「母さん!助けて!!」
オレは天使が放った罠にはまってしまった。
母さんは慌ててオレに駆け寄ったが、動揺してこちらを見つめるばかりでなにもしない。
だんだん力が尽きてきたのを感じていた。
「母さん、痛いよ。これはずしてよ」
「ヒル・トラップ‥‥」
母さんが呟くように放った言葉。
後々知るのだが、ヒル・トラップというのは天使が持つ魔法のようなものらしい。悪魔退治のために作られた、秘密兵器と言うもんだ。
なの通り地獄の罠だ。
ヒル・トラップは、上を悪魔が通ったのを感じると、まるでながいしたを伸ばすように悪魔を捕まえる。そして粉々にするのだ。
村人がオレを見つけて母さんに知らせたらしい。そのあと力持ちが数名やって来た。
どうにかオレは救出されたが、罠のせいで幼い小さな翼は、見事に無くなった。もう永遠にオレは翼がないのだ。大事な部分も失った。腕や、脚、目。
ずっとオレは苦しんだ。
家族みんな苦しんだ。
何で苦しんだかって?
ヒル・トラップはそんなんで終わる品物じゃねーんだよ。
ヒル・トラップは掛かった獲物__オレ__を一生苦しめる。
首を締め付けられたり、体が勝手に動かされたり、眠りから覚めなかったり。
みんなオレのことを邪魔物のように扱い始めたのは、そんな事件が起こってから3ヶ月ほどたった頃だ。
そしてとうとう、母さんはオレを捨てた。
下界に置き去りにしたのだ。
今は洞穴で一人素朴に暮らしている。
なにもない。
ただひたすら自分が老うのをまつだけ。
と、いってもまだジュペタは15歳。
___だからジュペタはある決断を下したのだ。
