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幻獣師
- 12話 -

下の方が、やけに騒がしい。

ヴァイパーは、基地の上部にある個人部屋にいた。スラム街跡地付近の集合住宅と雖も、やはり防音などには気を使っている。
それでも、うるさい。それは、防音の機能を無視してしまうほどに。
まさか基地の全員が集まっているのではあるまいな。その不安を胸に、急ぎで基地の入り口付近へと足を運んだ。
いくら盗賊を匿っているとは言えど、騒いで国軍に見つかっては忍びない。いつもなら注意するところだが。


ふと、足が止まる。


周りがいっとう騒がしくなったと思えば、そこに“ソレ”はいた。

「ッヴァイ…パー…!」
「いかにも、俺がヴァイパーだ。お前はエヴァンだな?」
「ヴァイパー、コイツ“死の森”の目の前で倒れてたんだ…」

…まだ15にも満たぬ子供じゃないか。

その言葉を飲み下し、ヴァイパーは言葉を探す。それに、子供 エヴァンは縋った。

「ヴァイパー、俺、薬を、もって、きたんだ…!ッ
薬、薬だ、たくさん…薬…!」
「!あの『天』から…盗めたのか…⁈」
「いや…俺……ッ」

あまりに荒れている息を不審に思い、そっと額に手をやると、すぐに熱が伝ってきた。
…風邪をひいている。
そばにいたローカスに介抱するよう伝え、自分は立ち上がり自室に戻ろうと踵を返した。

そのときだ、耳が、雑音の中の“それ”を拾ったのは。



「リン………リ、ン…」



目を見開いて振り向くと、少年はすでに、気を失っていた。
部下がこれ見よがしに心配するのを横目に、介抱をしようとしていたローカスを引き止める。
案の定、奴は目を瞬かせて、「ボス?」と疑念を示した。


リン。その名は、きっと誰も知らないだろう。
古代、未開の地である東洋の国から、ひとつとぷりと流れてきた、第一幻獣師『リン』の名は。



「…奴に、会ったのか…」



今は褪せた歴史の1頁に刻まれた、だけである。




「…今すぐ準備をしろ」
「はっ…?」




『“麒麟狩り”を、始めよう』




口元が弧を描く。

俺は記憶の糸をなぞる。

嗚呼、リン。

忘却の彼方の防人よ。


貴様は所詮、1頁だ。

遅くなってしまい申し訳ございません!
掛け持ちの小説、友人との企画、その他もろもろでバタバタバタバタしており、行き詰まりました。
これからは正常になると思います。
<2016/08/19 16:16 わかめ>消しゴム
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