どこまでも広い蒼い海が広がっている。暗黒の闇の中で水晶のような大きな月がぽっかり浮かんでいる。荒涼とした寄せては返す波の音。風にさらわれる砂の粒子。
まるで、自分だけがこの世界に存在していないかのような錯覚に陥る。
深い闇はどこまでも孤独にさせる。
毎日押し寄せる現実。こなすことができずに立ち止ったままで乖離する。
鏡の向こう側の世界が自分の世界なのか、あさましいまでに求める自分の姿が現実なのか……
そこまで、考えて、わたしは目を見張った。
少女が薄い服を風になびかせて、溺れていくように、海に足をつけ、深溜まりに身を投じていく。
(――自殺)
わたしの脳裏に浮かんだ2文字を打ち消すには、深夜の海と少女の揺らぎに似た奇行は、わたしを走らせるには十分だった。
足を砂に取られながら、必死で少女の後を追いかけ、海に入り、深見に潜り込み、細く白い腕をつかみ、抱き寄せるように、海面から二人で顔だし、砂浜に寝かしつけるように助け出した。
少女は細かな呼吸を繰り返し、海水を吐き出した。
「あなた? 大丈夫なの」
わたしは、焦燥した表情をしていたと思う。
年端のいかぬ少女が、その肩に何かを背負い込み、自分を責めるように抗っている。
わたしにはそう思えた。
「なぜ、助けたりしたの……?」
ポツリ呟くように顔を伏せて、哀しい目をして、肩を落とし、追い込まれた獣のように他人の手を振り払う。
「なぜかしら」
わたしは、うやむやに濁す言葉で、じっとしていた。
追い詰めてはいけない。
暗黙の解答が、わたしを支配している。
「気になったからかな?」
まるで、自分だけがこの世界に存在していないかのような錯覚に陥る。
深い闇はどこまでも孤独にさせる。
毎日押し寄せる現実。こなすことができずに立ち止ったままで乖離する。
鏡の向こう側の世界が自分の世界なのか、あさましいまでに求める自分の姿が現実なのか……
そこまで、考えて、わたしは目を見張った。
少女が薄い服を風になびかせて、溺れていくように、海に足をつけ、深溜まりに身を投じていく。
(――自殺)
わたしの脳裏に浮かんだ2文字を打ち消すには、深夜の海と少女の揺らぎに似た奇行は、わたしを走らせるには十分だった。
足を砂に取られながら、必死で少女の後を追いかけ、海に入り、深見に潜り込み、細く白い腕をつかみ、抱き寄せるように、海面から二人で顔だし、砂浜に寝かしつけるように助け出した。
少女は細かな呼吸を繰り返し、海水を吐き出した。
「あなた? 大丈夫なの」
わたしは、焦燥した表情をしていたと思う。
年端のいかぬ少女が、その肩に何かを背負い込み、自分を責めるように抗っている。
わたしにはそう思えた。
「なぜ、助けたりしたの……?」
ポツリ呟くように顔を伏せて、哀しい目をして、肩を落とし、追い込まれた獣のように他人の手を振り払う。
「なぜかしら」
わたしは、うやむやに濁す言葉で、じっとしていた。
追い詰めてはいけない。
暗黙の解答が、わたしを支配している。
「気になったからかな?」
