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君の淡い涙を
- 第四章 -

二週間ほど前、オレは一人下町に降りていた。



下町ではオレは注目の的っ。なんたって目がひとつなくて手足も一つずつねーんだから。

まあ脚は義足つけてるけどさ。それに右目には眼帯。

オレの服装としては、こうだ。

下はぼろ布のじんべい。その上に黒の裾も丈も長い上着のようなものを羽織ってる。落ちていたから頂いたもんだ。

そこにフードを被せて出来上がり。
まるで怪しいひとみたいだ。





八百屋で品を興味深そうに見て時間を潰している時だった。

「また一人、孤児が死んじまったらしいよ」
ヒソヒソとよく分かんない隣の老婆が、耳打ちしてきた。

「孤児?」

キョトンとしているオレに向かって老婆は言い捨てる。
「あんた、ここはじめてかい?」

「ええ、まあ‥‥‥」
曖昧に答える。

「ふうん、まあ孤児ぐらい分かるだろ?」

「あ、はい」

「この町には孤児がたいりょーにいてねー。前までそんなやつらを引き取る施設があったんだが、赤字づつきで潰れたのよ。
で、孤児たちは自立したんだけど‥」

「したんだけど?」
オレは話の続きを促す。

「半分以上のやつらは仕事がなくて飢えてるんだ。それに比べてどんどん増える孤児。孤児による犯罪も少なくない。自殺はそれよりたくさん。
今のも盗人の孤児が馬車に引かれたんだよ。」

「ふむ、そんなことがあるのですか」

老婆はジャガイモの入った籠をあさりながら呟いた。
「多分干肉屋だ。そこのみぎのかど、曲がるとあるよ」

「あ、ありがとうございます」
丁度知りたかった情報が入ったから、思わずにやけてしまうのを我慢するのに、滅茶苦茶大変だった。

悪魔と言うのは下界に住む人間を主食として喰ったりする。または死神の手下の悪魔は人間を魔界に誘い込む。
どちらにせよ、悪魔は人間の敵。

オレは少し仕事柄違う。

主に罪を犯した死んだ魂を魔界に誘い込む。
理由はしらねえがな。

ついでに言うが、天使はそんな悪魔を退治する。そして人間を正しい方向へと導くのだ。

そして悪魔には必ずなくてはならないものがある。

三つある。

ひとつ目、それは翼だ。
翼がなくては飛べない。下界に降りれないし、降りたとしても戻れない。

だからオレは戻れないのだ。


二つ目、右目。
昔から悪魔の右目は呪われていると言われる。
人間が悪魔の右目に見つめられると死ぬ。

オレは右目がない。だから下界にいても人間をてを出さずには殺せない。

そして三つ目、入れ墨だ。
魔力が籠った入れ墨を、一人前の悪魔はつける。
その入れ墨によって、魔法は異なる。
炎、水、草。他にも色々。

幼い頃魔界にいたオレは、勿論入れ墨はない。

だが

変わりに入れ墨としての力を発揮するものがある。


魔法石だ。

家を出るとき盗んだもの。色は真珠のような純白。
脚の親指より少し大きいものだ。
オレはネックレスとして常に身に付けている。

だが魔法を使ったことはない。

だからどんな魔法を使うのかはわからない。






<2016/08/20 08:05 栗原小雪>消しゴム
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