身体にかかる柔らかな重みを感じて、俺はゆっくりと瞼を開けた。久しぶりに目を開けて、瞼に焼き付く日差しが厳しい。
俺は目をしばしばと動かしてから、ベッドの上から起き上がった。
「おうガキ!目ぇ覚めたか!グハハハハッ!」
俺が寝ていたベッドの隣の椅子に腰掛けていたのは、あの時俺の家に無断で大胆に侵入した大男だった。しかし、今は額に角はない。
「・・・!?あ、あんた!!」
俺は立ち上がろうとするが、ぐらっと貧血が起こって倒れてしまう。
「おうおう、無理すんなよ?まだ病み上がりなんだからよぉ」
「うるせぇ!!・・・・・・お、俺の妹はッ!!」
俺がこう尋ねると、大男は頭をポリポリと掻き毟り、溜息をつく。
「・・・・・・死んだよ」
「────!?」
俺は母や叔母さんを失った時のような絶望感で、目の前が真っ暗になった。絶望、困惑、憎悪。負の感情で頭がいっぱいになり、今すぐにでも妹、沙月を殺したこの大男を殺したいと、どうしようもない殺意が生まれてくる。
だが、弱い俺にはこの大男を殺すことが出来ないと、そんなことはとうの昔にわかっていることだ。
「・・・・・・一つ聞く。・・・妹は死んだってのに、なんで俺は生きてるんだよ・・・・・・。腹に風穴空くわ、左腕チョン切れるわ、首切られるわ、右手指切断されるわ、左足無くなるわで、もう生きてられるような状態じゃなかっただろ・・・・・・。今じゃ、怪我ひとつありゃしねぇ。それと、【バラバラ殺人事件】の犯人はあんたらなのか?それと・・・・・・」
「おいおいおい。待て待て。そんなに言われたんじゃ、頭の整理がつかねぇ。しかも質問、一つじゃねぇじゃねえか。・・・・・・まぁ質問には答えてやるよ・・・」
大男は煙草の煙を口から出すと、再び口を開いた。
「ま、一応言っとく。オレの名は千石倫之助(センゴク・リンノスケ)。このバケモングループ、【グラヴィオン】の副団長を務めてるモンだ。千石でいいぜ」
「・・・・・・ああ」
ぐらゔぃおんってなんだよ、と思いながらも、気にせず話を続ける千石の話に耳を傾ける。
「そんで超唐突なんだが、この世界は十年後にゃあ滅びる。それも、お前のイモウトみてぇな化物、【ワンダー】によってな」
唐突に、大男、千石は意味のわからないことを言い出す。俺は困惑して頭がこんがらがる。
「・・・わ、わんだー?」
「ああ。ムズカシイ話なんだが、この世界にゃあ未知のウイルスが蔓延しててな。ココロの弱ぇヤツは、すぐにバケモノになっちまうんだ。んで、そいつらを殺して世界を救うのが、正義の殺し屋、オレ達【グラヴィオン】ってわけだ」
「・・・つまり・・・・・・妹はウイルスに冒されて化物化して、あんたらに殺されたってわけかよ・・・・・・」
「そういうことになるな」
「・・・ふっざけんなよ!!なんなんだよ、未知のウイルスって!意味分かんねぇ!」
俺は大声で怒鳴った。すると大男こと千石は溜息をつく。
「ウイルスの発信源は・・・さすがのオレでもわからねぇ」
「なんだよ・・・・それ・・・」
千石は済まなそうな顔をしてから、煙草を吸う。
「・・・で、でも、なんで俺は生きてるんだ?」
「あー・・・それなんだが・・・」
千石は苦笑しながら、頭を掻いた。
「お前が死にかけたのはオレの責任でもあるんで、ちょっと・・・・・・その・・・」
「・・・?なんだ?」
「お前の身体をイジって、お前を化物にさせちまった」
「・・・・・・・・・・・は?」
「えーと・・・オレ達【グラヴィオン】は、ワンダーを殺した際に出る【紅の結晶】を体内に取り込んで、一時的にバケモンになってんだ。それで・・・お前の体に、お前の妹の結晶を埋め込んだ・・・・ってわけだ。バケモンになったからそりゃ回復力も上がるし・・・・・それで・・・」
「・・・・・・オイ・・・」
予想していたより馬鹿だった千石の話に、俺は思わず呑気に突っ込んでいた。
俺は着衣していた制服を脱ぎ、胸にある凸凹する場所を触る。すると、八角形型の赤色の結晶があるのがわかった。その結晶はまるで脈打つように、赤色の光を濃淡させ続けている。
「ん?怒らねぇのか?」
「・・・怒る気も失せるし・・・・・・妹の一部が俺の体内にあるってんなら、それはそれで良い」
「お前、キモチワルイな」
「うるさい、バケモノ」
「グハハハハッ!今じゃお前もバケモノだけどな!」
俺はどっときた疲れに、安堵と憎悪で溜息をついた。
「あ、そういえば、お前らがあの【バラバラ殺人事件】の犯人・・・なんだよな?」
俺がこう言うと、千石はケロッとした顔で言った。
「ああ、そうだぜ。オレ達が【ワンダー】を殺した時の遺体がそれだ。ただの快楽殺人鬼の犯行だと思わせるために遺体をバラバラにしてるんだが、お前の妹の遺体はしてねぇよ。お前の家のベッドの上に寝かせておいた。多分、もう警察が到着して遺体を見つけてると思うぜ?警察呼ぶためにもう一回大砲を撃っておいたからな」
「・・・・・・ああ、ありがとう」
俺はいつしか、妹を殺した相手にお礼を言ってしまっていた。
────────────────────────────────────
「それじゃあ、初任務をやってもらおうかな?『白柳沙月』さん?」
「了解しました。────全ては我が神の為に」
────────────────────────────────────
沙月と俺が最悪の形で再開することを、俺はこの時、まだ知る由もなかった。
俺は目をしばしばと動かしてから、ベッドの上から起き上がった。
「おうガキ!目ぇ覚めたか!グハハハハッ!」
俺が寝ていたベッドの隣の椅子に腰掛けていたのは、あの時俺の家に無断で大胆に侵入した大男だった。しかし、今は額に角はない。
「・・・!?あ、あんた!!」
俺は立ち上がろうとするが、ぐらっと貧血が起こって倒れてしまう。
「おうおう、無理すんなよ?まだ病み上がりなんだからよぉ」
「うるせぇ!!・・・・・・お、俺の妹はッ!!」
俺がこう尋ねると、大男は頭をポリポリと掻き毟り、溜息をつく。
「・・・・・・死んだよ」
「────!?」
俺は母や叔母さんを失った時のような絶望感で、目の前が真っ暗になった。絶望、困惑、憎悪。負の感情で頭がいっぱいになり、今すぐにでも妹、沙月を殺したこの大男を殺したいと、どうしようもない殺意が生まれてくる。
だが、弱い俺にはこの大男を殺すことが出来ないと、そんなことはとうの昔にわかっていることだ。
「・・・・・・一つ聞く。・・・妹は死んだってのに、なんで俺は生きてるんだよ・・・・・・。腹に風穴空くわ、左腕チョン切れるわ、首切られるわ、右手指切断されるわ、左足無くなるわで、もう生きてられるような状態じゃなかっただろ・・・・・・。今じゃ、怪我ひとつありゃしねぇ。それと、【バラバラ殺人事件】の犯人はあんたらなのか?それと・・・・・・」
「おいおいおい。待て待て。そんなに言われたんじゃ、頭の整理がつかねぇ。しかも質問、一つじゃねぇじゃねえか。・・・・・・まぁ質問には答えてやるよ・・・」
大男は煙草の煙を口から出すと、再び口を開いた。
「ま、一応言っとく。オレの名は千石倫之助(センゴク・リンノスケ)。このバケモングループ、【グラヴィオン】の副団長を務めてるモンだ。千石でいいぜ」
「・・・・・・ああ」
ぐらゔぃおんってなんだよ、と思いながらも、気にせず話を続ける千石の話に耳を傾ける。
「そんで超唐突なんだが、この世界は十年後にゃあ滅びる。それも、お前のイモウトみてぇな化物、【ワンダー】によってな」
唐突に、大男、千石は意味のわからないことを言い出す。俺は困惑して頭がこんがらがる。
「・・・わ、わんだー?」
「ああ。ムズカシイ話なんだが、この世界にゃあ未知のウイルスが蔓延しててな。ココロの弱ぇヤツは、すぐにバケモノになっちまうんだ。んで、そいつらを殺して世界を救うのが、正義の殺し屋、オレ達【グラヴィオン】ってわけだ」
「・・・つまり・・・・・・妹はウイルスに冒されて化物化して、あんたらに殺されたってわけかよ・・・・・・」
「そういうことになるな」
「・・・ふっざけんなよ!!なんなんだよ、未知のウイルスって!意味分かんねぇ!」
俺は大声で怒鳴った。すると大男こと千石は溜息をつく。
「ウイルスの発信源は・・・さすがのオレでもわからねぇ」
「なんだよ・・・・それ・・・」
千石は済まなそうな顔をしてから、煙草を吸う。
「・・・で、でも、なんで俺は生きてるんだ?」
「あー・・・それなんだが・・・」
千石は苦笑しながら、頭を掻いた。
「お前が死にかけたのはオレの責任でもあるんで、ちょっと・・・・・・その・・・」
「・・・?なんだ?」
「お前の身体をイジって、お前を化物にさせちまった」
「・・・・・・・・・・・は?」
「えーと・・・オレ達【グラヴィオン】は、ワンダーを殺した際に出る【紅の結晶】を体内に取り込んで、一時的にバケモンになってんだ。それで・・・お前の体に、お前の妹の結晶を埋め込んだ・・・・ってわけだ。バケモンになったからそりゃ回復力も上がるし・・・・・それで・・・」
「・・・・・・オイ・・・」
予想していたより馬鹿だった千石の話に、俺は思わず呑気に突っ込んでいた。
俺は着衣していた制服を脱ぎ、胸にある凸凹する場所を触る。すると、八角形型の赤色の結晶があるのがわかった。その結晶はまるで脈打つように、赤色の光を濃淡させ続けている。
「ん?怒らねぇのか?」
「・・・怒る気も失せるし・・・・・・妹の一部が俺の体内にあるってんなら、それはそれで良い」
「お前、キモチワルイな」
「うるさい、バケモノ」
「グハハハハッ!今じゃお前もバケモノだけどな!」
俺はどっときた疲れに、安堵と憎悪で溜息をついた。
「あ、そういえば、お前らがあの【バラバラ殺人事件】の犯人・・・なんだよな?」
俺がこう言うと、千石はケロッとした顔で言った。
「ああ、そうだぜ。オレ達が【ワンダー】を殺した時の遺体がそれだ。ただの快楽殺人鬼の犯行だと思わせるために遺体をバラバラにしてるんだが、お前の妹の遺体はしてねぇよ。お前の家のベッドの上に寝かせておいた。多分、もう警察が到着して遺体を見つけてると思うぜ?警察呼ぶためにもう一回大砲を撃っておいたからな」
「・・・・・・ああ、ありがとう」
俺はいつしか、妹を殺した相手にお礼を言ってしまっていた。
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「それじゃあ、初任務をやってもらおうかな?『白柳沙月』さん?」
「了解しました。────全ては我が神の為に」
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沙月と俺が最悪の形で再開することを、俺はこの時、まだ知る由もなかった。
