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幻獣師
- 4話 -

僕の目の前には、気が狂うまでに切望していた、“宝”があった。
赤いラベルと、青いラベルの貼られた、小瓶が2つ。
これらは、金よりも、僕の命よりも貴重な、“英雄”のための宝だ。

「たっ、たった、たた…!」
「そんなのが欲しかったの?」
「そんなのって言うなよ!あああ…やっと会えた!」

心底引いたような顔をしたリンを無視して、僕は久しぶりの再会に心を震わせた。

…まさか、リンが見つけてくれたのだろうか?

なんて良い奴なんだ。良い奴すぎる。今までの非礼を謝りたいほどだ。
こんなクソガキにここまで優しくしてくれるだなんて。優しすぎる。

僕は少しばかり高い位置にあるリンの肩をわし摑み、感謝の大声を張り上げた。

「ありがとう、リン‼︎」
「ん、なんで?」
「惚けるなよ!もうお前は親友だ!いや、心友だよ!」
「え…うん…ありがと…」
「これで殺されずに済む!何せ僕のボスは、あの“幻獣師”ヴァイパーだからなぁ!」
「…ヴァイパー…?」
「ああ!
“幻獣師”にしてこのラヘイド王国の真の支配者となる男さ!長年、僕ら平民のために、王宮を敵に回した、まさに『英雄』!
彼は慈悲深い男だが、この宝は彼の生命の存続に関わる貴重な品だ。いくら彼が許しても、彼の部下が許さないだろう。
嗚呼、本当に見つかって良かった。
リン、お前は僕の、ヴァイパーの、命の恩人だよ」

力説を終えて、僕は、ふと、いつの間にやら黙りっぱなしになっていたリンに、笑って目を向けた。

「………っ、リン……?」
「…あのね、エヴァン」
「っあ、ああ」

そして、思わず頬を引きつらせた。彼女は、今まで見たことのない表情をしていた。顔の表情という意味なら、全く、先ほどまでと同じである。だが、そうではない。
元から表情の変化が乏しい人間だということは分かっていたが、まさか、こんなにも凄まじく、印象が変わるだなんて。

…リンは、まるで氷のようで、見ているこちらの方が凍てついた。


そして、次の言葉に、僕は唖然とするのであった。


「その“ヴァイパー”は、ただの犯罪者だよ」


その言葉は、蔑みと哀れみを込めて、僕を嬲りつけた。

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明治妖刀物語/涼神 様
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<2016/08/08 20:03 わかめ>消しゴム
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