「ハッピーバースデートゥーユー、ハッピーバースデートゥーユー、ハッピーバースデーお兄ちゃーん!ハッピーバースデートゥーユー!」
ノイズが入ったような妹の歌声に、俺は目を覚ました。
「・・・・・・ううっ・・・?」
俺は辺りを見渡す。首を左に傾け────
「痛ッ!?」
瞬間、首に走った激痛に俺は大声を出していた。
俺は右腕を上げて首に触れる。
すかっ、すかっ。
指が首に当たらない。
俺は違和感を感じて、右手を見た。
すると、右手の指は五本とも全て切断されていた。
「うわあああああああ!?」
その時ようやく、俺は自分が置かれている状況を理解した。
俺は家にある椅子に座らされ、どこから取り出したのかもわからない鎖で、椅子に体を固定させられていた。
そして左足は完全に切断され、同じく右手指も切断されている。左腕の内側には、もう少し切れ目を入れれば完全に切断できそうなくらいの大きな傷が。それに、左腕程ではないが、首の頚動脈の少し下くらいには大きな傷があった。
体の所々にある傷の存在に気付いた俺は、途端全身に激痛が迸る。
「あれれ?お兄ちゃん起きたのー?」
激痛に顔を歪ませていた俺に、妹は暢気に声をかけた。
「・・・・・・沙月・・・?」
「あ、傷口痛む?傷口、鉄板で焼いて止血はしたんだけどなぁ」
「・・・沙月・・?」
「ほら、今日お兄ちゃんの誕生日だからさ。お兄ちゃんのお肉でご馳走作ってあげようって思ったの!」
「・・・・・・」
「あれ?でも、お兄ちゃんのお肉使っちゃったら、お兄ちゃんご馳走食べれないよねー?あれー?」
「・・・・・・」
「ま、いっか!」
妹は嗤う。俺の不幸を嗤う。俺の痛みを嗤う。
「沙月・・・・・・」
「あのね、お兄ちゃん!私、今日、とっても気持ちいいの!まるで天国に行ったみたい!」
やっと暗闇になれてきた俺の目は、しっかりと沙月を捉えることが出来た。
沙月は、俺のことを見てはいなかった。
自分の身に起きている幸福を、存分に噛み締めているような感じ。
真っ黒に染まった、化物みたいな瞳は何も移さず、ただただ、嗤うばかりであった。
「アハハハハハハハハハハ──────────」
パァン!
瞬間、俺の家の中で銃声が鳴り響いた。
窓ガラスは完全に割れ、その糾弾は沙月の頭を左から右へと突き抜ける。
薬莢はカランカランと音を立てながら床に落ち、そして入ってきたのは【嗤う鬼達】だった。
「ようガキ!生きてるかァ!?グハハハハッ!」
「うるさい、千石」
「でもさ、ワンダーに襲われて生きてるなんて、この人凄いよね」
「グハハハハッ!俺なら返り討ちにしてやるけどな!」
「うるさい、千石」
「グハハハハ!まあ取り敢えず、このファッキンモンスターを殲滅すんぞ!」
「了解、千石」
額から禍々しい角を生やした鬼共は、沙月に向かって走り出した。
そして『千石』と呼ばれた大男はグハハハと高笑いをしながら、大きな筋肉が盛り上がった右腕を上げた。すると右腕はパキパキパキと音を立てながら変化しだし、最終的に大きな大砲に変化した。
「あばよ!ファッキンモンスター!てめぇのパレードは終わりだ!」
キュインキュインキュインと【機械音】を立てながら、大男の右腕の大砲は膨張していく。
「うわあああああああああああああ!!!」
気付けば俺は、体に巻きついた鎖を力任せに解き、沙月の前に立っていた。
「ああん!?」
大男は慌てて右腕を壁の方に向け、沙月に当たらないようにする。狙いを完全に外した大砲の弾は家の壁にぶち当たり、壁に穴が空いた。
「何やってんだてめぇ!?」
大男は俺に向かって怒鳴り、そして俺に近づき、俺の額に青い煙を上げる大砲を当てた。
「お、おお・・・・・・俺のい・・・いいい・・・妹に!な、何やってんだよ・・・お、お前ェ・・・!!」
肩は超高速で上下に震え、声もまともにでないし唇も震えている。大男は俺に呆れたような瞳を向け、そして言った。
「妹ォ?じゃあてめぇのイモウトってのはよぉ、おめぇのこと殺そうとすんのかい?そんな化物面してんのかい?」
「・・・と、と、父さんも!母さんも・・・し、死んで!そ、そ・・・・・育ててくれた叔母さんも・・・死んで!お、俺に残る家族は・・・!こいつだけなんだよ!!」
「はぁん?じゃあてめぇは、妹が生きれるんなら死んでもいいってか?」
「・・・い、妹を守るのは・・・・・・兄の役目だろ・・・!」
「────────」
大男は一旦悩むような仕草をしてから、大砲を下ろした。俺は安心して、全身から力を抜く。
しかしその瞬間、俺は横っ腹を凄い力で蹴られていた。
「オレぁ、てめぇを護るために来たんじゃねぇ。このバケモンを殺しに来ただけだ」
そういうと大男は、大砲を沙月に撃った。
「やめろォォォォォォォ!」
俺は全身に迸る激痛を忘れ、残った右足だけで立ち上がり、そしてもう一度沙月の前に庇い立った。
刹那、俺の腹に大きな風穴が空き、そして大砲の弾は俺の体を通関して沙月にも当たった。
その振動でプラプラしていた左腕はもう完全に切れ、至るところから多量の血が出た。
「な、何やってんだよ・・・・・・」
大男は左手で額を抑え、俺を馬鹿を見るような目で見た。
「───お兄ちゃん・・・・・・ありがとう・・・」
激痛で頭がおかしくなってる中で、聞こえた沙月の声は、やっぱり幻聴だったのかもしれない。
ノイズが入ったような妹の歌声に、俺は目を覚ました。
「・・・・・・ううっ・・・?」
俺は辺りを見渡す。首を左に傾け────
「痛ッ!?」
瞬間、首に走った激痛に俺は大声を出していた。
俺は右腕を上げて首に触れる。
すかっ、すかっ。
指が首に当たらない。
俺は違和感を感じて、右手を見た。
すると、右手の指は五本とも全て切断されていた。
「うわあああああああ!?」
その時ようやく、俺は自分が置かれている状況を理解した。
俺は家にある椅子に座らされ、どこから取り出したのかもわからない鎖で、椅子に体を固定させられていた。
そして左足は完全に切断され、同じく右手指も切断されている。左腕の内側には、もう少し切れ目を入れれば完全に切断できそうなくらいの大きな傷が。それに、左腕程ではないが、首の頚動脈の少し下くらいには大きな傷があった。
体の所々にある傷の存在に気付いた俺は、途端全身に激痛が迸る。
「あれれ?お兄ちゃん起きたのー?」
激痛に顔を歪ませていた俺に、妹は暢気に声をかけた。
「・・・・・・沙月・・・?」
「あ、傷口痛む?傷口、鉄板で焼いて止血はしたんだけどなぁ」
「・・・沙月・・?」
「ほら、今日お兄ちゃんの誕生日だからさ。お兄ちゃんのお肉でご馳走作ってあげようって思ったの!」
「・・・・・・」
「あれ?でも、お兄ちゃんのお肉使っちゃったら、お兄ちゃんご馳走食べれないよねー?あれー?」
「・・・・・・」
「ま、いっか!」
妹は嗤う。俺の不幸を嗤う。俺の痛みを嗤う。
「沙月・・・・・・」
「あのね、お兄ちゃん!私、今日、とっても気持ちいいの!まるで天国に行ったみたい!」
やっと暗闇になれてきた俺の目は、しっかりと沙月を捉えることが出来た。
沙月は、俺のことを見てはいなかった。
自分の身に起きている幸福を、存分に噛み締めているような感じ。
真っ黒に染まった、化物みたいな瞳は何も移さず、ただただ、嗤うばかりであった。
「アハハハハハハハハハハ──────────」
パァン!
瞬間、俺の家の中で銃声が鳴り響いた。
窓ガラスは完全に割れ、その糾弾は沙月の頭を左から右へと突き抜ける。
薬莢はカランカランと音を立てながら床に落ち、そして入ってきたのは【嗤う鬼達】だった。
「ようガキ!生きてるかァ!?グハハハハッ!」
「うるさい、千石」
「でもさ、ワンダーに襲われて生きてるなんて、この人凄いよね」
「グハハハハッ!俺なら返り討ちにしてやるけどな!」
「うるさい、千石」
「グハハハハ!まあ取り敢えず、このファッキンモンスターを殲滅すんぞ!」
「了解、千石」
額から禍々しい角を生やした鬼共は、沙月に向かって走り出した。
そして『千石』と呼ばれた大男はグハハハと高笑いをしながら、大きな筋肉が盛り上がった右腕を上げた。すると右腕はパキパキパキと音を立てながら変化しだし、最終的に大きな大砲に変化した。
「あばよ!ファッキンモンスター!てめぇのパレードは終わりだ!」
キュインキュインキュインと【機械音】を立てながら、大男の右腕の大砲は膨張していく。
「うわあああああああああああああ!!!」
気付けば俺は、体に巻きついた鎖を力任せに解き、沙月の前に立っていた。
「ああん!?」
大男は慌てて右腕を壁の方に向け、沙月に当たらないようにする。狙いを完全に外した大砲の弾は家の壁にぶち当たり、壁に穴が空いた。
「何やってんだてめぇ!?」
大男は俺に向かって怒鳴り、そして俺に近づき、俺の額に青い煙を上げる大砲を当てた。
「お、おお・・・・・・俺のい・・・いいい・・・妹に!な、何やってんだよ・・・お、お前ェ・・・!!」
肩は超高速で上下に震え、声もまともにでないし唇も震えている。大男は俺に呆れたような瞳を向け、そして言った。
「妹ォ?じゃあてめぇのイモウトってのはよぉ、おめぇのこと殺そうとすんのかい?そんな化物面してんのかい?」
「・・・と、と、父さんも!母さんも・・・し、死んで!そ、そ・・・・・育ててくれた叔母さんも・・・死んで!お、俺に残る家族は・・・!こいつだけなんだよ!!」
「はぁん?じゃあてめぇは、妹が生きれるんなら死んでもいいってか?」
「・・・い、妹を守るのは・・・・・・兄の役目だろ・・・!」
「────────」
大男は一旦悩むような仕草をしてから、大砲を下ろした。俺は安心して、全身から力を抜く。
しかしその瞬間、俺は横っ腹を凄い力で蹴られていた。
「オレぁ、てめぇを護るために来たんじゃねぇ。このバケモンを殺しに来ただけだ」
そういうと大男は、大砲を沙月に撃った。
「やめろォォォォォォォ!」
俺は全身に迸る激痛を忘れ、残った右足だけで立ち上がり、そしてもう一度沙月の前に庇い立った。
刹那、俺の腹に大きな風穴が空き、そして大砲の弾は俺の体を通関して沙月にも当たった。
その振動でプラプラしていた左腕はもう完全に切れ、至るところから多量の血が出た。
「な、何やってんだよ・・・・・・」
大男は左手で額を抑え、俺を馬鹿を見るような目で見た。
「───お兄ちゃん・・・・・・ありがとう・・・」
激痛で頭がおかしくなってる中で、聞こえた沙月の声は、やっぱり幻聴だったのかもしれない。
