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幻獣師
- 11話 -

––––––いつか私は、神様になるのよ。


不意にそう言われて、僕は首を傾げた。

毛布にくるまって、顔を隠して、凛とした声で、彼女はそう言った。

彼女の名はエリー。黄金(こがね)の髪と瞳を持つ、この国の“國神さま”の1人。
彼女は、伝承通り、『神に愛された少女』である。
彼女の声は疫病を祓い、人々を救い、国を豊かにする。

半世紀前まで、僕らは「悪魔の子」として、あらゆる不遇を強いられていたのだから、十分な出世といえるだろう。


「…そして、貴方をずっと守るの」


彼女は、とても気丈な女性だった。
もし、彼女の美しい髪が、もしも、肩までしか無ければ、きっと、この国一の美男子と間違えられるだろうと思うほどに。
彼女が女性で居られるのは、きっと、絹のような髪のおかげだ。

だから、僕は違和感を覚えたのだ。
彼女は、弱々しく、まるで女性のように、泣きそうな声で、繰り返すものだから。


「貴方を、守るのよ」

「…うん」


戸惑いながらも、とっても素敵だ。素直にそう続ける。
すると途端に、彼女は元気よく、頭を上げてこちらを見た。

その目の白は赤く色づいていて、一目で彼女が良くない状態であることは瞭然だった。
でも、目の黄金は、星々に照らされて、きらきら、きらりと、いつもよりもさらに美しく、輝いていた。


「約束よ。貴方は、私に守られるの!」


嬉しそうに小指を差し出すので、僕もつられて嬉しくなった。
小指を絡み付けて、軽く揺らす。



「ああ、約束だ。」



遠い日の記憶。とても懐かしい思い出。
僕は心の中で繰り返した。
約束だ、約束。僕も絶対、彼女をずっと近くで守り、ずっと守られる。ずっと一緒にいる。



視界の端で、真白の翼が揺れた。



嗚呼、これが、破綻の前兆であると、誰が気づいてくれただろう。

どうして気づいてくれぬのだろう。

<2016/08/13 07:45 わかめ>消しゴム
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