朗らかな初夏の陽気に充てられながら、わたしは、旧友兼雑用兼同棲相手からの、あつい説教を受けていた。
「いつも言ってるじゃん、“魔薬”は『お前らには』必要不可欠な薬だって!
なんで人にやるんだよ?あれ結構高いしもっと言うと俺のお金で買ってるんだよ⁈」
ねえ、知ってた⁈と叫び散らす旧友、グリード。それに、うんざりしたような顔で黙っているのが、わたしことリンだ。
グリードは、わたしの雑用のために、何日かこの森から街へ出ている。雑用というのは、薪割りとか、そんな、日常み溢れるものではないのだが。
「ごめんて。そんで、グリード、収穫は?」
「…あーもうまったく…これだからバケモンは…」
「…きみもだ」
「……はいはいすみませんでしたー。
…で、今回の収穫だけど、結構良かったよ。
いい感じに『天』との仲介人も取れたし。まあ依頼を受けるのが条件のひとつだけど、いいでしょ?
そんで、仲介人からホラ、こんなに魔薬が貰えました☆」
「…そんだけもらったなら、わたしのこともすぐ助けられただろ…」
「んーっんー、聞こえない」
(楽しんでたのね…)
(脳内で)グリードに中指を立てつつ、そういえば、と本題に逸らす。
「その依頼は、あずかってきたの?」
「いんやー、なんでも、自分で話したいんだってさ」
「…ん?」
「……連れてきちゃった☆」
思わず「は、」と声が漏れる。それと同時に、いつの間にか開きっぱなしだった扉から、ひょこ、と誰かが出てきた。
わたしは、それに目を見開いた。
こんな危ない森の奥、しかもわたしの家だ。
人が来ることも珍しいが、彼のようなモノもなかなかに珍しい。
わたしも、初めて見た。
「どうも、エリックといいます。
此処に、幻獣師さまはいらっしゃいますでしょうか」
グリードよりも遥かに美しい、正真正銘金の髪を揺らめかせ、アメジストよりも深い色合いの瞳を嵌め込んだ、見目麗しい男性。
所作のひとつひとつが、まるで芸を魅せられているようだ。
それでも、それだけならば、ただ、『美しい』だけだっただろう。
–––––––その男は、金の絹のような、美しい髪をもっていた。
–––––––その男は、アメジストの瞳をもっていた。
–––––––その男は…
「…これ、気になりますよね、すみません。
でも僕は、そんな、大した者ではありません」
背中に、
「改めまして、エリックといいます。
背中から翼の生えた、ただの人間です」
まさに天使と形容するしかない容姿に加え、大きく立派で、純白と称するに相応しい、翼をもっていた。
「いつも言ってるじゃん、“魔薬”は『お前らには』必要不可欠な薬だって!
なんで人にやるんだよ?あれ結構高いしもっと言うと俺のお金で買ってるんだよ⁈」
ねえ、知ってた⁈と叫び散らす旧友、グリード。それに、うんざりしたような顔で黙っているのが、わたしことリンだ。
グリードは、わたしの雑用のために、何日かこの森から街へ出ている。雑用というのは、薪割りとか、そんな、日常み溢れるものではないのだが。
「ごめんて。そんで、グリード、収穫は?」
「…あーもうまったく…これだからバケモンは…」
「…きみもだ」
「……はいはいすみませんでしたー。
…で、今回の収穫だけど、結構良かったよ。
いい感じに『天』との仲介人も取れたし。まあ依頼を受けるのが条件のひとつだけど、いいでしょ?
そんで、仲介人からホラ、こんなに魔薬が貰えました☆」
「…そんだけもらったなら、わたしのこともすぐ助けられただろ…」
「んーっんー、聞こえない」
(楽しんでたのね…)
(脳内で)グリードに中指を立てつつ、そういえば、と本題に逸らす。
「その依頼は、あずかってきたの?」
「いんやー、なんでも、自分で話したいんだってさ」
「…ん?」
「……連れてきちゃった☆」
思わず「は、」と声が漏れる。それと同時に、いつの間にか開きっぱなしだった扉から、ひょこ、と誰かが出てきた。
わたしは、それに目を見開いた。
こんな危ない森の奥、しかもわたしの家だ。
人が来ることも珍しいが、彼のようなモノもなかなかに珍しい。
わたしも、初めて見た。
「どうも、エリックといいます。
此処に、幻獣師さまはいらっしゃいますでしょうか」
グリードよりも遥かに美しい、正真正銘金の髪を揺らめかせ、アメジストよりも深い色合いの瞳を嵌め込んだ、見目麗しい男性。
所作のひとつひとつが、まるで芸を魅せられているようだ。
それでも、それだけならば、ただ、『美しい』だけだっただろう。
–––––––その男は、金の絹のような、美しい髪をもっていた。
–––––––その男は、アメジストの瞳をもっていた。
–––––––その男は…
「…これ、気になりますよね、すみません。
でも僕は、そんな、大した者ではありません」
背中に、
「改めまして、エリックといいます。
背中から翼の生えた、ただの人間です」
まさに天使と形容するしかない容姿に加え、大きく立派で、純白と称するに相応しい、翼をもっていた。
