胃の奥から込み上げてくる、吐き気、吐き気、吐き気。
「ゔ、ぉえ゛…ッ」
頭を支配するのは、それだけだった。
ドアの開く音がする。エヴァンかも、そう期待を乗せて顔を上げたが、そこに居たのは––––––…
「ただいまー………ワオ、何事?」
「………グ、リー…ド…」
「あーあー…ちょっと待ってろ、なるべく吐かずに」
「っん…」
––––––グリードという名の男である。
見知った人間だし、信用に足る人物なので、わたしは彼に、同棲の条件付きで、よく雑用を頼んでいた。
今日中に帰ってくることは知っていたし、実を言うと、昨日エヴァンが落ちてきたときは、この目の前の男が落ちてきたのか、はたまた何かを仕出かして、小さな少年になったのかと思っていた。まあ、顔立ちで違うと分かったのだが。
「もー…なんでこんなトコで倒れんのさー」
そのグリードは、玄関前に頽れていたわたしを股越して、のれんの先に消えていった。
ガチャガチャと棚の扉が開く音を背に、わたしは蹲った。
いつもなら追い返していたところだが、何せ今は余裕が無い。
込み上げてくる吐き気に顔をしかめて、グリードの帰りを待った。すると、「あったあった」などとほざく阿呆が戻ってきた。
彼はわたしの体を起こし、2粒の錠剤を口に押し込んだ。素直に飲み込めば、息を吐く。
「俺ちゃんと出してたよね?なんで無くなるかなー」
暫くすれば、体が楽になった。
ぶーぶーと文句を垂れるグリードを眺める。
黄金の髪に、着物にフードを縫い付けた、なんとも珍妙な洋服が印象的だ。目は前髪に隠れて見えないが、鼻口その他から、整っていることは一目瞭然だった。
本当に、顔だけは良い。脳内で嗤えば、タイミング良く其奴は話しかけてきた。
「ねえ、聞いてる?俺明後日の分まで出してたよね?
なんで無くなってんの?」
「ん…魔薬ならあげた」
素直に供述すれば、グリードは、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして、ただ一音、「は」、と声だけあげて、固まった。
「はぁああ⁈‼︎」
そして、珍しくも叫び散らした。
…先ほどまで吐き気に苛まれていた身としては、あまり大声をあげては欲しくなかった。
頭がキンキンと、まるで氷を1キロほどかきこんだように痛んだような、そんな気がした。
「ゔ、ぉえ゛…ッ」
頭を支配するのは、それだけだった。
ドアの開く音がする。エヴァンかも、そう期待を乗せて顔を上げたが、そこに居たのは––––––…
「ただいまー………ワオ、何事?」
「………グ、リー…ド…」
「あーあー…ちょっと待ってろ、なるべく吐かずに」
「っん…」
––––––グリードという名の男である。
見知った人間だし、信用に足る人物なので、わたしは彼に、同棲の条件付きで、よく雑用を頼んでいた。
今日中に帰ってくることは知っていたし、実を言うと、昨日エヴァンが落ちてきたときは、この目の前の男が落ちてきたのか、はたまた何かを仕出かして、小さな少年になったのかと思っていた。まあ、顔立ちで違うと分かったのだが。
「もー…なんでこんなトコで倒れんのさー」
そのグリードは、玄関前に頽れていたわたしを股越して、のれんの先に消えていった。
ガチャガチャと棚の扉が開く音を背に、わたしは蹲った。
いつもなら追い返していたところだが、何せ今は余裕が無い。
込み上げてくる吐き気に顔をしかめて、グリードの帰りを待った。すると、「あったあった」などとほざく阿呆が戻ってきた。
彼はわたしの体を起こし、2粒の錠剤を口に押し込んだ。素直に飲み込めば、息を吐く。
「俺ちゃんと出してたよね?なんで無くなるかなー」
暫くすれば、体が楽になった。
ぶーぶーと文句を垂れるグリードを眺める。
黄金の髪に、着物にフードを縫い付けた、なんとも珍妙な洋服が印象的だ。目は前髪に隠れて見えないが、鼻口その他から、整っていることは一目瞭然だった。
本当に、顔だけは良い。脳内で嗤えば、タイミング良く其奴は話しかけてきた。
「ねえ、聞いてる?俺明後日の分まで出してたよね?
なんで無くなってんの?」
「ん…魔薬ならあげた」
素直に供述すれば、グリードは、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして、ただ一音、「は」、と声だけあげて、固まった。
「はぁああ⁈‼︎」
そして、珍しくも叫び散らした。
…先ほどまで吐き気に苛まれていた身としては、あまり大声をあげては欲しくなかった。
頭がキンキンと、まるで氷を1キロほどかきこんだように痛んだような、そんな気がした。
