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幻獣師
- 16話 -

意味が、分からない。


開いた口が塞がらない。


目の前の彼は、何と言った?



震える体に鞭打って、蚊の鳴くような声で、それでも相手に伝わるように、言葉を紡ぐ。



「ぼく、僕は、裏切ってなんかない。信じてくれ、僕は、誓ってそんなことしてないよ。」


縋るようにルドルフを見る。彼は依然として冷え切っていた。
侮蔑を孕んだ視線から逃れたくて、僕は懸命に拳を握り、それに、と続けた。



メシア
「救世主だって?そんなの知らない、僕はただの、ヴァイパーお抱えの盗賊さ!」



そうだろう?お前だって、そうなんだろう!?
いつの間にかなにも言わなくなったルドルフに、そう問いかける。
メシア、救世主だって?僕は、間違ってもそんな貴い身分ではない。むしろ逆である。汚い男と汚い女のもとに生まれた、汚い盗賊。

生きるためなら何だってした。ヴァイパーのために、身を粉にして働いた。
盗みはもちろん、女の手引きや子供の売買…表立って言えないことなんて、それこそ星の数だけある。

でも、そうやってしか生きられないんだ。泥水を啜ってでも、地を這い蹲ってでも、生にありつけなくちゃ!
それが僕ら、底の民の生き様だ。そしてそれを、見込んで拾ってくれたのは、他でもない ヴァイパーたちだ。

そんな僕が、彼を裏切るものか。確かに麒麟ーーリンとは出会ったけれど、ルドルフの掲げた魔薬は、僕のものだ。
盗んでなんか、いない。


シン、と静まる独房に、やっと分かってくれたか。と、期待の色を滲ませた面をあげ、固まった。


「のんだのか」


その表情からは、何も受け取れなかった。
その言葉からは、何も感じれなかった。
怒りだ、いや、苦しみだ?ちがう、これは、落胆だ!


いいや、違う?







「ああ、なんてことだ、ちくしょう!!」







意味が、分からない。






「もうこれで、“何もできなくなってしまった”」






開いた口が塞がらない。






「お前の、お前のせいだぞ、裏切り者!!!」


「“麒麟狩りが、始まっちまう”」





目の前の彼は、何と言った?

約一ヶ月ぶりですね!お久しぶりです。
小説を書くのも久しぶりすぎて、文がいつも以上にぐちゃぐちゃです。これからもよろしくお願い致します…。
<2016/10/26 21:36 わかめ>消しゴム
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