おためし小説投稿

登録一切不要で小説投稿!
文字サイズ変更 
Best Friend〜姿を変えた君と〜 2


健に笑顔が帰ってきたあの日から数ヶ月経った今。

遂にみんなが待ってた転校生、久城 杏梨がやって来た。

けど、私達四人、というか三人は気付いた。

彼女も、少し前までの健と同じような状態であることに。

健と久城さんなら、どっちの方が大変なんだろう。

そんな全く関係もなく、どうでもいい事を考えるバカな私。

そんな私、宮田 夕里(みやた ゆり)は今日も楽しい
学校生活を送っている。

隣になってもらった、宮本 愛生(みやもと あき)と
共に。

そしてわざわざ席を離れてもらった健と、その隣に
なってもらった優とも。

私、かなり酷いことしてた。

唯一ずっと一緒に居た人。

大切な幼馴染。

そんな人から色んな情報を得ようとしていた。

どんな些細なことでも良かった。

健に関する事なら、どんな事でも。

何故あそこまで必死になっていたのか?と少し前の自分に疑問と苛立ちが湧く。

そんな事してる暇、ないのにね。

今は久城さんが。

久城さんが笑えるようになったら、こういうくだらない事はしよう。

くだらない、健にとっては大事件だっただろうけど。

絶対隣になれると思ってたのにね。

もう。

そんな綺麗な心を傷つけるなんて。

何があったのか自分に聞きたいところ。

どうせろくな答えは返ってこないでしょうけどね。

けどあの日、優が健を保健室に連れて行ってくれ
て良かった。

じゃなきゃあの二人はあそこには行かなかっただろうし、先生に健が私の事をただ怖いんじゃないということを
言っていた事も私は知らなかった。

「みやった〜?」

みやった〜。

おかしいでしょ。

一時期、私達四人は『宮』の後につく方しか呼んでもらえなかったし。

別にいいけど、なら名前を呼べって思ってしまった。

「田!」

でた。

「なんですか」

「答えろ」

「はぁ?んじゃあ……」

「はぁ。お前さぁ、頭は良いんだからもう少し真面目に
答えろよ」

誉められてるのか貶されてるのか。

「はい」

先生が黒板に答えを書き終わった時。

「やったぁ!」

授業終了を告げる、なんとも嬉しいチャイムが鳴った。

「はい。おわり」

終了!

私の戦いの時間は終わりを迎えた。

睡魔との、戦いの時間。

眠気は何処かへに吹き飛び、私は優の席に吹き飛んだ。

「夕里?」

「おつかれ」

「お疲れ様です」

丁寧なのね。

私は当たり前のように健の席に座った。

その時、いけない視線を背中に感じた。

かなり高い位置から。

私はその線を辿り、犯人の目に辿り着いた。

「あれれ?宮河の健くんじゃない?」

「あれれ?そこは俺の席じゃない?」

怖い怖い。

「あれれ?ちょっと間違えちゃったんじゃない?」

「帰りたまえ」

「嫌ぁ!触るな」

「ならば俺の席から羽ばたいて行け」

「ハハハッ」

優の可愛らしい笑い声で雰囲気が一気に穏やかに。

そんなに緊張感もなかったけど。

「夕里」
「健」

「笑われてんぞ?」
「笑われてるよ?」

「何その二人。超ピッタリ。ウケるし」

ウケられたし。

ダメだ。

まだ扱い方に慣れてない。

私達、意外と言葉は綺麗?

いや、バカとか色々言ってるか。

「良いからさっさと戻れバカ」

こう考えてる時にも。

「何よ!偽り王子が」

「別に」

「ほら!素直〜っ」

「つかさぁ、夕里ちゃんだっけ?」

「あぁ、はい?」

「態度変わり過ぎ」

私は何も言わずに健の腕を殴った。

「腕青くなっちゃうよ……」

「アザ?」

「虐待受けてっから」

「んな事言わないの」

「優しい夕里が出てきた」

優しいとか関係ないと思うんだけど。

「良いから席戻れバカ女」

「私はまだこの可愛いガールとお話があるの」

「そういや健くん、舌打ち上手いよね」

「だろ〜?」
「誉めてねぇし」

「なんか最近俺の扱いかなり変わったよね」

「前からこんなもんよ」

もう、元気になったからね。

こうやって笑えるように、冗談も言えるようになった
から。

ずっと待ってたよ。

この時を。

この時が、流れる時を。

「あぁ、沖野さん?何?」

「何?夕里もさん付け?何か嬉しいっつーかウケん
だけど」

何にでもウケられるんだね。

「何話そうとしたか忘れたしぃ〜」

あ、ウケないんだ。

「ウケる〜」

ウケた。

優も健も黙っちゃったよ。

私一人でこの強敵を倒せと?

「宮河健」

「何」

えっ、てか、素だよね?

嘘、また?

足音、聞こえてきた。

大丈夫、か。

そんなに怯えた様子はない。

もうあんな姿は、見たくなかった。

「で、何」

「ちょ、私も忘れた。バカ、ですからね?」

「良く分かってらっしゃる」

「ムカつくー」

「健も良かったね」

私達三人の視線が沖野さんに。

「健、笑えてなかったから」

本当だよね。

やっと笑ってくれた。

最高の達成感。

「前から笑ってたし」

「嘘好きねぇ。下手だけど」

「俺は素直だから」

前はあんなに上手かったくせに。

下手になって良かったよ。

「健、大丈夫?今度は体が心配なんだけど」

私と優の視線は健に。

「顔色悪くね?」

「鉄摂りな?」

「えっ、本気?」

「無駄な心配してねぇで席戻れ」

久城さん、心配なのかな。

ちょっと健、ごめんね?

「久城さんに会いに行く?」

違う、か。

何も変わらない。

えっ、逆に嘘上手くなっちゃった?

まだ、落ち着かないんだろうね。

「まぁ良いや。じゃあね、無理しないで?」

無理はダメ。

これはどんな人にでも言える事。

どんなに元気な人でも、無理をすればダメになる。

無理とストレスはダメだよね。

なのにそれを健に与えていた私。

分かってるつもりなのに。

本当に、実際は何も分かってない。

「あれっ!?愛生は?」

「さっき教室出てったけど?」

「はぁ!?」

どこに行ったのよ。

私達にくらい言ってくれても良くない?

まぁ、秘密のない人間なんて居ないか。

私は必死に自分に言い聞かせた。

また、探りそうで、調べそうで。

あ、そういえばさっきの、健が言ってたね。

良かったよ。

これからも私達に癒やしの時間をください。


<2016/08/03 10:02 秋の空>消しゴム
Copyright(C) おためし小説投稿 Since2013 All Rights Reserved.