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境界戦争
- 第1章 鍵と心臓 -

かつて、北川悦史子は言った。

『思い出は深く残り、明日は明るい。』





これを恋というのか。それはずっと、分からなかった。分かれなかった。



–––––––刹那的なものだ、美しく、儚い。



糞みたいな種族の血肉を浴びて、僕の体は、純白のコートには、汚く、歪で、憎たらしい華が咲いていた。

ゴシゴシと濁った視界を拭うけど、まだ汚れている気がする。
空は、真っ赤だ。




…いや、真っ赤だった。

一点、まるで、コーヒーにミルクをゆっくり注ぐように、段々と、世界が晴れていく。


絶句。失笑。嘘だろう、こんな。








刹那的なものだ、美しく、儚い。


世界に四つ、穴が空いたのだ。







そこから現れるのは、どれも異形の姿をした、今、魔術師たちが躍起になる魔女よりも、きっと強い、そう感じるほどの、威厳をもった戦士たち。


ある者は漆黒の翼をもち、
ある者は焱の鱗をもち、
ある者は翠玉の尾鰭をもち、
また、ある者は黄蓮の背角をもつ。

皆驚くほど神秘的な姿をしていたが、その中でも目を惹いたのが、それを率いる“少女たち”だ。


年は僕らと同じくらい。10代前半で、痩せこけているけど、顔立ちは誰より整っていて、四季折々の女神が、降臨したのかと錯覚するほどだった。
長い、本当にながい、その髪は、絹の糸より繊細で、そして、ヴァイオリンの弦よりも強かだ。

それらはゆるりと頭を上げて、僕らのもとへ降りてきた。



…一瞬のことだった。


辺りが一面、僕らの血に染まったのは。









これが、世界の終わる最初の合図、







もしくは 終わった後の最後のチャンスである。

<2016/09/02 21:40 n/es>消しゴム
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