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無邪気に笑うあいつが。


女「...ふぅ。」

私は、いたって普通の女子だ。
部活動にも参加し、授業にも参加し、
...勿論、恋愛だってしてみたい女子。

女「...もう、夕方かぁ。」

今は部活が終わり、帰る準備をしている。
...なんて、ちょっとしたナレーションを頭の中でやってみて。
そんな自分が馬鹿げているようだ。

女「...帰ろ。」

校庭の方に足を踏み出す。
すると、「もっと声出せ~!!」という元気な声が。

女「そっか。確かサッカー部はもうすぐ県大会だっけ。」

見てみると部長らしき人物が声をあげ、
部員達をまとめている。

女「凄いなぁ。...私には、こんな事、できるはずないし。」

まぁ、私には関係のない事。
早く帰ろう。

...

そう、思ったとき。
どこからか視線を感じた。

女「...?」

気になった私は、辺りを見渡してみる。
...あぁ、なんだ。あいつか。

女「...何その顔。」

こちらに視線を向けていたのは、サッカーボールを拭いている幼馴染み。
あいつだけ、たった一人で、ボール磨きをしていた。
他の人達は試合に集中していたから、声をかけてみた。

女「ねぇ、なんでボール磨きしてんの。試合の練習しなよ。」

男「いや...俺はボール磨きをしたい気分だったからさ。」

ニカッと笑う幼馴染み。
どうせ誤魔化しているつもりなんだろうけど、
...私は、知っている。

女「...そんなに毎日、ボール磨きをしたい気分なの?」

男「!」

私はいつも、窓からコイツを見ていた。
ずっと、皆を羨ましそうに見つめながら、必死にボールを磨いているその姿を。

女「...なんで部長や顧問に相談しないの?やりたいって。」

男「...」

返事をしないままただ下を向く幼馴染み。

男「...そりゃ、サッカー部に入ったんだから試合はしたいよ。」

女「じゃあ、すればいいじゃない。」

男「ただ...な?やっぱり、俺には向いてないんだよ。サッカーは。」

女「えっ?」

男「ずっと憧れていたんだ。この学校のサッカー部。すっげー強いって聞いてたから。...でも、いつも失敗ばかりして。」

女「...」

男「だから、自分から言ったんだ。俺はボール磨きして、皆の動きを観察してますって。」

女「...!」

男「だから...だから、」

女「だからだからしつこい。」

男「!?」

女「何それ。...あんたさ、いっつも諦めるの早いんだよ。」

男「...え」

女「もっと努力しなよ。たくさん練習したら上手くなるでしょ?」

男「...でも、」

女「言い訳する人って嫌われるよ?」

男「...」

...昔から変わらないコイツの癖。
それは、すぐに諦めてしまう事。
明るく、元気なコイツは、よく笑うくせに、よく泣く。
だからだろうか。私がスポーツでもしたらって言ったのは。
少なくとも、そのお陰なのかすぐに泣く事はなくなったけど、かわりにすぐに諦めるという変な癖がついてしまったのだ。

女「ねぇ、今から私帰るんだけどさ、どうせ練習しないって言い張ってるんでしょ?そこで。」

男「...だろうね。」

女「...顧問に許可もらってきて。」

男「...なんの?」

女「...さっきの言葉をよく聞いてたら分かるでしょうが。」

男「...えへっ。」

女「えへっじゃないわ。...ったく、一緒に帰ろうって言ってるの。分かる?」

男「!!言ってくる!」

女「あっこら、ボールを片付けなさい!」

私はボールとタオルを持って後を追いかける。

さぁ、諦めやさんのコイツに、どんな話をしてやろうかな。

...

少なくとも、無邪気に笑うあいつが好きだから、一緒に帰りたい訳ではない。

...決して。

笑っている君の顔が好きだよ...
ただ、その言葉が言えない女の子。

自分をしっかり支えてくれる君が好きだよ...
ただ、その言葉が言えない男の子。

観覧、ありがとうございました(。-∀-)
<2016/07/31 17:26 レイ>消しゴム
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