「導師イオンの護衛!?」
捕らえた3人を押し込んだ適当な船室の前をずっと見張っていた私に舞い込んできたのは、リグレットからのまたもや鬼畜な仕事依頼だった。
通常、最初から動く者は決まっている筈なのだが、予定より抵抗が激しかった。と言うことだろうか。
そこで何故自分に白羽の矢が立つのかを聞きたいところだがまあ仕方ない。
どうせ私は不憫な補佐ポジションだ。
マルクトにおけるフリングス将軍だ。
「ああ。1度タルタロスに戻す事もある。私と共にそちらの護衛を頼む」
今さらながら何故リグレット隊長が私に指令を出しているのだろうか。
直接的な上司はアッシュのはずなのだが…。
まあ、いいか
「こっちの護衛はよろしいので?」
「ほかの人員を配置する」
人使いが荒すぎるんじゃ無いか?とも思わないことも無いが、自分は所詮一介の軍人。荒くて当然だろう。
「了解」
だが個人的にこんな命令をこんな場所(死霊使いの監禁場所)でしていいのだろうかと少し心配になる。
死霊使いきっと起きてるぞ。
良いのか作戦聞かせて。
で、案の定これか
私はリグレットにそう叫びたかった。
報告によれば、何でも死霊使いのせいでタルタロスが非常停止したらしい。
私達が導師イオンを護送した直後に動き始めたとのこと。
やっぱ聞かれてんじゃねぇか。
見張りの兵士も非常停止の修復に手をとられていて脱走にきずかず、現在どこに潜伏しているかは不明、脱走済みの可能性もあるため現在捜索中。
なんてざまだ。まったく。
「それと、ラルゴ隊長なのですが…」
不意に淡々と報告をしていた兵士が言い淀んだ。
フルフェイスのヘルム越しにも私の方を気にしているのが分かる。
「何かあったの?」
「はい。ラルゴ隊長は死霊使いと交戦、封印術を掛けることに成功しましたが、その後不意を突かれ重傷を負い、現在治療中です。幸いなことに、命に別状は有りません」
「そう…死霊使いは封印術を掛けられたのね…」
ならば私でも何とかなるかな。
ボソリと呟いた声は兵士には聞こえず、リグレット隊長だけに聞こえたならしい。
自分では分からないが、さぞや私は低い声で、そう言ったのだろう。リグレット隊長から苦笑いを頂いた。
「許可する。」
「…ありがとうございます」
ニコリと笑って感謝の言葉は社会人の基本だ。
軍人だけど。
「はあ…非常ハッチを開け」
「了解」
兵士さん(名前不詳)がカシャカシャと鎧を鳴らしながら走っていき、何かを操作すると物凄い勢いで非常ハッチが下りてきた。
どういう仕組みだ。
さりげなく真横に来たので当たらなくて良かったと少し安心する。
リグレット隊長はともかく導師イオンは何故少しも驚かないのか謎だった。
「開きます。」
兵士が扉を開く。さてあいつらはどこに居るのだろうか?
「おらぁ!火出せっ!」
どこかで聞いたことのある気がする声がそう叫ぶ。
私はタルタロスとは逆方向を見張らなければならないため、何が起こったのか分からないが、恐らく非常事態。
急いで振り返ると死霊使いが此方に向かって突っ込んできた。
短剣を抜き、槍を受ける。
私の得物はムチ。槍使いと戦うのは歩が悪すぎる。
流石に譜術師と言えども男。
やはり自分よりも力は強い。
咄嗟に受け流せばその切っ先はリグレット隊長に向き、銃を構えた膠着状態に陥ってしまった。
これではへたに動けない。
「流石はジェイド・カーティス。譜術を封じても侮れないな」
「お褒めいただいて光栄ですね。さあ、武器を棄てなさい」
いつのまにやら私の首筋にも誰かからナイフを当てられている。
冷たい金属が当たる感覚に、寒気を覚えた。
「くぅ…」
仕方なくナイフを地面に落とし、ムチをおく。
ポケットの爆弾は気付かれていない。最終手段として残しておく。
目の端でルークにあの兵士が殴られているのが見えたが、気にしている余裕はない。
「ティア、譜歌を!」
「ティア…?ティア・グランツか……!」
(ティア・グランツって…謡将の妹!)
首筋にナイフを当てていた誰かが動く。
どうやらこの〔誰か〕がティア・グランツらしい。
「リグレット教官!」
驚いたようにティアが言うのが聞こえるがなんの事やらさっぱり分からない。
私は蚊帳の外か。
導師イオンが駆け寄ってくるのが見える。
くっそう。何が起きてるんだ。
そう小声で愚痴りながらリグレット隊長のもとへ駆け寄り、ムチを構えて臨戦態勢に入る。
傍にはアリエッタ隊長もいた。
いつ来たのかは皆目検討もつかない。
我ながら自分が情けなくなってくる。
私が今日やったことと言えば、アイシクルレインでの援護、死霊使い一行の監禁のみだ。
自分がここに来た意味はあるのだろうか?
アイシクルレインなら私より威力は劣るがアッシュも放てる(私がアッシュに勝てる要素は譜術だけ)その上、監禁なら一般兵でもできた。
後は襲撃されてあたふたして今も意味がわからず心理的自傷と現実逃避をするだけだ。
私がそんな情けない事を考えている間も時と場面は動いていく。
「アリエッタ。タルタロスはどうなった」
「制御不能のまま……。このコが障壁、引き裂いてくれてここまでこれた……」
「よくやったわ。フィーラ、彼らを拘束して……」
「了解ですっ!」
そうですか。
私は雑用をこなしますよ。
内心愚痴りながら、死霊使いの方へ踏み出そうとしたとき。
なんの脈絡もなく何かが降ってくる音がした。
横を物凄い速さで誰かが駆けていく。
急いで鞭を振るおうとするが、とどまざる終えない。
導師に傷をつけてはいけないのだ。
走り去っていくと思いきや死霊使いから少し離れた位置で止まり、男はリグレット隊長のたまを防いでからどや顔で、謎の決め台詞(?)を決めた。
「ガイ様、華麗に参上」
うわー
そんなこと素で言っちゃうのか。
始めて停止した状態のガイ様()を見たが、何となくこいつ女性キラーっぽいなと思った。
嫌われる人にはしっかり嫌われるタイプだろうなとも。
「きゃ……」
アリエッタ隊長の悲鳴は何にたいしてなのか。
そう思ったのもつかの間、死霊使いがアリエッタ隊長を人質にとっていた。
「隊長!」
「アリエッタ!」
「さあ、もう一度武器を棄ててタルタロスに戻って貰いましょうか」
隊長が二人もいてこの有り様とは…
それだけこいつらは強かった。
遺書を書いたのは念のためと言う意味合いが強かったが、これは本格的に覚悟しなければならないようだ。
「くっ」
「リグレット隊長…」
「退却だ」
ムチをしまい、おとなしくついていく。
どうせこの場で出来ることなんて無いのだ。
捕らえた3人を押し込んだ適当な船室の前をずっと見張っていた私に舞い込んできたのは、リグレットからのまたもや鬼畜な仕事依頼だった。
通常、最初から動く者は決まっている筈なのだが、予定より抵抗が激しかった。と言うことだろうか。
そこで何故自分に白羽の矢が立つのかを聞きたいところだがまあ仕方ない。
どうせ私は不憫な補佐ポジションだ。
マルクトにおけるフリングス将軍だ。
「ああ。1度タルタロスに戻す事もある。私と共にそちらの護衛を頼む」
今さらながら何故リグレット隊長が私に指令を出しているのだろうか。
直接的な上司はアッシュのはずなのだが…。
まあ、いいか
「こっちの護衛はよろしいので?」
「ほかの人員を配置する」
人使いが荒すぎるんじゃ無いか?とも思わないことも無いが、自分は所詮一介の軍人。荒くて当然だろう。
「了解」
だが個人的にこんな命令をこんな場所(死霊使いの監禁場所)でしていいのだろうかと少し心配になる。
死霊使いきっと起きてるぞ。
良いのか作戦聞かせて。
で、案の定これか
私はリグレットにそう叫びたかった。
報告によれば、何でも死霊使いのせいでタルタロスが非常停止したらしい。
私達が導師イオンを護送した直後に動き始めたとのこと。
やっぱ聞かれてんじゃねぇか。
見張りの兵士も非常停止の修復に手をとられていて脱走にきずかず、現在どこに潜伏しているかは不明、脱走済みの可能性もあるため現在捜索中。
なんてざまだ。まったく。
「それと、ラルゴ隊長なのですが…」
不意に淡々と報告をしていた兵士が言い淀んだ。
フルフェイスのヘルム越しにも私の方を気にしているのが分かる。
「何かあったの?」
「はい。ラルゴ隊長は死霊使いと交戦、封印術を掛けることに成功しましたが、その後不意を突かれ重傷を負い、現在治療中です。幸いなことに、命に別状は有りません」
「そう…死霊使いは封印術を掛けられたのね…」
ならば私でも何とかなるかな。
ボソリと呟いた声は兵士には聞こえず、リグレット隊長だけに聞こえたならしい。
自分では分からないが、さぞや私は低い声で、そう言ったのだろう。リグレット隊長から苦笑いを頂いた。
「許可する。」
「…ありがとうございます」
ニコリと笑って感謝の言葉は社会人の基本だ。
軍人だけど。
「はあ…非常ハッチを開け」
「了解」
兵士さん(名前不詳)がカシャカシャと鎧を鳴らしながら走っていき、何かを操作すると物凄い勢いで非常ハッチが下りてきた。
どういう仕組みだ。
さりげなく真横に来たので当たらなくて良かったと少し安心する。
リグレット隊長はともかく導師イオンは何故少しも驚かないのか謎だった。
「開きます。」
兵士が扉を開く。さてあいつらはどこに居るのだろうか?
「おらぁ!火出せっ!」
どこかで聞いたことのある気がする声がそう叫ぶ。
私はタルタロスとは逆方向を見張らなければならないため、何が起こったのか分からないが、恐らく非常事態。
急いで振り返ると死霊使いが此方に向かって突っ込んできた。
短剣を抜き、槍を受ける。
私の得物はムチ。槍使いと戦うのは歩が悪すぎる。
流石に譜術師と言えども男。
やはり自分よりも力は強い。
咄嗟に受け流せばその切っ先はリグレット隊長に向き、銃を構えた膠着状態に陥ってしまった。
これではへたに動けない。
「流石はジェイド・カーティス。譜術を封じても侮れないな」
「お褒めいただいて光栄ですね。さあ、武器を棄てなさい」
いつのまにやら私の首筋にも誰かからナイフを当てられている。
冷たい金属が当たる感覚に、寒気を覚えた。
「くぅ…」
仕方なくナイフを地面に落とし、ムチをおく。
ポケットの爆弾は気付かれていない。最終手段として残しておく。
目の端でルークにあの兵士が殴られているのが見えたが、気にしている余裕はない。
「ティア、譜歌を!」
「ティア…?ティア・グランツか……!」
(ティア・グランツって…謡将の妹!)
首筋にナイフを当てていた誰かが動く。
どうやらこの〔誰か〕がティア・グランツらしい。
「リグレット教官!」
驚いたようにティアが言うのが聞こえるがなんの事やらさっぱり分からない。
私は蚊帳の外か。
導師イオンが駆け寄ってくるのが見える。
くっそう。何が起きてるんだ。
そう小声で愚痴りながらリグレット隊長のもとへ駆け寄り、ムチを構えて臨戦態勢に入る。
傍にはアリエッタ隊長もいた。
いつ来たのかは皆目検討もつかない。
我ながら自分が情けなくなってくる。
私が今日やったことと言えば、アイシクルレインでの援護、死霊使い一行の監禁のみだ。
自分がここに来た意味はあるのだろうか?
アイシクルレインなら私より威力は劣るがアッシュも放てる(私がアッシュに勝てる要素は譜術だけ)その上、監禁なら一般兵でもできた。
後は襲撃されてあたふたして今も意味がわからず心理的自傷と現実逃避をするだけだ。
私がそんな情けない事を考えている間も時と場面は動いていく。
「アリエッタ。タルタロスはどうなった」
「制御不能のまま……。このコが障壁、引き裂いてくれてここまでこれた……」
「よくやったわ。フィーラ、彼らを拘束して……」
「了解ですっ!」
そうですか。
私は雑用をこなしますよ。
内心愚痴りながら、死霊使いの方へ踏み出そうとしたとき。
なんの脈絡もなく何かが降ってくる音がした。
横を物凄い速さで誰かが駆けていく。
急いで鞭を振るおうとするが、とどまざる終えない。
導師に傷をつけてはいけないのだ。
走り去っていくと思いきや死霊使いから少し離れた位置で止まり、男はリグレット隊長のたまを防いでからどや顔で、謎の決め台詞(?)を決めた。
「ガイ様、華麗に参上」
うわー
そんなこと素で言っちゃうのか。
始めて停止した状態のガイ様()を見たが、何となくこいつ女性キラーっぽいなと思った。
嫌われる人にはしっかり嫌われるタイプだろうなとも。
「きゃ……」
アリエッタ隊長の悲鳴は何にたいしてなのか。
そう思ったのもつかの間、死霊使いがアリエッタ隊長を人質にとっていた。
「隊長!」
「アリエッタ!」
「さあ、もう一度武器を棄ててタルタロスに戻って貰いましょうか」
隊長が二人もいてこの有り様とは…
それだけこいつらは強かった。
遺書を書いたのは念のためと言う意味合いが強かったが、これは本格的に覚悟しなければならないようだ。
「くっ」
「リグレット隊長…」
「退却だ」
ムチをしまい、おとなしくついていく。
どうせこの場で出来ることなんて無いのだ。
