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自画像(一)
- 試練 -

えっ・・・・・・。

僕は今この状況が全くわからない。
ここはどこなんだろう。天国かな?
何より、あの謎の老人が猛烈に気になる。

そう思った途端に、その老人が声をかけてきた。
「やっと会えたのう、新井良男くん。」

いやいや、こっちは全く望んでいなかったんだが・・・。まあいいか。会話に付き合うとしよう。

「あなたは誰ですか?」
「わしは人の生死を司る存在じゃ。」
「ここはどこですか?」
「魂の廃棄所への道の途中じゃよ。」
「なぜ僕はあなたのもとに引き付けられたんですか?」

冷静に会話できているのが僕自身もよくわからない。こういう時は妙に冷静になれる。死んだ人間の魂が廃棄されるというのは初めて知ったが・・・。だが、次の答えによってはこの平静さを失うかもしれない。

「それは・・・・」「それは?」
「君はまだ死んではいけないからじゃ。」

はっ?死んではいけない?
なぜだろうか、僕にあの世界への未練などさらさらない。というか、それぞれの人間の一生は予定で決められているのか・・・?

「なぜ、どうしてですか?」
「君にはまだやることが残ってるんじゃよ。」
「というか、そんなのを勝手に決めないで下さい。」
「じゃあ君はなぜこれを選んだのかね?」
「論点をずらさないでください!」
「ずらしてなどおらんわい!!」

はぁ、何なんだこれは・・・・。
こんな茶番はもううんざりだ。ここは早く会話を終わらせよう。ここを通る許可をもらうんだ。

「そんなのは至極簡単な話ですよ。絵以外に得意な事が何もない自分が、本当にいやになったから・・・」
「それとあの世界が嫌い、という2つはあまりシンクロしていない気がするのじゃが、どうかのう?」
「しています!」
「そうか、分かった。だがその場合、君は死ぬ前にもう一度自分の一生すべてを振り返らねばならない。苦痛かもしれないがこれはルールじゃ。それでもやるか?」
「わかりました、やりましょう。」

こうして僕は、自分という生き物について半ば強制的に省みなくてはならなくなった。だがこれが、後に僕の心を大きく動かすなんて、この時は思いもしなかった。

<2016/08/14 00:19 新参者>消しゴム
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