健の姿が見えなくなってからしばらくした頃。
あたしたちはやっと現実に戻ってきた。
「えっ!?」
「んであんなとこ?」
「あっちって?」
「外、だよな」
「はぁ!?」
あたしは夕里を下ろし、健の向かった方へ走った。
外、なんで?
少し走った所に、健が居た。
「けんっ」
あたしは咄嗟に夕里の口を塞いだ。
あの時の、健のように。
なんとなく、行かせちゃいけない気がした。
もちろんあたしも行きたい。
「んっ、んーん……」
「あっ、わりぃ」
あたしは夕里の口元から手を離した。
「はぁ、はぁ、息出来ないでしょ!?」
「静かに!」
どうか夕里が殺気を出していないことを願う。
「健……ダメ?」
あたしは夕里の悲し気な声に頷いた。
今は、一人にしてあげた方が良い気がしたから。
どうしたんだろう。
つか、しゃがむと本当に小さい健の背中。
足も開かずにしゃがむから、余計に。
なんであんなに小さいんだろ。
そんな事を考えていると、鼻をすする音が聞こえた。
泣いてるの?
ならばこうしてやるしかないわな。
あたしは夕里を見た。
夕里もあたしを。
あたしたちは目を合わせ、頷いた。
「健っ」
あたしと夕里は健を真ん中にしてしゃがんだ。
何も言わない健。
まぁ、そう思ったけど。
だからあたしたちは何も言わずにしばらくそのままで居た。
そのまま数分経った頃。
「あんり……」
杏梨。
久城さんの事かな。
杏梨!?
久城じゃないんだ。
「ん?久城さんなら保健室だよ?」
そんな驚きでいっぱいのあたしとは違って冷静に健に
話し掛ける夕里。
「あん……り…」
久城じゃないんだ。
何度聞いてもそう思ってしまう。
まだ二回目か。
「あんり……また…」
「ん?なに?」
健は夕里の優しい言い方で出た言葉に首を振った。
「大丈夫だよ」
「どうしたんだろ……」
声が少し落ち着いてきた。
「久城さん?」
健は小さく頷いた。
本当に小さな子供に見えてきた。
「あんり……また……やだ…」
『また』ってなんなんだろう。
「ま…た……」
また、何?
いやいや、何イライラしてんのよ。
何?久城さんだから?
あたしらの他の大切な人だから?
嫉妬?
恥ずかし……
「また……いな…」
「大丈夫だよ?久城さんのとこ行く?」
健は首を振った。
「これじゃ……」
「ん?」
「しんぱい……させる…」
心配って何?
また?
心配?
前にも心配させたのかな。
「またっ、くじょ…う……」
健は自分の制服を掴んだ。
「また、何?前、何かあったの?」
健は頷いた。
驚きすぎて声が出そうだった。
けど、それから健の口から何か言葉が出てくることは
なかった。
久々に泣いた健。
疲れたでしょ。
すんごい眠そう。
「健、中行かない?」
あたしはここに来てから初めて健に話し掛けた。
もちろん首は横に振られた。
「また……居なくなるのかな……」
健が微かに聞こえる声で言った。
「ん?居なくなる?」
「また、あの時みたいに……急に…」
久城愛が凄いんだね。
「大丈夫だよ?」
「久城、そういう所の子だから」
どういう所?
「そういう所?」
「だから、しょっちゅう海外も行ってる」
だから、の意味が分からないんだけど。
って、本当になんでこんなイライラしてるの?
そんな自分にもイライラする。
「親が、凄い人だから」
健はそう言った後、『色んな意味で』と小さく言った。
色んな、意味。
「それで何回も海渡ってる」
海渡っちゃったよ。
あ、海外行ってるって言ってたじゃん。
「久城さん、怖いから」
さん?
「久城さん?」
「杏梨のご両親」
どんな家の子だよ。
「なんか凄い金持ちみたいで……」
あぁ、名前がもうね。
久城 杏梨。
かっこ良すぎでしょ。
「それで、親に連れてかれてるみたい」
「そっか」
「どうしよう……」
「大丈夫だよ?」
あたしは健の背中を優しく数回叩いた。
「杏梨、居なくなったら……」
久城杏梨、最強。
「おれ……また……」
そう言った健の体が少し震えた。
そして健は自分の制服の両腕を強く握った。
ああなるのも怖いんだ。
まぁ、なりたくてなる人は居ないだろうけどね。
「大丈夫。その時は、私達が居るよ?」
ほーん。
代わりになんかなれるわけないじゃん。
ダメだ。
健は今冷静に考えられなくなってるの。
分かってやれよ。
何イライラしてんのよ。
イライラしたって現状は変わらない。
「杏梨……居たから…」
「健、大丈夫」
「やだっ……あん…り……」
「大丈夫。久城さんはどこも行かない」
健は夕里に優しく出された言葉に何度も頷いた。
「大丈夫。嫌な事は考えないよ?」
夕里、優しいんだね。
「大丈夫。そのうち、どうにかなるんでしょ?」
そういえば健、よく言ってた。
「大丈夫。だから、今はゆっくり、楽しく過ごそ?ね?」
「でも……」
難しいよね。
「確かに難しいかもしれない。けど大丈夫。健なら
できるよ?」
本当は夕里と健が幼馴染なんじゃないの?と思うほど
あたしは何もしてあげられてない。
「宮河くん」
うわ、久城杏梨。
「杏梨はどこも行かないよ?」
一人称名前なんだ。
なんかかっこいい。
あたしも愛生って言おうかな。
『愛生はどこも行かない〜っ』
想像しただけで鳥肌が立つ。
「杏梨……」
「ずっと居るよ。健……と」
うわ、名字にくん付けから健。
凄い子だな。
「あんり……」
「ん?杏梨居るよ?」
えぇ、この二人の関係性が全く見えないのですが。
何で結ばれてるのよ。
まぁ、何で結ばれてるか知らないけど、あたしはずっと
見守ってくよ。
この、美男美女を。
あたしたちはやっと現実に戻ってきた。
「えっ!?」
「んであんなとこ?」
「あっちって?」
「外、だよな」
「はぁ!?」
あたしは夕里を下ろし、健の向かった方へ走った。
外、なんで?
少し走った所に、健が居た。
「けんっ」
あたしは咄嗟に夕里の口を塞いだ。
あの時の、健のように。
なんとなく、行かせちゃいけない気がした。
もちろんあたしも行きたい。
「んっ、んーん……」
「あっ、わりぃ」
あたしは夕里の口元から手を離した。
「はぁ、はぁ、息出来ないでしょ!?」
「静かに!」
どうか夕里が殺気を出していないことを願う。
「健……ダメ?」
あたしは夕里の悲し気な声に頷いた。
今は、一人にしてあげた方が良い気がしたから。
どうしたんだろう。
つか、しゃがむと本当に小さい健の背中。
足も開かずにしゃがむから、余計に。
なんであんなに小さいんだろ。
そんな事を考えていると、鼻をすする音が聞こえた。
泣いてるの?
ならばこうしてやるしかないわな。
あたしは夕里を見た。
夕里もあたしを。
あたしたちは目を合わせ、頷いた。
「健っ」
あたしと夕里は健を真ん中にしてしゃがんだ。
何も言わない健。
まぁ、そう思ったけど。
だからあたしたちは何も言わずにしばらくそのままで居た。
そのまま数分経った頃。
「あんり……」
杏梨。
久城さんの事かな。
杏梨!?
久城じゃないんだ。
「ん?久城さんなら保健室だよ?」
そんな驚きでいっぱいのあたしとは違って冷静に健に
話し掛ける夕里。
「あん……り…」
久城じゃないんだ。
何度聞いてもそう思ってしまう。
まだ二回目か。
「あんり……また…」
「ん?なに?」
健は夕里の優しい言い方で出た言葉に首を振った。
「大丈夫だよ」
「どうしたんだろ……」
声が少し落ち着いてきた。
「久城さん?」
健は小さく頷いた。
本当に小さな子供に見えてきた。
「あんり……また……やだ…」
『また』ってなんなんだろう。
「ま…た……」
また、何?
いやいや、何イライラしてんのよ。
何?久城さんだから?
あたしらの他の大切な人だから?
嫉妬?
恥ずかし……
「また……いな…」
「大丈夫だよ?久城さんのとこ行く?」
健は首を振った。
「これじゃ……」
「ん?」
「しんぱい……させる…」
心配って何?
また?
心配?
前にも心配させたのかな。
「またっ、くじょ…う……」
健は自分の制服を掴んだ。
「また、何?前、何かあったの?」
健は頷いた。
驚きすぎて声が出そうだった。
けど、それから健の口から何か言葉が出てくることは
なかった。
久々に泣いた健。
疲れたでしょ。
すんごい眠そう。
「健、中行かない?」
あたしはここに来てから初めて健に話し掛けた。
もちろん首は横に振られた。
「また……居なくなるのかな……」
健が微かに聞こえる声で言った。
「ん?居なくなる?」
「また、あの時みたいに……急に…」
久城愛が凄いんだね。
「大丈夫だよ?」
「久城、そういう所の子だから」
どういう所?
「そういう所?」
「だから、しょっちゅう海外も行ってる」
だから、の意味が分からないんだけど。
って、本当になんでこんなイライラしてるの?
そんな自分にもイライラする。
「親が、凄い人だから」
健はそう言った後、『色んな意味で』と小さく言った。
色んな、意味。
「それで何回も海渡ってる」
海渡っちゃったよ。
あ、海外行ってるって言ってたじゃん。
「久城さん、怖いから」
さん?
「久城さん?」
「杏梨のご両親」
どんな家の子だよ。
「なんか凄い金持ちみたいで……」
あぁ、名前がもうね。
久城 杏梨。
かっこ良すぎでしょ。
「それで、親に連れてかれてるみたい」
「そっか」
「どうしよう……」
「大丈夫だよ?」
あたしは健の背中を優しく数回叩いた。
「杏梨、居なくなったら……」
久城杏梨、最強。
「おれ……また……」
そう言った健の体が少し震えた。
そして健は自分の制服の両腕を強く握った。
ああなるのも怖いんだ。
まぁ、なりたくてなる人は居ないだろうけどね。
「大丈夫。その時は、私達が居るよ?」
ほーん。
代わりになんかなれるわけないじゃん。
ダメだ。
健は今冷静に考えられなくなってるの。
分かってやれよ。
何イライラしてんのよ。
イライラしたって現状は変わらない。
「杏梨……居たから…」
「健、大丈夫」
「やだっ……あん…り……」
「大丈夫。久城さんはどこも行かない」
健は夕里に優しく出された言葉に何度も頷いた。
「大丈夫。嫌な事は考えないよ?」
夕里、優しいんだね。
「大丈夫。そのうち、どうにかなるんでしょ?」
そういえば健、よく言ってた。
「大丈夫。だから、今はゆっくり、楽しく過ごそ?ね?」
「でも……」
難しいよね。
「確かに難しいかもしれない。けど大丈夫。健なら
できるよ?」
本当は夕里と健が幼馴染なんじゃないの?と思うほど
あたしは何もしてあげられてない。
「宮河くん」
うわ、久城杏梨。
「杏梨はどこも行かないよ?」
一人称名前なんだ。
なんかかっこいい。
あたしも愛生って言おうかな。
『愛生はどこも行かない〜っ』
想像しただけで鳥肌が立つ。
「杏梨……」
「ずっと居るよ。健……と」
うわ、名字にくん付けから健。
凄い子だな。
「あんり……」
「ん?杏梨居るよ?」
えぇ、この二人の関係性が全く見えないのですが。
何で結ばれてるのよ。
まぁ、何で結ばれてるか知らないけど、あたしはずっと
見守ってくよ。
この、美男美女を。
