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加藤へ
- 今だから言える事。書きすて -

二学期に隣りの席になって、加藤の好きな人あてごっこを授業中にした事を覚えている?
いきなり、『俺、好きな人いるんだ』って言われて、『恋の相談か』と思って私は真剣に相談に乗ろうとしていたよ。
「名前は言えない」
って、なんだ、そりゃ?って呆然とした事、今でも忘れないよ。
「じゃあ、ヒント教えて」
授業中に、ヒントを出してもらって、当てるというゲーム。
ゲームだと思っていたけど、それが自分だとわかった時はさらに混乱したよ。

私はさ、勉強は確かに学年2番だった。小学校までは明るくて、人気者だった。だけどさ、中学になって、成績の事や、加藤が私の事好きらしいって事を知って、いじめが始まったんだよ。それからは、人と関わらず、影を薄くして生きてきたんだ。馬鹿を装って、でもしっかり学年では2番で。

だから、好きっていうのが信じられなくて。
加藤はさ、本当に、テニスの王子様って感じだったね。
女の子にもてて、なんでもできて、それなのに私が好きって……?
なんでかなって思ったよ。
「実は明るそうな性格と優しそうな性格から」
って言ってたけどさ、どっちも違うんだけどね。
だから、自分を好きって知った時は逃げ出したくなったよ。
あの時は自分に自信がなくて、なんで王子様が私なんかを好きなのかよくわからなかったよ。

それで、加藤に何を囁かれても、黙り込んでしまって。
結局加藤と別れたのは、私がはっきりしなかったからだね。

男性に対して、免疫もなくて、手をつなぎたいと言われても、どうしていいかわからなかったよ。

「いや?」
「嫌じゃないよ」

そういったんだけど、何だかいつもはっきりしない私のせいで、『こいつはダメかも』って思ったのかもね。

中学で一番可愛い女の子とあんたが付き合いだした時は、自責の念で、恨むどころではなかったし、心から祝福しようと努力したんだよ。お似合いのカップルって言われてたしね。

なのに早々に別れて、私を見ていた一年の時。

それから加藤にも好きな人ができたみたいだけど、それが二年生。

三年生の修学旅行では、目があってばかりで、クラスが違うのに、なぜか私のグループと加藤のグループは近くにずっといたよね。

でもって、加藤の二学期からの転校。
私はね、32番までショックで成績が下がったよ。当然、一緒の高校に行けると思っていたからさ。

「ずっと友達だよ」
て、言われて別れたけど、確かに全然会えなくても、今の今でも友達だね。

全く加藤は行方知れずで、加藤にとってもそうかもしれないけど。

私ね、今も、加藤の夢ばかりみるんだよ。

私の心をあんたが永遠に独占しているんだよ。

会って話がしたいし、謝りたいよ。でもそれすらできないんだね。


心はあんたに縛られたまま、現実生活を続けているよ。

あんたが転校して別れてから、35年経ったよ。

どれだけ私の心を独占すればいいんだよ。

好きな人ができても、いつもあんたが心の中にあったよ。だから、あれから私は恋愛しているようで、全く恋愛していないんだ。

干物女とか百合とか疑われているけど、あんたがいるからなんだよ。

約束していた、『手をつなぐこと』だけでも実践してみたいけど、

一体、どこにいるの?

教えて。

後悔はしていない。
<2016/08/10 22:50 TU>消しゴム
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