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君と僕の世界
- 目的地 -

「ねえ、僕は君とどこに行くんだろうね」
「さあ、どこでしょうね」
今はここにとどまっている僕らは行き先を知らない。
ここがどこなのかすらもわからない。
僕らはどうしたいのだろうか。
広い世界で何がしたい。
僕はその答えを知らない。
「なんでそう急ぐの?」
彼女の質問の意味が分からなかった。
「急いでる?何を」
「全部よ。体も心もどこか急いでる」
「どんな風に?」
「分からないから聞いてるんじゃない」
そうなのか。
なんでだ。
「私はいなくならないわよ」
彼女の言葉でなんで急いでるのか分かった気がする。
僕は彼女に置いていかれたくないんだ。
そのために急ぐ。
どこか彼女が先に行かないように。
目的もなく、追いかけている。
「君はどこに行きたい」
「私はあなたについていっているだけよ、場所はあなたが決めて」
彼女はどこも目指していない。
そのことに安心した。
同時に不安に思う。
僕はどこに連れて行けばいいのだろう。
この世界のどこに。
「ここじゃダメなの?」
「え?」
「別にここでもいいじゃない。今までと何か変わるの」
そう言えばそうだ。
「よかった。あなたが急いでいたから疲れてたのよ」
「ああ、ごめん」
結局僕はなにを悩んでいたのだろうか。
彼女のことだろうか、僕のことだろうか。
「今度はちゃんとエスコートをするよ」
ただ彼女と一緒に歩いていた。
それだけは確かだった。

だから結局目的地はどうでも良かったのかもしれない。

<2016/10/15 09:38 宇宇尾園>消しゴム
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