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桜の距離


(そういえば、あの子来ないね全然)
(は?何言ってんだ倉橋。あの、病弱少女だろ?病院にいるんだから、来るわけないだろ。)
(え、でも、なんか、病院から、抜け出したみたいだよ?まだ見つかってないって。)
(へー)



(朝美!)
俺は、今日あったことを話した。倉橋とのことは話さなかった。
俺と、朝美が出会ったのは、ちょうど、母さんが病気で死んだ日。その日に朝美と出会って、たくさん泣いてたくさん安心してどんな日常よりも、穏やかな時間だった。


(なぁ朝美。そっちに行っちゃダメか?)
朝美は悲しそうな顔で首を横に振る。
俺は、ただ朝美の近くにいたいだけなんだ。ゆっくりと、桜の木の中に入ろうとしたその時、
(悠?)
(倉橋。)
(何してんの?1人で)
(何でもない。)
(そ。じゃね。)

ひどいよな、お前は、ちゃんとここにいるのに。気づいてもらえないなんて。
俺、やっぱり朝美のところに行くよ。1人は、寂しい。朝美のいる桜の木の下に、俺も行く。
あの時の約束を守るために。

<2016/08/19 23:24 桜雨>消しゴム
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