おためし小説投稿

登録一切不要で小説投稿!
文字サイズ変更 
忘れないで


最近、坂城が凄い普通に話してくれるようになった。

最初の頃の彼は何だったんだろうか。

やっぱり良い人だよね。

私の勘は、確かに当たってた。

「坂城ってさ、あのお店の所に居るの?」

いけない事を聞いてしまった。

そんな事は、すぐに分かった。

坂城の顔が、明らかに変わったから。

「ごめんね、何でも無いよ」

「引っ、越した」

「そうなんだ。え、じゃあ学校来るの大変じゃない?」

だから遅刻してるのかな。

その事を知ってたなら、先生が怒らないのも納得が行くような……

「そんなに遠くじゃないし…」

「そう。ってさ、緊張しないで?」

「別に、緊張なんてしてないし」

うわ、少し前の坂城が帰って来た。

けど私は、私達は。

そんな坂城も受け入れるよ。

そうなるにはきっと、大きな原因が、理由があるんだろうから。

「坂城の家族ってどんな人なの?」

「藤井とか、木崎みたいな人が多い」

「失礼だけど、その家族大丈夫?」

坂城が可愛らしい顔でこちらを見る。

「だって、私とか香みたいな人でしょ?」

「そう。自分の事より、人の事を心配したり優先するようなね」

そう言った坂城の声は、少し寂し気だった。

「良い、家族なんだね」

「仲は、そんなに悪くなかったかな」

「仲は良いのが一番だよね」

あれ?

今、悪くはなかったって言った?

過去形?

今、家庭大変なのかな。

家の事は、自分のも坂城のもあまり言わない方が良いかな。

けど、私と香に家族以外で盛り上がるような話は無い。

「ねぇ香?」

「ん、萌?」

「最近何か盛り上がる話ある?」

「盛り上がる話。最近無駄に平凡だよね」

「そうだよね〜」

「じゃあ俺の貴重な体験話でも聞く?」

なになに。

坂城の貴重体験とか。

怖いんだけど。

過去に何かありそうな人だし。

「なになに〜?聞く〜っ」

「いや、後でな」

坂城は少し悩んだ後に言った。

「何よ、超気になるっつーの」

「まっ、お二人がドラマのようなお話を聞く気になったら俺は話してやる」

そう言って今日も教室を出る坂城。

もう授業始まりますけど。

こういう時はどこ行ってるんだろう。

そんな不思議な行動を取る坂城から、目を離せなかった。


<2016/08/21 13:04 秋の空>消しゴム
Copyright(C) おためし小説投稿 Since2013 All Rights Reserved.