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Best Friend〜姿を変えた君と〜 2


なんでこうなっちゃうんだろう。

こんなとこ、来たくなかったのに。

けど、あの人の事を考えると、冷静でいられなくなるって
いうか。

なんだろう。

教室連れてこららた時から苦手なタイプだとは思った
けど。

「久城さん、久城さん?」

「あっ」

私の名前を呼んだのは、宮本さんだった。

「すみません……みなさん、戻って……ください……」

この人達が居るとやたら緊張する。

もちろんいい人達だとは思う。

けど、今は……

「いや……」
「分かった」

宮本さんが言い切る前に宮河くんが言ってくれた。

内心かなり安心した。

『しばらく居るよ』

なんて言われたら断りようがない。

「健?」

「安静にな」

宮河くんは優しく、囁くようにそう言い、保健室を出た。

他の人達もそれについていった。

「はぁ……」

一気に手に温度が戻ってくる。

私は体を起こし、その手を冬のようにこすった。

美男美女の四人組か。

その中に私が居て良いのか。

やっぱり宮河くんはいつ見てもかっこいい。

あれ、そういえば私が沢山の男の子に囲まれてた時。

『あらあたし宮本 愛生』

宮本愛生。

「うそ……」

あの時の、愛生ちゃん?

なんで、こんなところに。

もっと良い学校入れたはずなのに。

なんでこんな。

愛生ちゃんは前から運動も勉強も何でも出来る人だった。

その上あの綺麗な顔って。

私に少しでいいから分けてほしい。

そんなことを考えていた時、保健室のドアが開いた。

結構静かに開いた。

先生、かな。

カーテンが動く。

嘘。

誰か来るの?

私は咄嗟にカーテンから目を逸らし、少し強めに目を
閉じた。

「久城?大丈夫?」

聞き覚えのある優しい男の子の声。

「えっ、みや……かわ…くん」

「大人しくしとかないと」

「もう大丈夫。しかも、少し立ち眩みしただけだから」

宮河くんとはこんなに普通に話せるのに。

なのに、なんで他の人とは緊張するんだろう。

みんな、良い人なのに。

分かってるのに。

「良いよ、ゆっくりで。焦っても何も変わらないから」

宮河くんの優しい、綺麗な声が保健室に響く。

こんなに落ち着くなんて。

「えっ……」
「あっ」

私達の、お互い弱々しい声が同時に言う。

そんな時、保険室のドアは開く。

宮河くん、前から絶対気付く人だったからね。

小学校の時も、先生が教室に近付いてきたら明らかに顔
変わって。

「わっ!健くん?」

あれ、いつの間に行ったんだろう。

しかも先生が健くん。

随分仲良いのね。

「今日は大丈夫?」

常連さんだったんだ。

身体、弱そうだもんね。

「はい」

「今日はどんなイケメンくんかしら?」

「男じゃないですけど」

「あらやだっ!女の子〜?」

「久城です」

あまり変な事教えないでよね。

「へぇ~。聞いたことない名字」

「今日来たんですもん」

「へぇ~」

うん。

基本生徒に興味ないね。

別に変に興味持たれるより全然いいけど。

その時、近付く足音と、揺れるカーテン。

「久城さん?」

「は、はい……」

「声も顔も綺麗」

そんな事良いから、早く出て。

「はい。転校生はそっとしといてあげて。話しなら俺と」

宮河くん、本当に。

頭も顔も性格も良いんだから。

「そうね。ごめんなさい?」

「いえ……」

聞こえた、よね。

この人はまだ良いとして。

あの、担任かな。

あの男。

絶対無理だと思う。

ああいうタイプの男性は前から苦手だったけど、
なんか、特に。

あの人は、来ないよね。

ここ。

考えただけで寒気がする。

何がここまで嫌なのかは分からない。

けど、本当に嫌。

「久城?」

「久城さん?寒い?」

「えっ…」

気付けばすぐそばに居た二人。

宮河くんと、宮川先生。

名字は似てるけど、他は全く。

宮河くんほど優しい訳がないし。

あんなに優しい人はいるわけがない。

「大丈夫だよ」

先生が私の背中をさすろうとする。

「嫌……やめて…」

「久城さん……」

「あっ、すみま…せん……」

「大丈夫よ。健くんはそばに居てあげて?」

「あぁ、はい」

先生は笑ってどこかへ。

「ふぅ……」

「久城…?」

「ふふっ。そういえば、愛生ちゃんにも、こんな変な姿
見せちゃったんだよね…」

「大丈夫。愛生は分かってくれるから。そう言われた
ところで落ち着くわけでもないけどね。分かるよ」

私は宮河くんを見た。

宮河くんは優しく笑った。

どうか、この笑顔が消える事など、もう二度とありませんように。

私は心の中でだけど、強くそう願った。

「ハハッ、俺もちょっと前までずっとそこに居たから」

『ずっと』を少しためて言う宮河くん。

なんだか可愛らしかった。

宮河くんの言動はいちいち人を癒す。

笑うとこんなにも可愛い顔になるのに。

なんともない時はすごくクールで。

小学校の時は、常に変なオーラ纏ってたけど。

「中学校か……」

「何かあった?」

「中学校も、宮河くんが居たら楽しかったんだろうね…」

「久城には、も、か。言っちゃうけど、俺中学行ってないから」

「あら、不良にでも目覚めた?」

「まっ、そんなとこ」

この嘘つき王子が。

偽り王子、みたいな。

なんかこの分からない感じに惹かれる。

っていっても、幼稚園から小学校まで一緒に居たから、
ある程度分かるけどね。

不良になんかなってないって。

ただ人が怖くて、関われなくて行けなかったんだって。

行かなかったんじゃない。行けなかったんでしょ?

私は、宮河くんのほぼ全てを知ってる。

他の誰も知らないような、事も。


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