい!」
彼女は一気に力を入れて僕を突き放した。嬉しそうに顔を覗きこんでくる。
「うわぁ真っ赤だ!でもね………」
ニカッと笑って顔を寄せてくる。
「私もだし!悔しいけどときめいた!」
「悔しいけどってなに」
「え?さあね?」
僕はまだ熱い顔を隠すように彼女とは反対の方に顔を向けて歩き出した。
彼女の小さな手を握って。
「公生君大好き!」
「はいはい」
「あ、照れた!かわいー」
「もう、行くよ」
僕も大好きだよ………
小さい声で呟いた。この距離だから、きっと聞こえただろう。聞こえたくせに聞こえないふりをしてニヤニヤしている。
(僕は彼女に振り回されるんだろうな)
これからを思うと、苦笑してしまう。だけど、そんなことも楽しくて。
これから僕らを待っているのは、きっと今までよりも幸せな未来ー。
