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Best Friend〜姿を変えた君と〜 2


あの日から数ヶ月。

新しいクラスにも慣れ、みんなの緊張も解けてきた頃。

そんな頃に席替え。

まさに俺が最も避けたい学校での時間。

これはあの頃も今も変わらない。

みんなの気分はどんどん上がる中、俺の気分はどんどん
下がっていく。

そしてくじで決めるという。

もう良いじゃん。

先生が適当に決めちゃえば。

まぁ、そんなこと言い出したら俺以外の全員が黙ってないだろうけど。

俺も適当に紙を取り、番号を確認した。

窓際の一番後ろ。

良かったです。

「久城は〜?」

まだ高い男子の声。

「あの、さんくらい付けてもらえる?」

そういえば、自覚してた頃。

久城が、自分が凄い子だと。

確かにそうなんだけどね。

まぁ、今思えばそれでストレスを発散していたんだろう。

家で、あんな態度は絶対に許されないから。

「ごめんなさい。久城さんは?」

「窓際の一番後ろよ?」

「そうなんだぁ。少し離れちゃうね」

「残念ね」

まぁ、この頃の久城は基本バカにしてた。

見下してるっていうか。

「あなたは?」

あなた。

初めて呼ばれた。

「隣」

呟くように答え、変える前の自分の席へ。

彼女の、少し冷たい視線を感じながら。

『じゃあ今引いた場所に』

担任のその声を合図に、みんなが机と椅子を持って
動き出す。

この時、大体真ん中は混雑する。

だから俺は後ろの端でそれが落ち着くのを待つ。

ここなら誰も通らないし、席もない。

「健居た。何してんの?」

「待ってんの」

今では考えられない愛生への態度。

「そうなんだ。人混み苦手?」

「大の」

「ウチも待っててあげる」

まだあたしじゃなかったんだ。

「別に一人で良いんだけど」

「どっちがいい?」

こういう事を聞くのが当時の愛生。

「じゃ」

「あっ、行くんだ」

もうこれ以上落ち着く頃には担任が落ち着いてない。

俺は、彼女の隣に机と椅子を移動させた。

この人もまた強烈なオーラを放ってますこと。

多分、俺以上。

俺はそんな彼女の隣に座った。

「私、久城杏梨」

別に聞いてないけど。

「あなたは?」

そのうち分かんじゃん。

「宮河健」

そう思いながらも答える俺。

「覚えとくわ」

別に覚えててほしいとは言っていない。

そう思った時、彼女は付け加えるように言った。

『あなたとは、長い付き合いになりそうだから』と。

その時の俺は何も言わなかった。

なんとなく、怖くて。

私、未来分かります。

みたいな。

実際そんな人、居るわけないんだろうけど。

そう、信じてた。


<2016/08/04 09:17 秋の空>消しゴム
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