此処は、とある家の中。
眩い光に目を覚ました少女、西野梨花は、目が慣れた途端に、破顔した。
「リオちゃん!遅かったね、大丈夫だった?!」
「ただいま、梨花。」
やさしく微笑んだのは、さっきまであんなに小憎たらしく笑っていた伊織だった。
梨花は、伊織と同じ“魔女”である。
梨花も学院に貢献することで、自由を許されているのだが、最近は学院による召集もないので、暇で暇で仕方がなかったのだ。
それを見兼ねた伊織が、大食いの梨花のために夜食を買いに行っていたのだった。
そんな光景が、食卓用のテーブルに無造作に置かれた小説から見て取れる。読書家の伊織が時間を割くなんてこと、梨花関連でなければありえない。
2人は互いの額にキスを交わし、抱きしめ合った。
恋人か、蒼は脳内でツッコミを入れ、梨花の恋人である飛鳥と目で会話した。クソ羨ましいなと。
「私は大丈夫よ。遅くなってごめんなさいね
ちょっと学長に会ってきてたの」
「学長?!あのインゲンジジイか!!」
「インケンね、陰険。
変な化け物がいたのよ、覚えてる?傀儡師のリーラ。アレの子供の。
それっぽかったから、伝えに行ったの。堅物2人には到底任せられなかったしね」
「人間なんて気にしなくていいのにぃ〜〜〜!!」
明らさまに嫌そうな顔をした梨花は伊織の体にのし掛かり、お疲れさまーっと抱き締める。
“魔女”の習慣は、どうにかならないものかと、微妙に赤らめた顔を背けて、飛鳥は思った。
自分でも、あんなのをされたことは無い気がする。
「というか、やっぱりあれ、リーラたちのだったのね!変な感じしたと思った!」
「瘴気が変に張り巡らされてると、嫌な感じするわよね〜」
「ここ、私たちの縄張りじゃないのに相変わらずだよね〜〜!」
ね〜!と顔を見合わせて笑いあう姿は、会話さえなければ普通の女子高生だ。
蒼は本題に入ろうと、2人の会話に割って入る。
「てか、あれ本当に傀儡なわけ?」
「は?そうに決まってるでしょ、何言ってんの?」
「お前態度変わりすぎだろ死ねばいいのに」
「あなたって度量も股間も小さな男よね」
「……お前後で覚悟してろよ」
「シット?蒼、しっとか??」
「黙れ貧乳」
Shit!と梨花が一言。当の本人はすまし顔で、全く気にしていない。
飛鳥が続ける。
「やっぱり最近の傀儡師のデータは無かった。
仮に傀儡師の仕業だとしたら、アイツらはどこにナリを潜めてるんだ?」
ありえないだろ、そう言いかけた飛鳥に、
「あら、そんなの簡単じゃない」
伊織は笑う。
「此処よ、此処」
梨花の頭を撫でながら、床を指差して、あっけらかんと。
