「海!早く起きなさい!」
いや、だからまだ起きる時間じゃないんですけど…。
いつも、なぜか目覚ましのなる10分前に起こしにくる母さん。
「ほら、ちゃっちゃと起きる!」
あーー、俺のスマホ……。
起きないと没収される。
「分かった、起きるって!」
決心したように、ガバッと起きて
スマホを取り返す。
くだらないことからスタートする朝。
なんだかんだで、もう日課になりつつある。
あと、10分の睡眠時間を返してもらいたいが
お陰さまで遅刻ゼロなので文句は言えない。
つかつかと歩く母さんを部屋から見送ってから、着替えた。
制服。
どしゃぶりでやられたのは、もう、1週間も前の話か。
あれから、人気子役の後輩から連絡はない。
そうとう忙しいんだろう。
CMで見かけた。
ドラマでも見かけた。
超がつくほどの人気ぶりだ。
こんな子に告白されたのかと思うと
実感がわかない。
まあ、でもアドレスが残ってるし
夢ではないことは確かだ。
あとは、着信を待つのみ。
とりあえず、スマホのホーム画面を見つめる。
………今日も着信無し…か。
しょーがないよな。
そう思って、一階へ下りた。
朝御飯を済ませ、歯を磨き
カバンを背負う。
靴を履き、重いエナメルを思いっきり肩にかけた。
「行ってきまーす。」
ガチャとドアを開ける。
「あ、行ってらっしゃいー。」
母さんの声を背後にドアを閉めた。
「先輩っ!」
え、あ。
鍵を閉めていた手を急ぎ、勢いよく振り替える。
「アポなしっ!家庭訪問ー!と言うわけで、やって参りましたっ。先輩の家!」
リポーターっぽく言う君は
笑顔がキラキラしていた。
「お………久しぶり…。」
なぜか、先輩の俺が緊張する。
「急で、すいません。撮影午後からになったので寄っていこうかなーって。」
えへへっと笑う君は袋を差し出した。
「ちゃんと、洗っておきましたよ!」
ジャージか。
「あぁ、ありがと。………んで?」
「…んで?」の意味に気付いたのか
下を向いた。
「先輩………あの……やっぱり…雨の日無かったことに出来ませんか?」
え?
予想外の言葉に頭の中が真っ白になった気がした。
自分がどれだけ甘い期待をしていたのか
思い知る。
「事務所に、ダメだよって言われたんです…。本当に、すいませんっ!」
ガバッと頭を下げる君。
その真下のアスファルトに水滴が落ちた。
……泣いてる。
いや、俺も泣きたいよ。
「そっか…。頭上げて。」
それしか、言えなかった。
喉がキュウッと絞まる。
やばいな…、浮かれすぎてた。
予想の真逆が来て辛い。
「先輩……。」
涙目の君と目が合う。
君が微笑んだ。
「先輩…。泣きそうですね…。」
泣いてる君に言われたくない。
「別に……。」
「……どうですか?演技。」
ハッとした。
そうだ、この後輩は人気子役だった。
「もしかして……」
満面の笑顔を見せる君に、やられた…と思った。
「本当は、ダメなんて言われてないですよ!ちゃんと考えたんですけどねー。やっぱり、一番初めの印象が強すぎて…。他の人を知っても、先輩が好きみたいなんです。」
えへへっと顔を紅くしながら照れたように笑った。
演技で泣けるのか。
これは、付き合ったら大変そうだ
と、思った。
「先輩。一人の後輩として見てください。」
前置きをいったあと、たっぷりためて
再び君が口を開いた。
「付き合ってくださいっ!」
勢いで、ガバッと頭を下げられる。
「バーカッ。」
え?と君は頭をあげる。
「由希とちゃんと付き合えんのは
先輩の俺くらいだろ。」
そういって、微笑んだ。
君も笑顔になる。
「じゃ、よろしく。」
「はいっ!!」
しばらく見つめあっていたが
先に君が動いた。
すると、俺に近づいてくる。
そして、俺の肩に手をかけ、背伸びをする。
え。あ……!?
もしかして、と思った予想は当たった。
頬に君の唇が触れる。
一気に、気温が上がった気がした。
「じゃ、もういきます!学校頑張って下さいね!」
そういって、車の方へ走っていった。
俺は、感触が残る頬に手をやる。
やば……超人気子役にキス……された。
いや、子役とかじゃなくて……彼女か。
そのあと、学校では勉強に手がつかず、友達に「お前…なんかオーラピンクなんだけど!!」と、気持ち悪がわれ、
さんざんだったが無事に家についた。
「ただいまー。」
リビングにいる母さんに声をかける。
すると、「なんか……気持ち悪くなった?」
と、真顔で言われた。
そう。しょうがないよな。
超人気子役の後輩が彼女になったんだから。
顔もにやけるさ。
人生、退屈なことばっかりじゃない。
ロボットになんて、任せておけるかっつーの。
いや、だからまだ起きる時間じゃないんですけど…。
いつも、なぜか目覚ましのなる10分前に起こしにくる母さん。
「ほら、ちゃっちゃと起きる!」
あーー、俺のスマホ……。
起きないと没収される。
「分かった、起きるって!」
決心したように、ガバッと起きて
スマホを取り返す。
くだらないことからスタートする朝。
なんだかんだで、もう日課になりつつある。
あと、10分の睡眠時間を返してもらいたいが
お陰さまで遅刻ゼロなので文句は言えない。
つかつかと歩く母さんを部屋から見送ってから、着替えた。
制服。
どしゃぶりでやられたのは、もう、1週間も前の話か。
あれから、人気子役の後輩から連絡はない。
そうとう忙しいんだろう。
CMで見かけた。
ドラマでも見かけた。
超がつくほどの人気ぶりだ。
こんな子に告白されたのかと思うと
実感がわかない。
まあ、でもアドレスが残ってるし
夢ではないことは確かだ。
あとは、着信を待つのみ。
とりあえず、スマホのホーム画面を見つめる。
………今日も着信無し…か。
しょーがないよな。
そう思って、一階へ下りた。
朝御飯を済ませ、歯を磨き
カバンを背負う。
靴を履き、重いエナメルを思いっきり肩にかけた。
「行ってきまーす。」
ガチャとドアを開ける。
「あ、行ってらっしゃいー。」
母さんの声を背後にドアを閉めた。
「先輩っ!」
え、あ。
鍵を閉めていた手を急ぎ、勢いよく振り替える。
「アポなしっ!家庭訪問ー!と言うわけで、やって参りましたっ。先輩の家!」
リポーターっぽく言う君は
笑顔がキラキラしていた。
「お………久しぶり…。」
なぜか、先輩の俺が緊張する。
「急で、すいません。撮影午後からになったので寄っていこうかなーって。」
えへへっと笑う君は袋を差し出した。
「ちゃんと、洗っておきましたよ!」
ジャージか。
「あぁ、ありがと。………んで?」
「…んで?」の意味に気付いたのか
下を向いた。
「先輩………あの……やっぱり…雨の日無かったことに出来ませんか?」
え?
予想外の言葉に頭の中が真っ白になった気がした。
自分がどれだけ甘い期待をしていたのか
思い知る。
「事務所に、ダメだよって言われたんです…。本当に、すいませんっ!」
ガバッと頭を下げる君。
その真下のアスファルトに水滴が落ちた。
……泣いてる。
いや、俺も泣きたいよ。
「そっか…。頭上げて。」
それしか、言えなかった。
喉がキュウッと絞まる。
やばいな…、浮かれすぎてた。
予想の真逆が来て辛い。
「先輩……。」
涙目の君と目が合う。
君が微笑んだ。
「先輩…。泣きそうですね…。」
泣いてる君に言われたくない。
「別に……。」
「……どうですか?演技。」
ハッとした。
そうだ、この後輩は人気子役だった。
「もしかして……」
満面の笑顔を見せる君に、やられた…と思った。
「本当は、ダメなんて言われてないですよ!ちゃんと考えたんですけどねー。やっぱり、一番初めの印象が強すぎて…。他の人を知っても、先輩が好きみたいなんです。」
えへへっと顔を紅くしながら照れたように笑った。
演技で泣けるのか。
これは、付き合ったら大変そうだ
と、思った。
「先輩。一人の後輩として見てください。」
前置きをいったあと、たっぷりためて
再び君が口を開いた。
「付き合ってくださいっ!」
勢いで、ガバッと頭を下げられる。
「バーカッ。」
え?と君は頭をあげる。
「由希とちゃんと付き合えんのは
先輩の俺くらいだろ。」
そういって、微笑んだ。
君も笑顔になる。
「じゃ、よろしく。」
「はいっ!!」
しばらく見つめあっていたが
先に君が動いた。
すると、俺に近づいてくる。
そして、俺の肩に手をかけ、背伸びをする。
え。あ……!?
もしかして、と思った予想は当たった。
頬に君の唇が触れる。
一気に、気温が上がった気がした。
「じゃ、もういきます!学校頑張って下さいね!」
そういって、車の方へ走っていった。
俺は、感触が残る頬に手をやる。
やば……超人気子役にキス……された。
いや、子役とかじゃなくて……彼女か。
そのあと、学校では勉強に手がつかず、友達に「お前…なんかオーラピンクなんだけど!!」と、気持ち悪がわれ、
さんざんだったが無事に家についた。
「ただいまー。」
リビングにいる母さんに声をかける。
すると、「なんか……気持ち悪くなった?」
と、真顔で言われた。
そう。しょうがないよな。
超人気子役の後輩が彼女になったんだから。
顔もにやけるさ。
人生、退屈なことばっかりじゃない。
ロボットになんて、任せておけるかっつーの。
