「人を殺すことが怖いなら剣なんて棄てちまいな。このでき損ないが!」
私のアイシクルレインの完成と共に飛び出したアッシュの言葉は痛いほどの感情が籠っていた。
ここまで感情を露にしたアッシュを見るのは出会ってからの7年の間でも数えるほどしかない。
アッシュの正体を知る者としてまあ、その気持ちは分からないでもないが、軟禁されていたおぼっちゃんの『ルーク』に、そんな覚悟有るはずがないだろうと言う呆れが私の率直な感想だ。
因縁があるのは分かっているが、頼むからアイシクルレインの中に飛び込まないで欲しい。
見方識別が有るとは言え、見ていて楽しいものでは無いのだ。
まあ上司を支えるのが部下の役割であるし、割りきるしかない。
自分もアッシュの元に飛び降り、上からでは見えなかった戦況を確認する。
(ルークフォンファブレと謡将の妹は気絶している。後は――)
「流石は死霊使い(ネクロマンサー)殿しぶとくていらっしゃる」
死霊使いジェイド。居ることは分かっていたが厄介極まりない。
先行した父さんが封印術(アンチフォンスロット)を彼に掛けているかで大分変わるが…
動きを見ていなかったので分からない。
まあ滅多な事が(それこそ不意を突かれたりしない限り)なければ父さんが…あの『黒獅子』のラルゴが倒れるはずもない。まだ掛けられていないのだろう。
私が素早く短剣をルークの首もとに当てるのを見れば、死霊使いは黙りこんだ。
「アッシュ隊長。こいつらはいかがしますか」
流石に公務中にため口を聞くわけにもいけない。
いつもより若干冷たくしている声で聞けば、予想外な言葉が返ってきた
「殺せ」
…は?
思わずそう言ってしまうのは何とか防ぐことが出来たが、表情を隠すのは苦手だ。思いっきり顔に出てしまっているだろう。
そんな間抜けな顔は多分…いや絶対死霊使いに目にされている。
まったく恥ずかしい。
「え、でも」
「アッシュ。閣下の命令を忘れたか?それとも我を通すつもりか?」
私の言葉を遮った救世主は、意外にもリグレットさんだった。
いつのまにやら彼女も降りてきていたらしい。
「ちっ……捕らえてどこかの船室にでも閉じこめておけ!」
わあ。すごく怒ってる。
短剣を突きつけたまま固まっていた私に普段よりも10倍キツい声音でそう言うと、勢いのまま中に入っていった。
中に残っているかもしれない兵士が潜んでいる可能性を考えろよ!と思ったがスルーだ。
周りに神託の盾はいない。気絶している二人を私が運ばなければいけないのだと思うと、少しアッシュをうらみたくなった。
リグレットの憐れみの目線が痛かった。
片手で短剣を当てたままルークの手首に自分の得物…ディスト特製ムチを巻き、短剣をしまって謡将の妹を背負う。ルークは引きずる。問答無用だ。
偽者とは言え公爵の子息として育てられた者に対しての扱いとしては問題がある気がしなくもない。
長いムチの先端を死霊使いにも結びつけ、アッシュの言う適当な船室まで3人を連行する。
いくら鍛えているとは言え、大の男と女一人分の重みは無理がある。息が上がる
私にかけてくる死霊使いの笑顔が非常に苛々した。
「大丈夫ですか?」
「…貴方に心配される覚えはない」
こんな時でさえも底の見えない笑みを浮かべる死霊使いは本当に捕虜の自覚が有るのだろうか。
「いや~その状態で我々を逃がしてしまわないのかと思いましてね。」
「確かにお前一人なら逃げられるかもしれないが…私のムチはディスト特製でな。私の振動数に応じて刃が出るんだ。切られたって動揺はしないだろうが第7音素の扱えないお前には致命的だろう?」
「それはまた、物騒ですね~」
何だろう。
都合良くムチの性能を説明させられた気がする。
まあ私がムチを扱う事は周知の事実なので大して痛くは無いが。
「…入れ」
半ば自棄になって船室内に押し込み、リグレットから渡された鍵をかける。
リグレットがどこからあの短時間で鍵を持ってきたのか気になる所だ。
私のアイシクルレインの完成と共に飛び出したアッシュの言葉は痛いほどの感情が籠っていた。
ここまで感情を露にしたアッシュを見るのは出会ってからの7年の間でも数えるほどしかない。
アッシュの正体を知る者としてまあ、その気持ちは分からないでもないが、軟禁されていたおぼっちゃんの『ルーク』に、そんな覚悟有るはずがないだろうと言う呆れが私の率直な感想だ。
因縁があるのは分かっているが、頼むからアイシクルレインの中に飛び込まないで欲しい。
見方識別が有るとは言え、見ていて楽しいものでは無いのだ。
まあ上司を支えるのが部下の役割であるし、割りきるしかない。
自分もアッシュの元に飛び降り、上からでは見えなかった戦況を確認する。
(ルークフォンファブレと謡将の妹は気絶している。後は――)
「流石は死霊使い(ネクロマンサー)殿しぶとくていらっしゃる」
死霊使いジェイド。居ることは分かっていたが厄介極まりない。
先行した父さんが封印術(アンチフォンスロット)を彼に掛けているかで大分変わるが…
動きを見ていなかったので分からない。
まあ滅多な事が(それこそ不意を突かれたりしない限り)なければ父さんが…あの『黒獅子』のラルゴが倒れるはずもない。まだ掛けられていないのだろう。
私が素早く短剣をルークの首もとに当てるのを見れば、死霊使いは黙りこんだ。
「アッシュ隊長。こいつらはいかがしますか」
流石に公務中にため口を聞くわけにもいけない。
いつもより若干冷たくしている声で聞けば、予想外な言葉が返ってきた
「殺せ」
…は?
思わずそう言ってしまうのは何とか防ぐことが出来たが、表情を隠すのは苦手だ。思いっきり顔に出てしまっているだろう。
そんな間抜けな顔は多分…いや絶対死霊使いに目にされている。
まったく恥ずかしい。
「え、でも」
「アッシュ。閣下の命令を忘れたか?それとも我を通すつもりか?」
私の言葉を遮った救世主は、意外にもリグレットさんだった。
いつのまにやら彼女も降りてきていたらしい。
「ちっ……捕らえてどこかの船室にでも閉じこめておけ!」
わあ。すごく怒ってる。
短剣を突きつけたまま固まっていた私に普段よりも10倍キツい声音でそう言うと、勢いのまま中に入っていった。
中に残っているかもしれない兵士が潜んでいる可能性を考えろよ!と思ったがスルーだ。
周りに神託の盾はいない。気絶している二人を私が運ばなければいけないのだと思うと、少しアッシュをうらみたくなった。
リグレットの憐れみの目線が痛かった。
片手で短剣を当てたままルークの手首に自分の得物…ディスト特製ムチを巻き、短剣をしまって謡将の妹を背負う。ルークは引きずる。問答無用だ。
偽者とは言え公爵の子息として育てられた者に対しての扱いとしては問題がある気がしなくもない。
長いムチの先端を死霊使いにも結びつけ、アッシュの言う適当な船室まで3人を連行する。
いくら鍛えているとは言え、大の男と女一人分の重みは無理がある。息が上がる
私にかけてくる死霊使いの笑顔が非常に苛々した。
「大丈夫ですか?」
「…貴方に心配される覚えはない」
こんな時でさえも底の見えない笑みを浮かべる死霊使いは本当に捕虜の自覚が有るのだろうか。
「いや~その状態で我々を逃がしてしまわないのかと思いましてね。」
「確かにお前一人なら逃げられるかもしれないが…私のムチはディスト特製でな。私の振動数に応じて刃が出るんだ。切られたって動揺はしないだろうが第7音素の扱えないお前には致命的だろう?」
「それはまた、物騒ですね~」
何だろう。
都合良くムチの性能を説明させられた気がする。
まあ私がムチを扱う事は周知の事実なので大して痛くは無いが。
「…入れ」
半ば自棄になって船室内に押し込み、リグレットから渡された鍵をかける。
リグレットがどこからあの短時間で鍵を持ってきたのか気になる所だ。
