病室への慣れた道を走っていると、誰かに腕を掴まれた。
それは、あの時に少し似ていた気がした。
その掴んだ人を確認しようと、後ろを向けば冬実の姿が。
「冬実、ちゃん?」
冬実はちゃンなんてヤメてよ、といつものソファーに
座った。
俺も当たり前のようにその隣に座る。
「ほんと、冬実で良いから」
さん程遠くないし、呼び捨てもし辛いしで。
すると一番簡単なのがあれになる。
「うん……」
何となく恥ずかしくて目を逸らせば、更にイジめるように
本当に可愛いね、なんて言う冬実。
「辛かったら、ごめんね」
俺は顔を上げ、冬実を見た。
「二人には、まだ何も言ってないの?」
二人。
藤井と木崎の事。
俺はその言葉に頷いた。
「二人は、待ってるよ」
「待ってる?」
冬実は頷き、続けるように言った。
「龍から、本心を聞ける時を」
「冬実、また余計な事言ったでしょ…」
「そうだね。冷静に考えたら、かなり余計な事だった
かも」
「何を言ったの」
「龍は悪い子ではないんだよって、言った」
何だかその先に続く言葉が良いものではない気がします。
「今は、信じたくない事が一気に起こって、落ち着いて ないの、とも言った」
俺はついため息を吐いてしまった。
「本当、言って良いかな」
冬実は、嬉しいよ、と隣で頷いた。
「あの、もう……」
いざ言おうとすると、いつもこう。
思ってるだけなら、完璧に言葉になってるのに。
いざ発するとなると、全く言葉が出てこない。
「何?」
そしてこの緊張を煽るような言葉。
「あの……」
多分、この言おうとしてる言葉も関係してるだろう。
言ってはいけないようなら言葉だから。
けど俺は、最後に発する生意気な言葉であると信じ、
深呼吸をして一気にその言葉を発した。
「もう余計な事はしないで……」
自分でも腹が立つ程小さな声だった。
けど、確かにそう言った。
冬実にもそれは届いたようだった。
「そうだよね、ごめん。けどあたしは、応援してるから」
「ごめん、分かってるよ。ありがとう。中、行こう?」
冬実は少し安心したように笑い、ソファーから立った。
そして並んで廊下を歩き、祖母の居る病室の中へ。
「お母さん?」
カーテンの中を覗いた冬実は、クスッ、と笑った。
「え?」
「寝てる」
「そっか。最近、大丈夫?」
「えぇ、全然」
そっか、とは答えたものの、内心かなり心配だった。
この人は俺の前だけでも明るく居ように、なんてバカな事
を考える人だから。
「時間、大丈夫?」
冬実にそう言われ、時計を確認した。
その時計がさしていた時間は決して大丈夫ではなかった。
「あまり、長くなければ…」
じゃあもうちょっと良いかな、と再びあの場所に。
「何?」
「ううん、ただ何となく…」
「そう……」
それから特に会話は無く、時計を確認した頃には真面目に時間がヤバかった。
「あっ、また、帰り、来るね…」
「お、はいはい」
冬実に軽く手を振り、病院を後にした。
それは、あの時に少し似ていた気がした。
その掴んだ人を確認しようと、後ろを向けば冬実の姿が。
「冬実、ちゃん?」
冬実はちゃンなんてヤメてよ、といつものソファーに
座った。
俺も当たり前のようにその隣に座る。
「ほんと、冬実で良いから」
さん程遠くないし、呼び捨てもし辛いしで。
すると一番簡単なのがあれになる。
「うん……」
何となく恥ずかしくて目を逸らせば、更にイジめるように
本当に可愛いね、なんて言う冬実。
「辛かったら、ごめんね」
俺は顔を上げ、冬実を見た。
「二人には、まだ何も言ってないの?」
二人。
藤井と木崎の事。
俺はその言葉に頷いた。
「二人は、待ってるよ」
「待ってる?」
冬実は頷き、続けるように言った。
「龍から、本心を聞ける時を」
「冬実、また余計な事言ったでしょ…」
「そうだね。冷静に考えたら、かなり余計な事だった
かも」
「何を言ったの」
「龍は悪い子ではないんだよって、言った」
何だかその先に続く言葉が良いものではない気がします。
「今は、信じたくない事が一気に起こって、落ち着いて ないの、とも言った」
俺はついため息を吐いてしまった。
「本当、言って良いかな」
冬実は、嬉しいよ、と隣で頷いた。
「あの、もう……」
いざ言おうとすると、いつもこう。
思ってるだけなら、完璧に言葉になってるのに。
いざ発するとなると、全く言葉が出てこない。
「何?」
そしてこの緊張を煽るような言葉。
「あの……」
多分、この言おうとしてる言葉も関係してるだろう。
言ってはいけないようなら言葉だから。
けど俺は、最後に発する生意気な言葉であると信じ、
深呼吸をして一気にその言葉を発した。
「もう余計な事はしないで……」
自分でも腹が立つ程小さな声だった。
けど、確かにそう言った。
冬実にもそれは届いたようだった。
「そうだよね、ごめん。けどあたしは、応援してるから」
「ごめん、分かってるよ。ありがとう。中、行こう?」
冬実は少し安心したように笑い、ソファーから立った。
そして並んで廊下を歩き、祖母の居る病室の中へ。
「お母さん?」
カーテンの中を覗いた冬実は、クスッ、と笑った。
「え?」
「寝てる」
「そっか。最近、大丈夫?」
「えぇ、全然」
そっか、とは答えたものの、内心かなり心配だった。
この人は俺の前だけでも明るく居ように、なんてバカな事
を考える人だから。
「時間、大丈夫?」
冬実にそう言われ、時計を確認した。
その時計がさしていた時間は決して大丈夫ではなかった。
「あまり、長くなければ…」
じゃあもうちょっと良いかな、と再びあの場所に。
「何?」
「ううん、ただ何となく…」
「そう……」
それから特に会話は無く、時計を確認した頃には真面目に時間がヤバかった。
「あっ、また、帰り、来るね…」
「お、はいはい」
冬実に軽く手を振り、病院を後にした。
