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君の淡い涙を
- 第三章 -

秋桜が花畑を埋め尽くす頃。

「ジュペタ~、いるぅ~?」
呑気で楽しげな声が洞穴の外から聞こえた。

オレは無表情のまま、言うのだ。
「居る。」

洞穴に入ってくるのはオレより幾つかしたっぽい女の子。

髪は赤毛だがそんな濃くはない。といってもピンクでもない。なんとも言えない美しいかみだ。
瞳は水色でふっくらとした胸が特徴的。
服は勿論いつも変わるが、ふわりとしたワンピースを着てくることが多い。

彼女は両手を合わせてすまなそうに笑う。
「一昨日ぶり。昨日これなくてごめんね」

「良いよ。オレもお前を必要としてねーし」
皮肉まみれの酷いことをオレは言う。

しかし彼女は気にした様子はなく、余計に嬉しそうに声をあげて笑うのだ。
「ならジュペタ君が必要になる私にならなきゃねっ!」

「もういい。帰れ。二度と来るな。」

「えー、せっかく来てあげたのにぃー。あ、そうそう。ジュペタ君さあ、前私が話した木苺のジャム、美味しそうだなーって言ってたじゃない?それ作りすぎたから持ってきたんだよー。ちゃーんとジュペタ君のお口に合わせて甘くしてあるよぉー。」

一人でべらべら彼女は喋るのだ。オレが止めるか無視しないとこいつは止まらない。

「はい、どーぞ♪」

手渡してきたのは木苺のジャム。

「要らん」

「貰って!捨てるの勿体無いじゃないの」

「ほかにも要るだろ。必要としているやつが」

「居ないからジュペタ君に頼ってるの。貰って!捨てるのが勿体無いの!」

(さっきまでオレにあげるっていってたくせに。 )
オレは苦笑いする。
(捨てるのがって、話変わってるじゃねーか)

「分かった。もらえば良いんだろ」
大人しくジャムを受け取った。

彼女はガッツポーズをする。

「んじゃ、頂くぜ」
ビンの蓋を開けると左手の人差し指をジャムに突っ込む。

「行儀悪いな~」

「あむっ‥‥。モグモグ‥‥‥」

「どう?」

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥旨い」

「わーーーい!って、沈黙長すぎー」

彼女はゲラゲラ笑い出す。

「美味しくないのかと思っちゃったあ!」

つられてオレも笑ってしまった。

彼女は嬉しそうに目を細める。
「ジュペタ君、またあしたきていい?」

「知るか」
ぶっきらぼうに言ったが、本当は彼女に来てほしかった。

そんな気持ちを分かってくれるのはこいつだけだ。



少しすると「じゃあね」と、彼女は帰ってしまった。

ふと
二週間前のことを思い出した。

_____あのときの彼女を




<2016/08/18 18:29 栗原小雪>消しゴム
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