学級イチのイケメンが、気を付けて。
そういえばあいつがああいうこと言った日は何かあった
気が。
俺は保健室を飛び出した。
「健っ!」
それを愛生が呼び止める。
「何」
言い方が冷たかったのは分かってる。
「どこ行くの?」
「久城んとこ」
「あたしも……」
「お前は待ってろ」
「えっ?」
「久城がなんでお前が送るって言った時断ったか
分かるか」
愛生は首を振った。
「家を知られたくなかったんだよ」
「そんなに?」
「良いから待っとけ」
俺は階段を駆け下り、廊下を走り、学校を出た。
「えっ?」
すぐそこに久城によく似たうちの制服を着た女子が学校にしてはオシャレなフェンスにもたれかかっていた。
「久城?」
久城は俺を見て安心したようにその場にしゃがみ込んだ。
俺もその隣にしゃがんだ。
「どうした?」
俺のその言葉に返事はない。
覚悟はしてたけど。
「帰れなかった?」
んだろうな。
呼吸も荒いし。
「ゆっくりしたら一緒に行こ?俺しか居ないから」
「みや、みや……」
「大丈夫。俺は居るよ?」
俺は軽く久城の背中をさすった。
「はっ、ケホッ……」
「大丈夫」
「どう、しよ……」
「何が?大丈夫だよ?」
もう自分でも何を言ってるか分からない。
「家、いる……」
久城の呼吸はさらに速くなった。
誰か居るのか。
「良いよ。うちに居よ?」
「でも、もう……」
うん。
話はもう少し落ち着いてからだね。
あれから10分くらい経った頃、やっと久城の呼吸が
落ち着いてきた。
「最後に深呼吸しよ?」
俺はゆっくり、優しく久城の背中を叩いた。
久城は少し苦しそうに深く呼吸をした。
「ふぅ〜。ありがとう。もう、一人で大丈夫」
「良いから。危ないよ?」
「ごめん…ね…」
「気にすんなって」
俺は少し下にある久城の小さな肩を叩いた。
「宮河くん…」
「ん?」
「ごめんね……ずっと、言いたかっ、た……」
「何?」
「前、私が海外に行った時。『メールも電話もして』って言ったのに。全然返さなかったし、出なかったし……」
「何?そんなこと気にして元気ないの?」
久城は『それもある』と小さく頷いた。
「そんなの気にすんなって。良いからうち行こ?」
「もう、良いの」
「久城?」
「宮河くんに、迷惑と、心配をかけるのは。十分なの……」
いつかの誰かにそっくり。
「久城が十分でも、俺が十分じゃないから」
「宮河くん?」
少し驚いた顔で俺を見る久城。
俺はそれに笑顔を見せた。
久城も微かに笑った。
「えっ、ちょ……」
久城が前を向いた時、俺の制服を掴んだ。
「久城?」
「ちがう、みち、ある…?」
「うん…?」
俺は久城の視線の先を見た。
そこには見るからに高い車が。
「えっ、久城、あれ……」
久城は怯えた顔で頷いた。
なんでそんなに……
「はやく……いこ…」
今にも消えそうな、震えた久城の声。
「ちょっと、もういい?」
俺は久城を抱き上げた。
「いやっ、みや、かわ……」
「大丈夫。少し狭いとこ入ろ?」
「はやく……おろして………」
俺は少し急いで狭くて薄暗い道に入った。
「良いよ。ここで」
久城は下ろしたと同時にしゃがみ込んだ。
「ごめんね?」
また呼吸速くなってる。
抱かれるのはダメなんだね。
まぁ、分かるけど。
「大丈夫。ここなら誰も来ないよ」
久城は何度が頷いた。
「ごめんね、疲れたね。しばらくここに居よう?」
「はっ……ごめ、ごめん……」
「良いよ。我慢されるより、よっぽどね」
「みやかわ、みや……はっ…」
「大丈夫。ここに居るから」
どうせ用事なんて無いし。
けど最近、暇って思えるようになってきた。
違う。
今は俺の事より久城を。
「ごめん、帰ろうか」
「あっ、うん」
なんであんなに呼吸速くなっちゃうんだろう。
何が理由なんだろ。
「久城、何かあった?」
「何か?」
「嫌な事とか、辛かった事、みたいな?」
俺が言うと久城は立ち止まった。
「最近、ちょっと怖かった事なら」
それじゃん?
「最近、杏菜さんが、優しいの」
うーん。
良い事だけど、普段相当強い人なら可能性はなくはない かな。
「普段はどんな方なの?」
「少し厳しいかな」
そんなお姉さんがいきなり優しくなったと。
裏で何を考えてるかとか考えちゃうのかな。
「ねぇっ」
「ん?」
「しばらく、うちに居ない?」
凄い驚いてる。
そりゃそうか。
いきなり男の家に。
いくら幼馴染っていってもね。
「私は良いよ?」
「そっか。じゃあ、うちに……えっ?」
久城は楽しそうに笑っていた。
凄い、上品に。
「私は、良いよ?」
「えっ、怒られない?」
自分で言い出したくせに、いざこうなると焦る。
「相当怒られるだろうね」
「えっ、良いの?」
「もうね、解放されたかった」
そういえば前もそんなこと。
「一回、何も考えずに過ごしたい」
何も考えない。
それが一番難しい。
きっと、久城も分かってるはず。
「まっ、今日は帰るよ?」
「あっ……そう」
「ふふっ、良いわけないし。逆らえないから。私が決め られる事なんてあの家にはないの」
「久城……」
「ふふっ、だから、下校の時間まで、居て良いかな?」
「あぁ、俺は全然」
「なら決定だねっ」
久城、いつからこうなったんだろう。
前、過ぎるけど。
前はこんなじゃなかった。
この、心の姿を変えた久城を、本当のあの頃の久城に
戻してあげる事は出来るだろうか。
そういえばあいつがああいうこと言った日は何かあった
気が。
俺は保健室を飛び出した。
「健っ!」
それを愛生が呼び止める。
「何」
言い方が冷たかったのは分かってる。
「どこ行くの?」
「久城んとこ」
「あたしも……」
「お前は待ってろ」
「えっ?」
「久城がなんでお前が送るって言った時断ったか
分かるか」
愛生は首を振った。
「家を知られたくなかったんだよ」
「そんなに?」
「良いから待っとけ」
俺は階段を駆け下り、廊下を走り、学校を出た。
「えっ?」
すぐそこに久城によく似たうちの制服を着た女子が学校にしてはオシャレなフェンスにもたれかかっていた。
「久城?」
久城は俺を見て安心したようにその場にしゃがみ込んだ。
俺もその隣にしゃがんだ。
「どうした?」
俺のその言葉に返事はない。
覚悟はしてたけど。
「帰れなかった?」
んだろうな。
呼吸も荒いし。
「ゆっくりしたら一緒に行こ?俺しか居ないから」
「みや、みや……」
「大丈夫。俺は居るよ?」
俺は軽く久城の背中をさすった。
「はっ、ケホッ……」
「大丈夫」
「どう、しよ……」
「何が?大丈夫だよ?」
もう自分でも何を言ってるか分からない。
「家、いる……」
久城の呼吸はさらに速くなった。
誰か居るのか。
「良いよ。うちに居よ?」
「でも、もう……」
うん。
話はもう少し落ち着いてからだね。
あれから10分くらい経った頃、やっと久城の呼吸が
落ち着いてきた。
「最後に深呼吸しよ?」
俺はゆっくり、優しく久城の背中を叩いた。
久城は少し苦しそうに深く呼吸をした。
「ふぅ〜。ありがとう。もう、一人で大丈夫」
「良いから。危ないよ?」
「ごめん…ね…」
「気にすんなって」
俺は少し下にある久城の小さな肩を叩いた。
「宮河くん…」
「ん?」
「ごめんね……ずっと、言いたかっ、た……」
「何?」
「前、私が海外に行った時。『メールも電話もして』って言ったのに。全然返さなかったし、出なかったし……」
「何?そんなこと気にして元気ないの?」
久城は『それもある』と小さく頷いた。
「そんなの気にすんなって。良いからうち行こ?」
「もう、良いの」
「久城?」
「宮河くんに、迷惑と、心配をかけるのは。十分なの……」
いつかの誰かにそっくり。
「久城が十分でも、俺が十分じゃないから」
「宮河くん?」
少し驚いた顔で俺を見る久城。
俺はそれに笑顔を見せた。
久城も微かに笑った。
「えっ、ちょ……」
久城が前を向いた時、俺の制服を掴んだ。
「久城?」
「ちがう、みち、ある…?」
「うん…?」
俺は久城の視線の先を見た。
そこには見るからに高い車が。
「えっ、久城、あれ……」
久城は怯えた顔で頷いた。
なんでそんなに……
「はやく……いこ…」
今にも消えそうな、震えた久城の声。
「ちょっと、もういい?」
俺は久城を抱き上げた。
「いやっ、みや、かわ……」
「大丈夫。少し狭いとこ入ろ?」
「はやく……おろして………」
俺は少し急いで狭くて薄暗い道に入った。
「良いよ。ここで」
久城は下ろしたと同時にしゃがみ込んだ。
「ごめんね?」
また呼吸速くなってる。
抱かれるのはダメなんだね。
まぁ、分かるけど。
「大丈夫。ここなら誰も来ないよ」
久城は何度が頷いた。
「ごめんね、疲れたね。しばらくここに居よう?」
「はっ……ごめ、ごめん……」
「良いよ。我慢されるより、よっぽどね」
「みやかわ、みや……はっ…」
「大丈夫。ここに居るから」
どうせ用事なんて無いし。
けど最近、暇って思えるようになってきた。
違う。
今は俺の事より久城を。
「ごめん、帰ろうか」
「あっ、うん」
なんであんなに呼吸速くなっちゃうんだろう。
何が理由なんだろ。
「久城、何かあった?」
「何か?」
「嫌な事とか、辛かった事、みたいな?」
俺が言うと久城は立ち止まった。
「最近、ちょっと怖かった事なら」
それじゃん?
「最近、杏菜さんが、優しいの」
うーん。
良い事だけど、普段相当強い人なら可能性はなくはない かな。
「普段はどんな方なの?」
「少し厳しいかな」
そんなお姉さんがいきなり優しくなったと。
裏で何を考えてるかとか考えちゃうのかな。
「ねぇっ」
「ん?」
「しばらく、うちに居ない?」
凄い驚いてる。
そりゃそうか。
いきなり男の家に。
いくら幼馴染っていってもね。
「私は良いよ?」
「そっか。じゃあ、うちに……えっ?」
久城は楽しそうに笑っていた。
凄い、上品に。
「私は、良いよ?」
「えっ、怒られない?」
自分で言い出したくせに、いざこうなると焦る。
「相当怒られるだろうね」
「えっ、良いの?」
「もうね、解放されたかった」
そういえば前もそんなこと。
「一回、何も考えずに過ごしたい」
何も考えない。
それが一番難しい。
きっと、久城も分かってるはず。
「まっ、今日は帰るよ?」
「あっ……そう」
「ふふっ、良いわけないし。逆らえないから。私が決め られる事なんてあの家にはないの」
「久城……」
「ふふっ、だから、下校の時間まで、居て良いかな?」
「あぁ、俺は全然」
「なら決定だねっ」
久城、いつからこうなったんだろう。
前、過ぎるけど。
前はこんなじゃなかった。
この、心の姿を変えた久城を、本当のあの頃の久城に
戻してあげる事は出来るだろうか。
