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Monster parade
- 異常 -

俺は我武者羅に走った。
すると俺の気配に気づいたらしい信徒達が、俺の方を見てにやりと笑った気がした。信徒達はそれぞれ、灰色の鉄製のパイプやら、どこから取り出したのか護身用程度の拳銃やら、ナイフやらの凶器を俺に向ける。
……走っている最中、俺は唐突にその信徒達を恐ろしく感じた。きっと目が合ったからだろう。
……何故怖く感じたのかはよく分からないけれど、十中八九、その濁った目が狂った沙月に似ていたからだと思う。しかし俺は頭をブンブンと力強く振ってそれを無理やり頭の奥に押しやると、大声で叫んだ。

「っうおおおおおおおっらぁぁぁああああああッ!」

その走るスピードを保ちながら、俺は右腕を振りかざす。限界までその体勢でいて力を蓄えた後、鉄製のパイプを躊躇い無しに俺の脳天めがけて振りかざそうとしていた信徒の左頬を力強く殴った。
するとその信徒は後方にぶっ飛び、壁に激突し……そしてその壁にはクレーターのような凹みと、放射状のひび割れができた。信徒の右手からパイプが滑り落ち、カランカランと虚しい音を響かせ地面に落ちる。

「……………………は?」

人を殴ったのは初めてだった。
(ちょ、え?人ってこんなぶっ飛ぶもんなの……?しかも……)

俺は後ろを振り返る。すると、コトハルと俺が元いた場所とここでは、有り得ないくらい離れていた。何も考えずに走ったからどれだけ走ったかは曖昧だが、これだけ走ったら息切れてもおかしくないし、俺はそもそもこんな距離をあんな超スピードで走れるくらいの運動神経と体力はない。

俺が自分の異常さに呆気に取られていると、俺の立つ場所の左側で、パァンッという銃声が響いた。俺はそれを敏感に察知し、何も無い後ろに体重を預け、体を反らせて銃弾を避ける。
(……お?)
銃弾は俺の数mm前を秒速3kmという超速で飛んでいく。
そして体を反らせたことにより体勢を崩した俺だったが、足の筋力をフルに使って、自分でも素晴らしいと思えるほどの跳躍力を発揮して跳ぶ。……つまり俺が今したのは、バック宙……というやつだ。
(……おっ?おっ!?)

自分でも一瞬何をしたのか分からなかった。そもそも俺はバック宙なんて出来るとかそういうこと以前にやってみようと思った試しもないので出来るはずがないし、そして今、俺は『銃弾が左側に立つ信徒から放たれた』、『体を反らせてそれを避けよう』、『体勢を崩したからバック宙で立ち直そう』。……なんてこと、これっぽっちも考えていない。……そう。まるで、体が勝手に動いたような……

「ま、まさかっ」

俺はシャツのボタンをブチブチっと破って(これまた簡単に破れた)、俺の心臓付近に埋められた【紅の結晶】を見た。今まで淡く濃淡を繰り返していた筈のそいつは、なんと眩しいくらい紅く、妖艶に光っていた。(……因みに、俺が胸元の結晶を確認しているその間、信徒から銃撃や、パイプの打撃、ナイフの刺突などの攻撃を食らっていたが、体が勝手に避けていたので心配後無用。)

なるほど、と、ここで俺はやっと気付く。
俺のこの『異常さ』は、この結晶のせいなのだろう。

俺は俺をこんな体にした当の本人である千石を目で追い、睨んでやる。

(……む、向こうはもう終ってんのか……)

千石を睨んだものの効果は薄かった。千石はもう神父を倒し、そして【バラバラ殺人事件】にみせかけるため、その死体をコトハルが骨の剣でバラバラにしているところだった。
俺は少し焦りを感じて、急いでこの信徒達をこの異常な力で倒そうと向き直る。……だが。

「あ、あれ?」

いつの間にか、どこからか誰かに脳天を撃ち抜かれた信徒達は、見事に全滅していた。そして、この信徒達を殺したのであろう人物は、何故か俺をめがけて銃弾を放った。身体が機敏に察知して避けるが、どうやらその人物が狙っていたのは俺じゃないらしい。

パパパパパパパパパパパパパパパパバッ!

と、死ぬほど地面をめがけて銃弾は撃ち込まれていく。はて、と思って俺が銃弾によって掘られ削られ、どんどん文字のようになっていく地面を見る。

『You are weak!!  (訳︰君は弱いね!!)』

「やかましいわ!!」

こんなふざけた真似をしてくるのはコトハルか奏太くらいだが、コトハルは銃撃戦タイプじゃないので奏太だろう。一発殴りたい。

そして、俺の初陣は、考え事をしていたせいもあるが撃退数一体(しかもそいつは死んでいないので奏太に尻拭いされた)という残念な結果に終わり、戦犯となってしまった。

とても久しぶりの投稿です。
作者である私も内容を忘れているくらいでした……。
<2017/08/31 15:20 東郷哲太>消しゴム
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