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忘れないで


教室に戻れば、藤井と木崎がお出迎え。

「お帰り〜っ」

「ただいま」

「坂城。お疲れ」

「本当、いつもすみません…」

「俺にもそんな孫が欲しいなぁ」

また余計な事を。

この二人だけは、巻き込みたくなかった。

この二人にだけは、あの事も知られたくなかった。

ただ普通に、友達で居られれば良かった。

変に心配されたり、そういうのは苦手だから。

「あの、藤井?痛い…」

「えっ、あ、ごめん。坂城が無事なのが嬉しくて」

「どこに行く設定なんだよ」

本当、どいつもこいつも人の心配ばっかり。

しかも、必要以上に。

人の事なんて放っとけば良いのに。

「はい!仲良しトリオ。席戻れ」

先生のその声に、はーい、と少しバカにしたような二人の声が返す。

俺は軽く頭を下げ、席に戻った。

「あの、変な事聞くけどさ」

「藤井?」

「もう私達って友達で良いんだよね?」

「あんたら次第だが」

もしも、あの二人が俺を友達として見てくれてたら、
あれから初めての友達だろう。

小学や中学での友達は高校が離れたし。

そして高校に上がる前には、あの事件が起こった。

けど、あの事件も無事に解決し、あの店も営業を終え、
これからはこの友達と、安全に過ごせる、そう信じてた。

あの事に関するニュースが、再び取り上げられるまでは。

「もちろん、友達だよ」

「木崎もそう思ってはいるけど?」

「俺も思ってるよ。木崎の事も、藤井の事も。友達だって」


<2016/08/21 11:01 秋の空>消しゴム
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