あたしはまだしばらく居る、と言う大切な友達と
話をしていた。
「そういえばさ、久城杏梨っていうんだよね?」
「何夕里、いきなり」
「私、久城 杏菜って人、聞いたことあるんだよね。
テレビか何か、かな」
夕里が言うと、健の顔つきが変わった。
「有名人?」
「分からないけど。だってみんな無い?久城杏菜」
「いや、俺は知らない」
優が何となくって感じで答える。
「愛生は?」
「いや分っかんない」
「そう……健は?」
健に、聞いちゃうの?
あの素直王子に?
「いやぁ?」
嘘、上手くなってる。
いざって時に発揮するのかもね。
「そうかぁ……久城さんと名前もそっくりなのに。
久城さん、姉妹とか居るのかな」
疑い出したら止まらない夕里。
「どうなんだろうね。そこそこ有名みたいだけど、
杏梨ちゃんはそうでもないからね」
「うーん」
納得してないらしい。
「まぁ、そんなに気にしない方がいいよ。
お互いの、ためにね」
お互いの、ね。
「うん……」
もう、健が教えてくれたでしょ?
「そうだよね」
夕里がやたら明るく言う。
何か怖いけど。
「ねっ」
「じゃあ、私は帰ろうかな」
夕里、一人にして平気かな。
「じゃあ俺も」
健が居れば安心だね。
「じゃっ、気を付けてけよ?」
「はいよっ」
健の明るい声。
ずっと聞きたかったよ。
こんなに話すこともなかったもんな。
もう、また健に泣かされるの?
「あれれ?寂しくなっちゃった?」
「バーカ。んなわけねぇだろ……」
ただ、健が笑ってくれたから。
健の声が、明るくなったから。
あいつのせい。
今度泣かせてやる。
「あっ、優は?」
「いやぁ、そろそろ行こうかと思ったんだけどさ。
泣いちゃったじゃん?」
やたら強調する優。
「チッ。泣いてねぇし。早く帰れ」
「はい。じゃあ、また明日っ」
可愛い言い方。
「気を付けてな」
「あいよっ」
あの学校って意外とかっこいい子多いのね。
特に、宮河 健。
あいつはもうかっこ良くないわけがない。
誰が見てもかっこ悪いとは言わないだろう。
あたしも誰が見ても可愛くないとは言わないような人に
なりたいな。
「愛生」
「姉ちゃん。いつの間に」
「ちっといいか」
ダメとは言えないよね。
言わせないよね?
姉ちゃん?
まぁ、そんな事も言えないけど。
あたしは姉ちゃんとリビングへ。
聞かれたくないような話ここでする?
家族なら誰が来てもおかしくないのに。
「さっきの子、いるじゃん?」
久城さん、かな。
あたしはとりあえず頷いた。
「あの子、すごい子かも」
「すごい?」
姉ちゃんは頷き、続けた。
「さっき、すごい辛そうに出てったのよ。だからしばらく玄関に居たんだけど」
完全に変な奴じゃん。
それで何か聞いちゃいました系でしょ?
「したら、電話掛かってきてて。それに、杏菜って人からだったらしいんだけど、さん付いてんの!」
「杏菜!?」
さっき夕里が言ってた人じゃないの?
久城杏菜。
本当にそんな人居るの?
あたしがなんとか冷静になると姉ちゃんは自分の唇に
人差し指を当て、続けた。
「んで、エンジンの音で分かったんだけど、凄い高級車
乗ってんだわ」
エンジンの音で分かるとか。
高級車って静かなんじゃないのかね。
まぁいいや。
「で?」
「終わりですが?」
何威張ってんのよ。
「そんな事でここまで呼んだわけ?」
「寂しかったんだもん」
可愛い事言っちゃって。
けどあたしはもう騙されない。
このまま買い物に行かされることは分かってる。
あたしは姉ちゃんが変な事を言い出す前に部屋に逃げた。
『杏菜って人からだったらしいんだけど、さん
付いてんの!』
『久城杏菜って人、聞いたことあるんだよね』
杏菜(アンナ)と杏梨(アンリ)
普通に居そうな姉妹。
けど二人とも洒落た名前。
漫画やアニメに出てくるお嬢様キャラにいそう。
そんな事を考えていた時、携帯が鳴る。
「あい?」
『健 宮河です』
「愛生 宮本です」
『今暇?』
「いつでも暇」
『良かった』
もうどんなに忙しくても話するよね。
あんな事、聞いちゃったら。
『言ったんですよ?『いつでもメールも電話もして』
って。それなのに電話も出ないで、メールも返さないで。最低ですよね。そりゃ人も信じられなくなるし他人への
恐怖心も湧きますよ』
ああ言った久城さんの声。
本当に後悔してる声だった。
『お嬢様、か』
「健?」
『久城。さっき夕里が言ってた久城杏菜っての杏梨の姉』
「あれ、本当なの!?」
『もちろんこれは誰にも言うな』
言う人も、居ないからね。
『久城の父親はある会社の社長でね……』
社っ、長?
なんだかいけないことに首突っ込んでる感じ。
『それが、今の久城を作ったんだと思う』
「今の、久城さんを?」
『あぁ。ちょ、これ絶対言うなよ?』
心配性王子。
「言う人が居ないから。安心しな?」
『これ初めてだから。言うの』
「んで?そのお父様が?」
『あぁ、その方がまた人に当たる人でね』
いやいや。
もう分かっちゃったんだけど。
『もう愛生なら分かったろ』
「あぁ、分かったよ」
『会社や仕事の事でのストレスを杏梨にぶつけたんだ』
「それは?暴行か何か?」
『あぁ。しかも体ばっかな』
「他に何があるの?」
『顔行くとバレるから。んで我慢する杏梨の、体に』
体なら服で隠れるから。
「だからあの時……」
あたしは気付いたら声に出していた。
『何かあったのか?』
健なら、良いかな。
「今日、保健室行ったじゃん?久城さん」
『あぁ』
「その時、熱、あるか確認しようと思って触ろうとしたらすごい怖がっちゃって」
『はぁ。あんなんでよく来てるよな』
お前も同じ感じだったけどな。
「だよね……」
『なんか、変な話してごめん』
「このために掛けてきたくせに」
『鋭いねぇ〜っ』
「健の考えてる事は、誰よりも分かってるつもりだから」
『怖い怖い怖い』
結構本気で言ったんだけど。
「ったく。こっちゃ本気なんだよ」
『それはどうも。んじゃ、これからも』
「よろしくお願いします」
『また明日っ』
「はいよ〜っ」
あたしは電話を切り、ため息ひとつ。
久城さん、辛かったんだね。
あれっ、まさかあいつを怖がったのって。
父親に似てるから?
30代、前半と後半の間くらいの歳。
まぁ、あいつは。
けど、父親があれくらいの歳って事もありえなくはない。
まぁあの担任も?
世間様が見たらそこそこ かっこいいんでしょうし?
あたしには全く分からないし分かりたくもないけど。
で、あんな感じの人に久城さんみたいな娘が居てもおかしかない。
あれっ、あたし何考えてるの?
親がどんな人かなんてどうでもいい。
「もぉ〜っ」
いつもそう。
絶対関係ないような事を考える。
これが、あたし。
自分の嫌いな所第一位。
あたしは少し早いけどバスルームへ。
話をしていた。
「そういえばさ、久城杏梨っていうんだよね?」
「何夕里、いきなり」
「私、久城 杏菜って人、聞いたことあるんだよね。
テレビか何か、かな」
夕里が言うと、健の顔つきが変わった。
「有名人?」
「分からないけど。だってみんな無い?久城杏菜」
「いや、俺は知らない」
優が何となくって感じで答える。
「愛生は?」
「いや分っかんない」
「そう……健は?」
健に、聞いちゃうの?
あの素直王子に?
「いやぁ?」
嘘、上手くなってる。
いざって時に発揮するのかもね。
「そうかぁ……久城さんと名前もそっくりなのに。
久城さん、姉妹とか居るのかな」
疑い出したら止まらない夕里。
「どうなんだろうね。そこそこ有名みたいだけど、
杏梨ちゃんはそうでもないからね」
「うーん」
納得してないらしい。
「まぁ、そんなに気にしない方がいいよ。
お互いの、ためにね」
お互いの、ね。
「うん……」
もう、健が教えてくれたでしょ?
「そうだよね」
夕里がやたら明るく言う。
何か怖いけど。
「ねっ」
「じゃあ、私は帰ろうかな」
夕里、一人にして平気かな。
「じゃあ俺も」
健が居れば安心だね。
「じゃっ、気を付けてけよ?」
「はいよっ」
健の明るい声。
ずっと聞きたかったよ。
こんなに話すこともなかったもんな。
もう、また健に泣かされるの?
「あれれ?寂しくなっちゃった?」
「バーカ。んなわけねぇだろ……」
ただ、健が笑ってくれたから。
健の声が、明るくなったから。
あいつのせい。
今度泣かせてやる。
「あっ、優は?」
「いやぁ、そろそろ行こうかと思ったんだけどさ。
泣いちゃったじゃん?」
やたら強調する優。
「チッ。泣いてねぇし。早く帰れ」
「はい。じゃあ、また明日っ」
可愛い言い方。
「気を付けてな」
「あいよっ」
あの学校って意外とかっこいい子多いのね。
特に、宮河 健。
あいつはもうかっこ良くないわけがない。
誰が見てもかっこ悪いとは言わないだろう。
あたしも誰が見ても可愛くないとは言わないような人に
なりたいな。
「愛生」
「姉ちゃん。いつの間に」
「ちっといいか」
ダメとは言えないよね。
言わせないよね?
姉ちゃん?
まぁ、そんな事も言えないけど。
あたしは姉ちゃんとリビングへ。
聞かれたくないような話ここでする?
家族なら誰が来てもおかしくないのに。
「さっきの子、いるじゃん?」
久城さん、かな。
あたしはとりあえず頷いた。
「あの子、すごい子かも」
「すごい?」
姉ちゃんは頷き、続けた。
「さっき、すごい辛そうに出てったのよ。だからしばらく玄関に居たんだけど」
完全に変な奴じゃん。
それで何か聞いちゃいました系でしょ?
「したら、電話掛かってきてて。それに、杏菜って人からだったらしいんだけど、さん付いてんの!」
「杏菜!?」
さっき夕里が言ってた人じゃないの?
久城杏菜。
本当にそんな人居るの?
あたしがなんとか冷静になると姉ちゃんは自分の唇に
人差し指を当て、続けた。
「んで、エンジンの音で分かったんだけど、凄い高級車
乗ってんだわ」
エンジンの音で分かるとか。
高級車って静かなんじゃないのかね。
まぁいいや。
「で?」
「終わりですが?」
何威張ってんのよ。
「そんな事でここまで呼んだわけ?」
「寂しかったんだもん」
可愛い事言っちゃって。
けどあたしはもう騙されない。
このまま買い物に行かされることは分かってる。
あたしは姉ちゃんが変な事を言い出す前に部屋に逃げた。
『杏菜って人からだったらしいんだけど、さん
付いてんの!』
『久城杏菜って人、聞いたことあるんだよね』
杏菜(アンナ)と杏梨(アンリ)
普通に居そうな姉妹。
けど二人とも洒落た名前。
漫画やアニメに出てくるお嬢様キャラにいそう。
そんな事を考えていた時、携帯が鳴る。
「あい?」
『健 宮河です』
「愛生 宮本です」
『今暇?』
「いつでも暇」
『良かった』
もうどんなに忙しくても話するよね。
あんな事、聞いちゃったら。
『言ったんですよ?『いつでもメールも電話もして』
って。それなのに電話も出ないで、メールも返さないで。最低ですよね。そりゃ人も信じられなくなるし他人への
恐怖心も湧きますよ』
ああ言った久城さんの声。
本当に後悔してる声だった。
『お嬢様、か』
「健?」
『久城。さっき夕里が言ってた久城杏菜っての杏梨の姉』
「あれ、本当なの!?」
『もちろんこれは誰にも言うな』
言う人も、居ないからね。
『久城の父親はある会社の社長でね……』
社っ、長?
なんだかいけないことに首突っ込んでる感じ。
『それが、今の久城を作ったんだと思う』
「今の、久城さんを?」
『あぁ。ちょ、これ絶対言うなよ?』
心配性王子。
「言う人が居ないから。安心しな?」
『これ初めてだから。言うの』
「んで?そのお父様が?」
『あぁ、その方がまた人に当たる人でね』
いやいや。
もう分かっちゃったんだけど。
『もう愛生なら分かったろ』
「あぁ、分かったよ」
『会社や仕事の事でのストレスを杏梨にぶつけたんだ』
「それは?暴行か何か?」
『あぁ。しかも体ばっかな』
「他に何があるの?」
『顔行くとバレるから。んで我慢する杏梨の、体に』
体なら服で隠れるから。
「だからあの時……」
あたしは気付いたら声に出していた。
『何かあったのか?』
健なら、良いかな。
「今日、保健室行ったじゃん?久城さん」
『あぁ』
「その時、熱、あるか確認しようと思って触ろうとしたらすごい怖がっちゃって」
『はぁ。あんなんでよく来てるよな』
お前も同じ感じだったけどな。
「だよね……」
『なんか、変な話してごめん』
「このために掛けてきたくせに」
『鋭いねぇ〜っ』
「健の考えてる事は、誰よりも分かってるつもりだから」
『怖い怖い怖い』
結構本気で言ったんだけど。
「ったく。こっちゃ本気なんだよ」
『それはどうも。んじゃ、これからも』
「よろしくお願いします」
『また明日っ』
「はいよ〜っ」
あたしは電話を切り、ため息ひとつ。
久城さん、辛かったんだね。
あれっ、まさかあいつを怖がったのって。
父親に似てるから?
30代、前半と後半の間くらいの歳。
まぁ、あいつは。
けど、父親があれくらいの歳って事もありえなくはない。
まぁあの担任も?
世間様が見たらそこそこ かっこいいんでしょうし?
あたしには全く分からないし分かりたくもないけど。
で、あんな感じの人に久城さんみたいな娘が居てもおかしかない。
あれっ、あたし何考えてるの?
親がどんな人かなんてどうでもいい。
「もぉ〜っ」
いつもそう。
絶対関係ないような事を考える。
これが、あたし。
自分の嫌いな所第一位。
あたしは少し早いけどバスルームへ。
