久城は少し変わっていた。
流石に何年もの月日が経てば変わるか。
そんな、少し変わった久城が今、俺の隣に。
「宮河くん、居たんだね」
「うん」
「宮河くんが居てくれれば大丈夫だね」
久城……
「そんなに頼れるか分かんないけどね」
「えっと?お二人はどんなご関係で?」
「友達。小学の頃一緒で。中学行く頃に
引っ越しちゃったの」
「よろしくお願いします」
「ハハッ、何?そんなに緊張しないでよ。ウケる」
そんな強烈なキャラの俺の前の席の女子に久城はただ笑うしかなかった。
「可愛い子ね?羨ましいんだけどぉ〜っ」
「沖野も十分だと思うけど?」
優、優しい。
まぁ、可愛くなくはないけど。
決して優のタイプではない。
「沖野さん?」
「ちょいちょいちょい、さんとかマジやめて〜?
ハッハッ」
沖野の豪快な笑い声が教室内に響き渡る。
「あっ、ウチ、沖野 葵。よろしくねん」
「久城杏梨です」
「さっきよーく聞いた。そんな緊張しなくて
良いかんね?」
「ありがとうございます」
少し前に見た事ある気がする。
あ、俺か。
久城が人見知りになって帰って来た。
人見知り、で済んでるよね?
俺は授業中も久城の事を考えてた。
ちょっと怪しいけど。
そんな感じで居たら授業は終わっていた。
「あの、宮河くん……」
「ん?」
「ちょっと……良いかな…」
「あっ、うん」
俺は久城に誰も来ないような階段の踊り場に連れて
来られた。
「どうした?」
「いや、あの……」
「良いよ。言えるようになってから、ゆっくりで」
夕里も言ってくれた、この言葉。
あの時の俺ほど、久城が落ち着けるか分からないけど。
「宮河くんも、変わったん……だね……」
「初めて会ったの。友達って思える人に」
「友達、か。私には……宮河くん……だけだね…」
「久城?」
「ふふっ、ごめん…ね……」
そう言って久城は教室に向かった。
久城、何かあったのかな。
俺はしばらくそこにいて、教室に向かった。
教室に入ろうとした時、男子の声が。
久城、囲まれた。
俺はため息を吐き、教室に入った。
「宮河くーん」
「あっ、宮河くん」
「久城人気じゃん」
「私可愛いから」
「分かってるぅ〜っ!」
楽しそうな男子の声。
久城もそんなに嫌がってはいないようだ。
担任が、苦手だったかな。
「分かるよぉ〜?」
「イェーーイ!」
学園ドラマでも観ているような気分。
「K・U・J・O、久城!」
男子の声、ピッタリ。
楽しそうで良かったです。
クラブとか、ライブ会場みたい。
けど、この学校、こんなに男子居たっけ。
俺は大量の男子を見た。
うん。
いろんな所から来てるね。
制服バラバラ。
中には私服の人も。
私服って。
かなり偏差値高いじゃん。
「はいはーい!みんな帰れ〜っ!」
「わっ、愛生……」
「んでこんなに男ばっかかな。男子高?」
「宮河くーん、その子はぁ?」
「友達、かな?」
「かな?じゃねぇよ」
そう言って愛生は俺の腰を叩いた。
「腰、ヤメて?」
「そこしか届かねぇんだよ。いーから帰れ〜っ」
「そんな可愛い子ねに言われたらしょうがないな」
「イェーーイ!」
本当に現実かな。
愛生の声を合図に、大量の男子がゾロゾロと教室から
出て行く。
「ふふふっ、すごい数の男の子」
「久城さん、大丈夫?」
「少し怖かったけど、意外と優しい方が多くて」
「あらやだ。言葉綺麗なのね」
「久城、お育ちが良いの」
「あら、お嬢様?なら何故こんな学校に?」
「宮河くん、ヤメてよ……」
そう言って恥ずかしそうに笑う久城が可愛らしかった。
「久城さんって、名前がかっこいいもんね。お金持ち
そうな」
「ヤメてくださいよっ」
「ハハハッ、あ、あたし宮本 愛生。よろしくね」
「あっ、久城杏梨です」
「大丈夫。さっき聞いたわ。10月生まれなんだよね?」
「あっ、そこまで覚えて頂いて……」
「ちょい、敬語とかほんとヤメて?」
「こんなに、人と話したこと……なかった……から……」
「まぁ、敬語が話しやすいならそうして?まっ、そんな
感じでよろしくっ」
「はい、こちらこそ……」
久城は愛生が席につくまで頭を下げていた。
「疲れちゃうよ?」
「なんかね。初めて話す方だし……」
「ちょ―い、気にしないでぇ〜?」
愛生の明るい声が言う。
「まぁ、そのうち慣れるっしょ」
「うん……」
久城は俺の制服をそっと掴んだ。
「久城?」
「なんか、落ち着く…」
「そっか」
ならいつまでもそうして居れば良い。
久城が落ち着くなら。
その時、久城は倒れ込むように俺に抱きついた。
「えっ……久城、え?」
急にレベル上げるね。
ちょっと、厳しいかな。
「少し、良い?」
ダメとは言えないよね。
久々に緊張が凄い。
「久城さん、健おかしくなっちゃう。そんな可愛い子に
抱きつかれちゃっ」
愛生が俺の気持ちを悟ったように言う。
愛生さん、ありがとうございます。
「うわっ!すごいラブ」
「あっ、優、いや、これ……」
「ハッハッハッ、すんごい緊張してるじゃん」
「ほらぁ、久城さん可愛いから」
正直そういうのは関係ない。
他人がここまで近くに居るということが……
「ごめんね」
そう思ったら、ちょっとだけ離れて欲しいかな。
「ありがと」
久城が俺を見上げて言う。
俺はその真っ直ぐな瞳から目を逸らす。
「宮河くん、変わったね。やっぱり」
「久城さん?」
「今まで、こんなに緊張しなかったのに。宮河くんの
方がね」
気付かれてるんだね。
「まぁ、健に久城さんはもったいないね」
友達を見られる度に言われる。
翔が夕里を見たときも言った。
「あっ……」
「久城さん?」
愛生と優が同時に言う。
俺はいきなり制服を掴まれ、何も言えなかった。
そんなに強くはないけど。
「えっ、久城?」
「うっ、来る……」
久城のその言葉を聞き、愛生と優は顔を見合わせた。
俺も少し前の自分を感じた。
「久城さん?大丈夫だよ?」
久城、こんな人じゃなかったのに。
凄い気が強くて、愛生みたいな人だった。
「あれっ、久城さん?」
「あっ、夕里」
「どうしたの?大丈夫だよ?」
夕里は久城の背中をさすった。
少し前の、俺を落ち着かせるように。
「やっ……」
久城はその場にしゃがみ込んだ。
その時、教室のドアが開いた。
担任、登場。
こんな時に。
愛生が小さく舌打ちをしたように聞こえた。
「はーい、もうしばらく外に居て〜?」
そう言って担任を追い払う愛生。
そしてそのまま久城の隣に来てしゃがんだ。
「凄いね。分かるんだ」
「ちょっ、あの、人……」
「良いよ。落ち着いてからで。あたし達はずっとここに
居るから」
「宮、本さ…ん……」
何故か凄い悪い事した気分。
女の子泣かせちゃいました みたいな。
その女の子の周りに他の子が集まってきてる、みたいな。
「健?大丈夫?」
「えっ、俺は、別に……」
「ちょっ、ごめんね?」
そう言って愛生は俺を廊下に出した。
「何?」
「しばらくここに居よ?誰も来ないから大丈夫」
「愛生……」
愛生は俺を軽く見上げ、こいつも可愛らしく笑った。
「いやぁ、でも緊張しなくなったね。まぁさっきは
怖かったでしょ」
「怖いまでは行かなかったかな」
「おっ、凄いじゃん。このまま良くなるといいね」
なんだか大袈裟になってる。
すごい難病にでもなっちゃったみたいな。
「すみま……せん……」
「私達の事は気にしないで?」
「はっ、ケホッケホッ……」
久城の小さな咳や少し乱れた呼吸が教室から聞こえて
くる。
本当、心身ともに弱い感じが伝わってくる。
そんな姿を変えた久城を、再び元の姿に戻す事は、
今の俺らに出来るだろうか。
流石に何年もの月日が経てば変わるか。
そんな、少し変わった久城が今、俺の隣に。
「宮河くん、居たんだね」
「うん」
「宮河くんが居てくれれば大丈夫だね」
久城……
「そんなに頼れるか分かんないけどね」
「えっと?お二人はどんなご関係で?」
「友達。小学の頃一緒で。中学行く頃に
引っ越しちゃったの」
「よろしくお願いします」
「ハハッ、何?そんなに緊張しないでよ。ウケる」
そんな強烈なキャラの俺の前の席の女子に久城はただ笑うしかなかった。
「可愛い子ね?羨ましいんだけどぉ〜っ」
「沖野も十分だと思うけど?」
優、優しい。
まぁ、可愛くなくはないけど。
決して優のタイプではない。
「沖野さん?」
「ちょいちょいちょい、さんとかマジやめて〜?
ハッハッ」
沖野の豪快な笑い声が教室内に響き渡る。
「あっ、ウチ、沖野 葵。よろしくねん」
「久城杏梨です」
「さっきよーく聞いた。そんな緊張しなくて
良いかんね?」
「ありがとうございます」
少し前に見た事ある気がする。
あ、俺か。
久城が人見知りになって帰って来た。
人見知り、で済んでるよね?
俺は授業中も久城の事を考えてた。
ちょっと怪しいけど。
そんな感じで居たら授業は終わっていた。
「あの、宮河くん……」
「ん?」
「ちょっと……良いかな…」
「あっ、うん」
俺は久城に誰も来ないような階段の踊り場に連れて
来られた。
「どうした?」
「いや、あの……」
「良いよ。言えるようになってから、ゆっくりで」
夕里も言ってくれた、この言葉。
あの時の俺ほど、久城が落ち着けるか分からないけど。
「宮河くんも、変わったん……だね……」
「初めて会ったの。友達って思える人に」
「友達、か。私には……宮河くん……だけだね…」
「久城?」
「ふふっ、ごめん…ね……」
そう言って久城は教室に向かった。
久城、何かあったのかな。
俺はしばらくそこにいて、教室に向かった。
教室に入ろうとした時、男子の声が。
久城、囲まれた。
俺はため息を吐き、教室に入った。
「宮河くーん」
「あっ、宮河くん」
「久城人気じゃん」
「私可愛いから」
「分かってるぅ〜っ!」
楽しそうな男子の声。
久城もそんなに嫌がってはいないようだ。
担任が、苦手だったかな。
「分かるよぉ〜?」
「イェーーイ!」
学園ドラマでも観ているような気分。
「K・U・J・O、久城!」
男子の声、ピッタリ。
楽しそうで良かったです。
クラブとか、ライブ会場みたい。
けど、この学校、こんなに男子居たっけ。
俺は大量の男子を見た。
うん。
いろんな所から来てるね。
制服バラバラ。
中には私服の人も。
私服って。
かなり偏差値高いじゃん。
「はいはーい!みんな帰れ〜っ!」
「わっ、愛生……」
「んでこんなに男ばっかかな。男子高?」
「宮河くーん、その子はぁ?」
「友達、かな?」
「かな?じゃねぇよ」
そう言って愛生は俺の腰を叩いた。
「腰、ヤメて?」
「そこしか届かねぇんだよ。いーから帰れ〜っ」
「そんな可愛い子ねに言われたらしょうがないな」
「イェーーイ!」
本当に現実かな。
愛生の声を合図に、大量の男子がゾロゾロと教室から
出て行く。
「ふふふっ、すごい数の男の子」
「久城さん、大丈夫?」
「少し怖かったけど、意外と優しい方が多くて」
「あらやだ。言葉綺麗なのね」
「久城、お育ちが良いの」
「あら、お嬢様?なら何故こんな学校に?」
「宮河くん、ヤメてよ……」
そう言って恥ずかしそうに笑う久城が可愛らしかった。
「久城さんって、名前がかっこいいもんね。お金持ち
そうな」
「ヤメてくださいよっ」
「ハハハッ、あ、あたし宮本 愛生。よろしくね」
「あっ、久城杏梨です」
「大丈夫。さっき聞いたわ。10月生まれなんだよね?」
「あっ、そこまで覚えて頂いて……」
「ちょい、敬語とかほんとヤメて?」
「こんなに、人と話したこと……なかった……から……」
「まぁ、敬語が話しやすいならそうして?まっ、そんな
感じでよろしくっ」
「はい、こちらこそ……」
久城は愛生が席につくまで頭を下げていた。
「疲れちゃうよ?」
「なんかね。初めて話す方だし……」
「ちょ―い、気にしないでぇ〜?」
愛生の明るい声が言う。
「まぁ、そのうち慣れるっしょ」
「うん……」
久城は俺の制服をそっと掴んだ。
「久城?」
「なんか、落ち着く…」
「そっか」
ならいつまでもそうして居れば良い。
久城が落ち着くなら。
その時、久城は倒れ込むように俺に抱きついた。
「えっ……久城、え?」
急にレベル上げるね。
ちょっと、厳しいかな。
「少し、良い?」
ダメとは言えないよね。
久々に緊張が凄い。
「久城さん、健おかしくなっちゃう。そんな可愛い子に
抱きつかれちゃっ」
愛生が俺の気持ちを悟ったように言う。
愛生さん、ありがとうございます。
「うわっ!すごいラブ」
「あっ、優、いや、これ……」
「ハッハッハッ、すんごい緊張してるじゃん」
「ほらぁ、久城さん可愛いから」
正直そういうのは関係ない。
他人がここまで近くに居るということが……
「ごめんね」
そう思ったら、ちょっとだけ離れて欲しいかな。
「ありがと」
久城が俺を見上げて言う。
俺はその真っ直ぐな瞳から目を逸らす。
「宮河くん、変わったね。やっぱり」
「久城さん?」
「今まで、こんなに緊張しなかったのに。宮河くんの
方がね」
気付かれてるんだね。
「まぁ、健に久城さんはもったいないね」
友達を見られる度に言われる。
翔が夕里を見たときも言った。
「あっ……」
「久城さん?」
愛生と優が同時に言う。
俺はいきなり制服を掴まれ、何も言えなかった。
そんなに強くはないけど。
「えっ、久城?」
「うっ、来る……」
久城のその言葉を聞き、愛生と優は顔を見合わせた。
俺も少し前の自分を感じた。
「久城さん?大丈夫だよ?」
久城、こんな人じゃなかったのに。
凄い気が強くて、愛生みたいな人だった。
「あれっ、久城さん?」
「あっ、夕里」
「どうしたの?大丈夫だよ?」
夕里は久城の背中をさすった。
少し前の、俺を落ち着かせるように。
「やっ……」
久城はその場にしゃがみ込んだ。
その時、教室のドアが開いた。
担任、登場。
こんな時に。
愛生が小さく舌打ちをしたように聞こえた。
「はーい、もうしばらく外に居て〜?」
そう言って担任を追い払う愛生。
そしてそのまま久城の隣に来てしゃがんだ。
「凄いね。分かるんだ」
「ちょっ、あの、人……」
「良いよ。落ち着いてからで。あたし達はずっとここに
居るから」
「宮、本さ…ん……」
何故か凄い悪い事した気分。
女の子泣かせちゃいました みたいな。
その女の子の周りに他の子が集まってきてる、みたいな。
「健?大丈夫?」
「えっ、俺は、別に……」
「ちょっ、ごめんね?」
そう言って愛生は俺を廊下に出した。
「何?」
「しばらくここに居よ?誰も来ないから大丈夫」
「愛生……」
愛生は俺を軽く見上げ、こいつも可愛らしく笑った。
「いやぁ、でも緊張しなくなったね。まぁさっきは
怖かったでしょ」
「怖いまでは行かなかったかな」
「おっ、凄いじゃん。このまま良くなるといいね」
なんだか大袈裟になってる。
すごい難病にでもなっちゃったみたいな。
「すみま……せん……」
「私達の事は気にしないで?」
「はっ、ケホッケホッ……」
久城の小さな咳や少し乱れた呼吸が教室から聞こえて
くる。
本当、心身ともに弱い感じが伝わってくる。
そんな姿を変えた久城を、再び元の姿に戻す事は、
今の俺らに出来るだろうか。
