これはsilent歌劇団が結団された間もない頃の話だ。
結団は1年前の春前。花たちが春の暖かさをいまかと待ちわびる2月末の頃だ。
結団時、silent歌劇団には3人しか団員がいなかった。
団長は双井幹斗。
平として中上優仁、岡野流輝という『団』と呼ぶには少ない人数であった。
3人はS級のセレクターであり、それぞれが単独で行動しようとよっぽどの敵が来ない限り問題などないのだ。
「暇だな。こんな人数じゃ仕事しても面白くないしな…」
と双井が椅子にもたれながらぼやいた。
silent歌劇団の本拠地は特になく、日々拠点を移している。これは敵に拠点を悟られないためだ。さらに双井、中上、岡野の3人は共に現役の中学3年生であり、集まるのも4時半過ぎからであり、殆ど秘密基地に集まって駄弁るのと変わらない感じだった。
「今来てる仕事だってB級に任してても問題ないんだから俺らが動くまでもないさ。」
「それなー」
と中上が答え、岡野はそれに同意をした。
そんな何もない2ヶ月という月日が流れた。
3人は晴れて高校へ進学した。
双井と岡野は日の橋高校へ、中上は南野高校へ入学。双井は陸上部、中上は水泳部に一応所属した。岡野は帰宅部だ。
高校の入学式後、3人はウキウキしながら拠点へ足を運んだ。
新入団員が1人来ると知らされたからだ。しかも同い年と聞かされた。
本拠地で1番落ち着きがなかったのは岡野だった。
「やば〜、どんな人だろ〜。タメだしなー。話しやすい人がいいな〜」
「うるせぇ河童!黙って皿でも磨いてろ!」
と双井が一喝。
岡野は容姿から河童とあだ名が付いた。ちなみに付けた人は誰も知らない。気付いた時から河童なのだ。
それから間も無くだった。
トントン、ガチャ
入って来た男はフードを被り、あまりの落ち着きからか周りの空気が少し寒く感じた。
「失礼します。本日よりsilent歌劇団へ入団するよう言われた。よろしく頼む。」
一礼をすると、立ちっぱなしだった岡野の空いた椅子に座り読書を始めた。
岡野は恐る恐る言う。
「あ、あの、そこ、僕の席なんだけどな…」
「あぁ、すまない。」
そう言うと隅に置いてあった椅子に座り読書を続ける。
「あー、えーっと、名前は?」
双井は気になっていたことの話を切り出す。
「長野勇也」
「あ、そうか。長野。俺は双井幹斗、こいつは中上優仁であいつが岡野流輝だ。これからよろしくな。」
頷き視線を本へ戻す。
双井と中上2人は部屋の外へ出る。
「おい、全く話さなそうだぞ。むしろ話しかけるなオーラむんむん出してるぞ!」
双井が言うと中上も話し出す。
「同い年なんだよな⁉︎俺らと違うぞ!年上だぞどう見ても」
「だよなだよな!」
「と、とりあえず色々聞いてみるか」
「そうだな」
部屋に入るとさっそく双井は質問した。
「長野は高校どこなんだ?」
「都内の私立高校」
「ぶ、部活とかはなんかやってんのか?」
「水泳部」
「お、俺泳げないから羨ましいなー、今度教えてよー」
「暇な時な」
「か、彼女とかはやっぱいんのか?」
『いねぇよんなもん!!!』
突然の大声に一同唖然。訪れる沈黙。
「わ、悪い忘れてくれ。」
双井はタブーに触れてしまったかのような顔をしていた。
「とにかく4人集まったんだ。そろそろ初仕事だ!」
「うおおおおお!」
と岡野は歓喜の声をあげる。
「おい河童!てめぇNASAに突き出すぞ!」と双井。
「長野、こいつに用あるときは河童って呼べば返事するから!」と中上。
「初対面の人に何吹き込むんすか」と河童こと岡野。
長野は頷くだけであった。
双井は思い出すように仕事について話す。
「えと、仕事内容は最近発足したセレクター開発軍団『developers』
こいつらは7〜10歳程の子供を拉致してはセレクターにできないかと人体実験しているそうだ。こいつらを壊滅させに行く。話だと相当なセレクターが何人もいるそうだ。いくつか部隊に分けて攻め込もうと思う。」
そして舞台は何も書いたことのないであろうホワイトボードに以下のように記す。
・実働班 双井、長野
・狙撃班 岡野
・偵察、実働班 中上
「長野は能力がいまいちわからないから実働班として動いてもらう。岡野は俺たちが楽できるよう道を開ける形で狙撃を。中上は主に偵察だ。倒せそうだったら殺ってくれ。」
「へいへい」と岡野。
「尋問してから○すのはあり?」と中上。
「足がつかない程度な」と容認する双井。
長野は今まで通り頷くだけだった。
しかし話してるあいだは読書をやめ視線をこっちに向けていた。
「作戦開始は18:00。場所は依頼者曰く銀糸町の森ビルで報酬金は1人頭30万だ。では各自準備を済ましてくれ。以上!」
言った後はいつもの3人はおしゃべり。長野は読書を始めた。
今日の拠点は銀糸町に比較的近い場所にあり、10分もあれば森ビルに着く。
しかし長野は17:30、つまり30分早く拠点を出て行った。
「まだ早いよね?」
と岡野。全くの正論だ。
「岡野と一緒でイくのがはやいね」
「おいなんで知ってる⁉︎」
下ネタをブッ込んできた中上につっこむ。
「きっと打ち解けていなくて気まずかったんだろう。」
と双井。
「そうかもな…」
2人は呟くように返す。
そんなこんなで拠点を出て森ビルへ到着する。
長野を見つけ寄って行くが先程と雰囲気が変わっていた。
「長野早かったな。どうしてあんな早く出たんだ?」双井はストレートに聞く。
「家に取りに行くものがあった。」
そう行ってフードのポケットから出したのは水の入ったペットボトルと…
デスソース…
「「「デスソース⁉︎⁉︎」」」
「ああ。最近のお気に入りだ。」
「そ、そうなのか…」
この時3人は思った。
『絶対やばい奴だコイツ!頭逝ってるぜ…』と…
「か、各自持ち場に着いてくれ。岡野が着き次第俺と長野が出る。」
双井が指示を出しいよいよdevelopers潰しが始まる。
森ビル。見た目は普通のビル。都内らしいさほど広くもない3階建てのビルだ。こんなところで人体実験なんてやっているのだろうか。
ふと思う俺にに岡野からの連絡が入る。
「行こう長野。好きなだけやってくれ。」
長野は今まで通り頷くだけだったが雰囲気がガラッと変わる。
冷たさ、静けさしか感じられなかった拠点ないとは違い、威圧というのか、もっと凄い何かがひしひしと伝わってきた。
「やっぱこいつ、できるな…」
先を行く長野を追いかけると同時に息を吐くように小さくぼやいた。
森ビルに入っても普通のビルと思うしかなかった。
なにもなく、人の気配もない。さらに言えばエレクターたちの反応もなかった。
そんな時、先に入っていた中上からの情報が入る。
『developers本部地下にあり。1階本棚裏に隠し階段あり。3階にいた奴がゲロった。』
「よし、地下だ長野。1階の本棚を探すぞ」
部屋を転々とし4つ目の扉の奥の本棚裏に隠し階段をみつける。
『流石に1人より仕事が捗るな。組んで正解だ。』
双井はふと思った。
暗い階段を踏み外さないよう下りるとモニターだらけの部屋に着く。
コツ、コツ、コツ
奥から足音が近づいてくる。
「よく来たなセレクター達よ。わたsあぁぁぁぁ!!!」
現れた白衣男が目と鼻を抑えて踠き苦しむ。まさか…
長野を見ると自分のエレクターを憑依させたままデスソースの蓋を開けていた。
「長野、お前の能力…」
「あ?ああ、液体なら何でも操れる。」
「じゃああいつは?」
「デスソースを両目と鼻の穴に勢いよく入れた。恐らく5分はまともに動けない。」
なるほど、さっき言っていたお気に入りの意味がわかる。にしても…
「長野、コイツ動いてないんだけど…」
白衣男は目と鼻を抑えながら気絶していた。
すると長野は白衣男に近づく。
「おい、起きろやおら。意識あんだろ?3秒以内に返事しねぇとてめぇの○玉ぶっ潰すぞ」
長野はとんでもないSだった。
白衣男の横っ腹を踏んづけながらカウントダウンを進める。
白衣男は2の時に声を出した。
「すいませんすいません!それだけはやめて下さい…」
それから間も無く長野流尋問が始まるのだった…
「今回のはイきが悪いな。アニメだったらまだOPの伴奏だぞ。」
白衣男は本当にすぐにゲロった。てかあれはゲロりたくなる。
長野は白衣男の涙をアイスピック状にし白衣男の手に刺した。
その後「お前の血、温度上げてぐから」
と言って3秒持たなかった…
「長野、因みにあいつの血の温度はどれくらいまで上げたんだ?」
「まだ45〜50くらいさ。今までこれやって長かった奴は2分くらいかなぁ。65℃まで耐えたがゲロっちまった。」
「2分やって65℃しか上がってないのか?」
「じわじわやって悶える顔と声がたまらなく好きでね〜。でも面白くなる前にみんなゲロるか失神しちまう。つまらねぇよな」
「そ、そうだな…」
俺は確信した。コイツ、ドS通り越して変人の域に達してると。
「とりあえずこいつに聞いたしボスの場所行こうぜ。あんたの能力見てみたいな」
「そうか、じゃあ行くか」
歩き出そうとすると
『まったく、また年寄りにあんなことさせおって。お主の趣味は最悪じゃ』
青い鯉が現れ、長野と話している。長野のエレクターか。そう思った。
「うるせぇ。エンブの尋問ただの水責めじゃないか。そんなのつまらん。」
『つまらんとはなんじゃつまらんとは!』
「わかったわかった。お前もう今日用事ねぇから帰ってていいぞ。」
『ほほぅ。年寄りに気を使えるようになってきたのぅ』
というと鯉はすぅっと消えていった。
「帰っていいってどこに帰ったんだ?」
「家だよ。茶でも飲んでるさ」
普通エレクターを自分の近くにいさせておくのになんて奴だ。恐らくこれが長野とエンブの付き合い方なんだろうと思った。
「後は俺がやっていいんだよな?」
確認をとる。
「ああ、楽しみにしてるぜ」
期待された以上、楽しませてやるぜ。
モニターだらけの部屋の奥にある階段の途中の壁の隙間に手をかけ力一杯引くとエレベータがあり、それで1番下まで降りる。
エレベーターを降りるとそこには人体実験に失敗したであろう子供とは思えない姿の死体が数体が転がっていた。
「よく来たな狩人よ。我が名はマリュアス。この世を彷徨いし者なり。」
「あいつ、憑依されてるな。マリュアスとかいうやつに」
「そうだな」
長野と考えが一致し確信へと変わる。
そしてこれから俺のターンだ。
「岡野〜!!!」
俺は思いっきり叫ぶ。
すると部屋のいたるところから撃たれた痕のあるエレクターが倒れてきた。
「双井、これがお前の能力か?」
「いや、これは岡野の力だ。」
「へぇ。河童もやるねぇ。」
「因みにあいつのエレクターはトカゲだぞ。ほらあそこに」
俺は岡野のエレクターを指差す。
「ああやって俺らの後をつけてトカゲの目を通してあいつが敵に向かって狙撃するわけだ。」
「なるほど。流石はS級といったところか。」
納得してもらえたようなので俺の能力を見せることにする。
「おいマリュアス、お前の手下全員やられちまったなぁ!」
「くっ、相当な手練れのようだな。だが私には勝てん!」
「そか」
俺は手始めに半分くらいの力でやってみた。
「プスプス…」
「あ、殺っちゃった♪」
俺は強いぞみたいな事言ってたから余裕で耐えるだろうと思ったら死んじゃった…
「お前は炎か。」
「ああ、こいつのつくる炎はアツいぞ」
俺のエレクターを見せる。
「炎孤か。これまた面白いな」
長野は不敵に微笑んだ。
「一先ず仕事は終わりだ。拠点へ戻ろう。」
「だが他の敵もまだいるんじゃないのか?」長野がそう思うのも当然だ。
「後はあのトカゲの飼い主が片付けてくれるさ」
そう言い歩みを進めた。
銀糸町の夜の街に別れを告げた。
全員が拠点に揃うと反省会が始まった。
「俺たち実働班はやる事やった。特に反省する点もないな。」
と双井。
「俺もだ。というより1人尋問しただけで何もやってねぇ」
と中上。
「俺も反省する点はないんだが気になることが1つあるんだ」
最後の岡野が何かあると申告。
「ボス殺った後残党仕留めてた時にとんでもない力を感じたんだ。俺たち以上の力を持ったやつかもしれない。追ったんだが見事に撒かれた」
「developersの上にまだ何かいるのか…」中上がぼやく。
「かもな…まあ出てこない以上潰せない。待つしかないさ」と双井が言う。
「とりあえず仕事は一件落着だ。本日の活動は終了だ。解散!」
双井の解散の言葉とともに岡野は提案する。
「これから夕飯行こうぜ!」
「「どこに?」」
と双井と中上。
「今日の拠点からだったらサイゼだな」
「まあ手頃だしいいだろう」
「行くかぁ」
2人とも行く返事をした。
「おーい長野も行こーぜ!」
「あぁ、腹が減った。」
全員が参加することとなる。
この夕飯がきっかけとなり長野もこの3人の輪に入るようになる。
それからも数々の高難易度案件を解決していく。セレクター内ではあっという間に解決すると伝説化している。
長野が入って1年が経った頃。
「やっと1人新入団員か…」
長野がお茶を飲みながら呟く。
「今度は誰だろうね」と岡野
「前のは変人だったから多分超真面目君だろうね」と双井は笑いながら言う。
「え?あぁ、そこの河童ね。変人というか未確認生物だからな。来るのは多分人間だな」長野も岡野イジりで返す。
「いやいや俺も一応人間なんすけど⁇」
「河童が喋った!」「おい!」
「そういや河童って子孫残れるの?人と河童のハーフみたいなやつ」
といきなり中上がぶっこむ。
「いや、人間と子供作ったら純粋な人間だし!」
「河童、お前ツッコミ能力落ちたな…泣」
双井が涙(嘘)を流しながら岡野の肩を叩いた。
「知らんわ!」
騒々しくしていると…
コンコン、ガチャ。
silent歌劇団の新たな時代が幕を開ける。
結団は1年前の春前。花たちが春の暖かさをいまかと待ちわびる2月末の頃だ。
結団時、silent歌劇団には3人しか団員がいなかった。
団長は双井幹斗。
平として中上優仁、岡野流輝という『団』と呼ぶには少ない人数であった。
3人はS級のセレクターであり、それぞれが単独で行動しようとよっぽどの敵が来ない限り問題などないのだ。
「暇だな。こんな人数じゃ仕事しても面白くないしな…」
と双井が椅子にもたれながらぼやいた。
silent歌劇団の本拠地は特になく、日々拠点を移している。これは敵に拠点を悟られないためだ。さらに双井、中上、岡野の3人は共に現役の中学3年生であり、集まるのも4時半過ぎからであり、殆ど秘密基地に集まって駄弁るのと変わらない感じだった。
「今来てる仕事だってB級に任してても問題ないんだから俺らが動くまでもないさ。」
「それなー」
と中上が答え、岡野はそれに同意をした。
そんな何もない2ヶ月という月日が流れた。
3人は晴れて高校へ進学した。
双井と岡野は日の橋高校へ、中上は南野高校へ入学。双井は陸上部、中上は水泳部に一応所属した。岡野は帰宅部だ。
高校の入学式後、3人はウキウキしながら拠点へ足を運んだ。
新入団員が1人来ると知らされたからだ。しかも同い年と聞かされた。
本拠地で1番落ち着きがなかったのは岡野だった。
「やば〜、どんな人だろ〜。タメだしなー。話しやすい人がいいな〜」
「うるせぇ河童!黙って皿でも磨いてろ!」
と双井が一喝。
岡野は容姿から河童とあだ名が付いた。ちなみに付けた人は誰も知らない。気付いた時から河童なのだ。
それから間も無くだった。
トントン、ガチャ
入って来た男はフードを被り、あまりの落ち着きからか周りの空気が少し寒く感じた。
「失礼します。本日よりsilent歌劇団へ入団するよう言われた。よろしく頼む。」
一礼をすると、立ちっぱなしだった岡野の空いた椅子に座り読書を始めた。
岡野は恐る恐る言う。
「あ、あの、そこ、僕の席なんだけどな…」
「あぁ、すまない。」
そう言うと隅に置いてあった椅子に座り読書を続ける。
「あー、えーっと、名前は?」
双井は気になっていたことの話を切り出す。
「長野勇也」
「あ、そうか。長野。俺は双井幹斗、こいつは中上優仁であいつが岡野流輝だ。これからよろしくな。」
頷き視線を本へ戻す。
双井と中上2人は部屋の外へ出る。
「おい、全く話さなそうだぞ。むしろ話しかけるなオーラむんむん出してるぞ!」
双井が言うと中上も話し出す。
「同い年なんだよな⁉︎俺らと違うぞ!年上だぞどう見ても」
「だよなだよな!」
「と、とりあえず色々聞いてみるか」
「そうだな」
部屋に入るとさっそく双井は質問した。
「長野は高校どこなんだ?」
「都内の私立高校」
「ぶ、部活とかはなんかやってんのか?」
「水泳部」
「お、俺泳げないから羨ましいなー、今度教えてよー」
「暇な時な」
「か、彼女とかはやっぱいんのか?」
『いねぇよんなもん!!!』
突然の大声に一同唖然。訪れる沈黙。
「わ、悪い忘れてくれ。」
双井はタブーに触れてしまったかのような顔をしていた。
「とにかく4人集まったんだ。そろそろ初仕事だ!」
「うおおおおお!」
と岡野は歓喜の声をあげる。
「おい河童!てめぇNASAに突き出すぞ!」と双井。
「長野、こいつに用あるときは河童って呼べば返事するから!」と中上。
「初対面の人に何吹き込むんすか」と河童こと岡野。
長野は頷くだけであった。
双井は思い出すように仕事について話す。
「えと、仕事内容は最近発足したセレクター開発軍団『developers』
こいつらは7〜10歳程の子供を拉致してはセレクターにできないかと人体実験しているそうだ。こいつらを壊滅させに行く。話だと相当なセレクターが何人もいるそうだ。いくつか部隊に分けて攻め込もうと思う。」
そして舞台は何も書いたことのないであろうホワイトボードに以下のように記す。
・実働班 双井、長野
・狙撃班 岡野
・偵察、実働班 中上
「長野は能力がいまいちわからないから実働班として動いてもらう。岡野は俺たちが楽できるよう道を開ける形で狙撃を。中上は主に偵察だ。倒せそうだったら殺ってくれ。」
「へいへい」と岡野。
「尋問してから○すのはあり?」と中上。
「足がつかない程度な」と容認する双井。
長野は今まで通り頷くだけだった。
しかし話してるあいだは読書をやめ視線をこっちに向けていた。
「作戦開始は18:00。場所は依頼者曰く銀糸町の森ビルで報酬金は1人頭30万だ。では各自準備を済ましてくれ。以上!」
言った後はいつもの3人はおしゃべり。長野は読書を始めた。
今日の拠点は銀糸町に比較的近い場所にあり、10分もあれば森ビルに着く。
しかし長野は17:30、つまり30分早く拠点を出て行った。
「まだ早いよね?」
と岡野。全くの正論だ。
「岡野と一緒でイくのがはやいね」
「おいなんで知ってる⁉︎」
下ネタをブッ込んできた中上につっこむ。
「きっと打ち解けていなくて気まずかったんだろう。」
と双井。
「そうかもな…」
2人は呟くように返す。
そんなこんなで拠点を出て森ビルへ到着する。
長野を見つけ寄って行くが先程と雰囲気が変わっていた。
「長野早かったな。どうしてあんな早く出たんだ?」双井はストレートに聞く。
「家に取りに行くものがあった。」
そう行ってフードのポケットから出したのは水の入ったペットボトルと…
デスソース…
「「「デスソース⁉︎⁉︎」」」
「ああ。最近のお気に入りだ。」
「そ、そうなのか…」
この時3人は思った。
『絶対やばい奴だコイツ!頭逝ってるぜ…』と…
「か、各自持ち場に着いてくれ。岡野が着き次第俺と長野が出る。」
双井が指示を出しいよいよdevelopers潰しが始まる。
森ビル。見た目は普通のビル。都内らしいさほど広くもない3階建てのビルだ。こんなところで人体実験なんてやっているのだろうか。
ふと思う俺にに岡野からの連絡が入る。
「行こう長野。好きなだけやってくれ。」
長野は今まで通り頷くだけだったが雰囲気がガラッと変わる。
冷たさ、静けさしか感じられなかった拠点ないとは違い、威圧というのか、もっと凄い何かがひしひしと伝わってきた。
「やっぱこいつ、できるな…」
先を行く長野を追いかけると同時に息を吐くように小さくぼやいた。
森ビルに入っても普通のビルと思うしかなかった。
なにもなく、人の気配もない。さらに言えばエレクターたちの反応もなかった。
そんな時、先に入っていた中上からの情報が入る。
『developers本部地下にあり。1階本棚裏に隠し階段あり。3階にいた奴がゲロった。』
「よし、地下だ長野。1階の本棚を探すぞ」
部屋を転々とし4つ目の扉の奥の本棚裏に隠し階段をみつける。
『流石に1人より仕事が捗るな。組んで正解だ。』
双井はふと思った。
暗い階段を踏み外さないよう下りるとモニターだらけの部屋に着く。
コツ、コツ、コツ
奥から足音が近づいてくる。
「よく来たなセレクター達よ。わたsあぁぁぁぁ!!!」
現れた白衣男が目と鼻を抑えて踠き苦しむ。まさか…
長野を見ると自分のエレクターを憑依させたままデスソースの蓋を開けていた。
「長野、お前の能力…」
「あ?ああ、液体なら何でも操れる。」
「じゃああいつは?」
「デスソースを両目と鼻の穴に勢いよく入れた。恐らく5分はまともに動けない。」
なるほど、さっき言っていたお気に入りの意味がわかる。にしても…
「長野、コイツ動いてないんだけど…」
白衣男は目と鼻を抑えながら気絶していた。
すると長野は白衣男に近づく。
「おい、起きろやおら。意識あんだろ?3秒以内に返事しねぇとてめぇの○玉ぶっ潰すぞ」
長野はとんでもないSだった。
白衣男の横っ腹を踏んづけながらカウントダウンを進める。
白衣男は2の時に声を出した。
「すいませんすいません!それだけはやめて下さい…」
それから間も無く長野流尋問が始まるのだった…
「今回のはイきが悪いな。アニメだったらまだOPの伴奏だぞ。」
白衣男は本当にすぐにゲロった。てかあれはゲロりたくなる。
長野は白衣男の涙をアイスピック状にし白衣男の手に刺した。
その後「お前の血、温度上げてぐから」
と言って3秒持たなかった…
「長野、因みにあいつの血の温度はどれくらいまで上げたんだ?」
「まだ45〜50くらいさ。今までこれやって長かった奴は2分くらいかなぁ。65℃まで耐えたがゲロっちまった。」
「2分やって65℃しか上がってないのか?」
「じわじわやって悶える顔と声がたまらなく好きでね〜。でも面白くなる前にみんなゲロるか失神しちまう。つまらねぇよな」
「そ、そうだな…」
俺は確信した。コイツ、ドS通り越して変人の域に達してると。
「とりあえずこいつに聞いたしボスの場所行こうぜ。あんたの能力見てみたいな」
「そうか、じゃあ行くか」
歩き出そうとすると
『まったく、また年寄りにあんなことさせおって。お主の趣味は最悪じゃ』
青い鯉が現れ、長野と話している。長野のエレクターか。そう思った。
「うるせぇ。エンブの尋問ただの水責めじゃないか。そんなのつまらん。」
『つまらんとはなんじゃつまらんとは!』
「わかったわかった。お前もう今日用事ねぇから帰ってていいぞ。」
『ほほぅ。年寄りに気を使えるようになってきたのぅ』
というと鯉はすぅっと消えていった。
「帰っていいってどこに帰ったんだ?」
「家だよ。茶でも飲んでるさ」
普通エレクターを自分の近くにいさせておくのになんて奴だ。恐らくこれが長野とエンブの付き合い方なんだろうと思った。
「後は俺がやっていいんだよな?」
確認をとる。
「ああ、楽しみにしてるぜ」
期待された以上、楽しませてやるぜ。
モニターだらけの部屋の奥にある階段の途中の壁の隙間に手をかけ力一杯引くとエレベータがあり、それで1番下まで降りる。
エレベーターを降りるとそこには人体実験に失敗したであろう子供とは思えない姿の死体が数体が転がっていた。
「よく来たな狩人よ。我が名はマリュアス。この世を彷徨いし者なり。」
「あいつ、憑依されてるな。マリュアスとかいうやつに」
「そうだな」
長野と考えが一致し確信へと変わる。
そしてこれから俺のターンだ。
「岡野〜!!!」
俺は思いっきり叫ぶ。
すると部屋のいたるところから撃たれた痕のあるエレクターが倒れてきた。
「双井、これがお前の能力か?」
「いや、これは岡野の力だ。」
「へぇ。河童もやるねぇ。」
「因みにあいつのエレクターはトカゲだぞ。ほらあそこに」
俺は岡野のエレクターを指差す。
「ああやって俺らの後をつけてトカゲの目を通してあいつが敵に向かって狙撃するわけだ。」
「なるほど。流石はS級といったところか。」
納得してもらえたようなので俺の能力を見せることにする。
「おいマリュアス、お前の手下全員やられちまったなぁ!」
「くっ、相当な手練れのようだな。だが私には勝てん!」
「そか」
俺は手始めに半分くらいの力でやってみた。
「プスプス…」
「あ、殺っちゃった♪」
俺は強いぞみたいな事言ってたから余裕で耐えるだろうと思ったら死んじゃった…
「お前は炎か。」
「ああ、こいつのつくる炎はアツいぞ」
俺のエレクターを見せる。
「炎孤か。これまた面白いな」
長野は不敵に微笑んだ。
「一先ず仕事は終わりだ。拠点へ戻ろう。」
「だが他の敵もまだいるんじゃないのか?」長野がそう思うのも当然だ。
「後はあのトカゲの飼い主が片付けてくれるさ」
そう言い歩みを進めた。
銀糸町の夜の街に別れを告げた。
全員が拠点に揃うと反省会が始まった。
「俺たち実働班はやる事やった。特に反省する点もないな。」
と双井。
「俺もだ。というより1人尋問しただけで何もやってねぇ」
と中上。
「俺も反省する点はないんだが気になることが1つあるんだ」
最後の岡野が何かあると申告。
「ボス殺った後残党仕留めてた時にとんでもない力を感じたんだ。俺たち以上の力を持ったやつかもしれない。追ったんだが見事に撒かれた」
「developersの上にまだ何かいるのか…」中上がぼやく。
「かもな…まあ出てこない以上潰せない。待つしかないさ」と双井が言う。
「とりあえず仕事は一件落着だ。本日の活動は終了だ。解散!」
双井の解散の言葉とともに岡野は提案する。
「これから夕飯行こうぜ!」
「「どこに?」」
と双井と中上。
「今日の拠点からだったらサイゼだな」
「まあ手頃だしいいだろう」
「行くかぁ」
2人とも行く返事をした。
「おーい長野も行こーぜ!」
「あぁ、腹が減った。」
全員が参加することとなる。
この夕飯がきっかけとなり長野もこの3人の輪に入るようになる。
それからも数々の高難易度案件を解決していく。セレクター内ではあっという間に解決すると伝説化している。
長野が入って1年が経った頃。
「やっと1人新入団員か…」
長野がお茶を飲みながら呟く。
「今度は誰だろうね」と岡野
「前のは変人だったから多分超真面目君だろうね」と双井は笑いながら言う。
「え?あぁ、そこの河童ね。変人というか未確認生物だからな。来るのは多分人間だな」長野も岡野イジりで返す。
「いやいや俺も一応人間なんすけど⁇」
「河童が喋った!」「おい!」
「そういや河童って子孫残れるの?人と河童のハーフみたいなやつ」
といきなり中上がぶっこむ。
「いや、人間と子供作ったら純粋な人間だし!」
「河童、お前ツッコミ能力落ちたな…泣」
双井が涙(嘘)を流しながら岡野の肩を叩いた。
「知らんわ!」
騒々しくしていると…
コンコン、ガチャ。
silent歌劇団の新たな時代が幕を開ける。
