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Best Friend〜姿を変えた君と〜 2


しばらく居た久城が帰ったこの部屋。

本当に何もなくて、何も聞こえなくて。

けどやっぱり、これが落ち着く。

この時だけは、何も考えてない。

誰も来ない、この場所。

久城に、そんな場所はないみたいだけど。

俺は幸せだね。

「健」

「わっ!ちょい、んだからさぁ……」
「明日暇?」

最後まで言わせて欲しいかな。

「暇だけど?」

翔は何かを企んでるような笑みを浮かべる。

なんて不気味な。

「じゃあっ」

楽しそうですね。

「わっ」

翔に驚かされて、携帯に驚かされて。

そんな携帯の画面には、『愛生』の文字。

やべっ。

忘れてた。

「は、はい?」

『はいじゃねぇよ』

「はい……」

『お前荷物どーすんの?』

お前。

「えっ?荷物?」

『学校の!』

凄い怖いんですけど。

相当怒ってらっしゃる。

「はい。すみません」

『謝れとか言ってねぇし。取り来んならさっさと来い』

「あぁ、はい。ただいま」

俺は電話を切った。

「怒られてたね」

「いっつも言うけどさ、いつの間にいんの?」

「気づかぬ間に」

「ん〜、まぁいいや。俺ちょっと行ってくるから」

「えっ、どこ行くの?」

弟が最高に可愛いと感じる瞬間。

「学校。荷物、取りに?」

「そっか。気を付けてね?」

「はい」










「宮河ぁ〜!」

怖い怖い。

声が違う。

不良みたい……

最近女の子らしくなったと思ったんだけどな。

「すみません。お待たせしました」

俺は軽く走って愛生の前に。

「お待たせ過ぎなんじゃぁ!」

「はい」

「はいっ。持ってって」

何この声の変え方。

「はい?」

「あたしが準備してあげたから」

恩着せがましさは全く感じなかった。

自然、過ぎて。

「ありがと」

愛生はいつもの笑顔で首を振った。

「久城さん、大丈夫?」

「うん。ちょっと色々あったけど」

「色々?」

「まぁ、落ち着いたから大丈夫じゃないかな?」

「そう」

そうは言っても心配そうな愛生。

優しいからね。

俺の周りには優しい人がいっぱい。

「愛生」

「ん?」

「今日、これから暇?」

「えぇ、まぁ」

「来てくれない?」

「は?」

「いや、すいません。失礼しまーす」

俺は家に逃げようとした。

「良いわよっ!」

俺はその声に振り返った。

「しょうがないから、行ってあげる」

これは流石に感じたね。

「みんなっ!行くよっ!」

愛生の元気な声を合図に、夕里と優が出てきた。

「健の家に〜?」

「GO!」

楽しそー。

「しょうがねぇからついて来い」

「嬉しいくせにぃ〜?」

最高に。

「別に」

なんて素直じゃない俺。

「可愛いねぇ。素直になればもっと可愛い」

顔が赤くなったのが分かる。

冷たい風が吹くことを願ってる。

この頬の熱を冷ますような、冷たい風が。

「健くんっ、背負ってって」

「ざっけんな」

「って言いながら背負ってくれるのね」

「もう乗ってんだもん」

乗ってる感じもしないほど軽いけど。

女ってこんなもんなのかな。

そんな女に背負われた事ある気がする。

普通無理だけど。

何かやってるのかな。

「眠ーい」

「はぁ?我慢しろ」

「無理ー」

「ったく。寝たきゃ寝ろ」

「健くんかっこいぃーっ」

「冷やかし愛生」

「そのさ、イントネーション変えるのなんなの?」

「普通じゃつまらんよ?」  

「楽しさ求めてないけど」

優くん、助けて。

「んじゃあ愛生、背負って?」  

「ぶっとばす」

愛生、お怒り。

「ケッ」

ケッ。

「はぁい、着きましたよ。夕里様?夕里様?」

俺は軽く背中で眠る夕里を揺らした。

「夕里はなかなか起きないよ?」

十分分かってるつもり。

「おっ、健と沢山のお客様」

「ただいま」

「おかえり」

「やっぱ翔かっこいいよね」

「俺の弟だから」

「いや、それはよく分かんない」

「ぶっとばす」





そして俺の部屋は再び賑やかに。

久城と居たときは、賑やかって感じではなかったけどね。

「夕里起きないねぇ〜っ」

「夕里はもう一回寝たらダメだよ」

「ちょっと?ダメって何かしら」

起きてやがる。

「夕里、いつの間に……」

「気づかぬ間に」

誰かの弟そっくり。

「んっ、んんーーっ」

「夕里お嬢様、よく眠れました?」

「帰りたくなぁ〜い」

「じゃあ泊まってく?」

優が余計な事を。

「良いんじゃなぁい?」

良くないよ……  

「今日どうせ金曜日だしさっ」

「イェーイ!」

みんなが楽しいならいいんだけどさ。

けど、多過ぎじゃない?人数。

「じゃあ一回全員、家帰って荷物持ってきましょっ!」

愛生さ〜ん。

優が余計な事言うから。

まぁ、お陰で楽しい土日を過ごせそうだけど。

「それぞれの家に〜?」

「レッツゴー」

「ゴー!」

みんなは楽しそうに家に戻った。


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