俺は走って家に向かっていた。
この時に向かっていたのは、あの店の上にある家。
やっと玄関の前に着き、鍵を豪快に鍵穴へと突っ込んだ。
そして雑に反時計回りに回す鍵。
その勢いでドアも開け、姉貴の名前を叫んだ。
「あれっ、奏?」
どこか買い物でも行ってるのかな。
そう、安全な方へ考えても、俺には一つ心配があった。
とりあえずリビングへ行き、何となく見た机。
そこには、一枚の紙が置かれていた。
『弟・龍へ
迷惑かけてごめんね。
あたしにお母さんのいないこの世界を生きていく自信は
ないよ。できないよ。
けど龍、お前にはそれができる。
大丈夫。
辛い時、何かあった時は空を見上げろ。
あたしは龍のことが大好きだよ。
あたしは龍を決して忘れない。
だから、龍は一人じゃないことを、忘れないで。
姉貴・奏』
その紙にはそう、姉貴の字で確かに綴られていた。
そして泣くかと思っていた時、俺を呼ぶように風呂の方で
音がした。
俺はそれが本当に最後の、姉貴からの、奏からの
メッセージだと思い、リビングを飛び出し、風呂場へ
向かった。
「か、な…?」
その風呂場に広がっていたのは、真っ赤な世界だった。
湯船に水を張り、その中に手を入れ、それを真っ赤に
染めていた。
俺はとりあえず、既に意識の無い姉貴を寝かせ、手首を、
傷だらけの細い手首をタオルできつく縛った。
そのタオルの隙間からまだ流れる、少し薄い姉貴の血。
俺は、間に合うかなんて考えず、救急車を呼んだ。
そして中に、母親の時と同じ人が入って来た。
その人は姉貴の細い首を触り、首を振った。
何で……
頭の中には、ただそれしか無かった。
姉貴が何でこんな事をしたのか、というよりも。
何でここまで気付いてあげられなかったのか、そんな
意味で。
俺はただ、相当辛い思いでこの世を旅立ったのであろう
当時18歳の姉貴を抱いて、泣いた。
この時に向かっていたのは、あの店の上にある家。
やっと玄関の前に着き、鍵を豪快に鍵穴へと突っ込んだ。
そして雑に反時計回りに回す鍵。
その勢いでドアも開け、姉貴の名前を叫んだ。
「あれっ、奏?」
どこか買い物でも行ってるのかな。
そう、安全な方へ考えても、俺には一つ心配があった。
とりあえずリビングへ行き、何となく見た机。
そこには、一枚の紙が置かれていた。
『弟・龍へ
迷惑かけてごめんね。
あたしにお母さんのいないこの世界を生きていく自信は
ないよ。できないよ。
けど龍、お前にはそれができる。
大丈夫。
辛い時、何かあった時は空を見上げろ。
あたしは龍のことが大好きだよ。
あたしは龍を決して忘れない。
だから、龍は一人じゃないことを、忘れないで。
姉貴・奏』
その紙にはそう、姉貴の字で確かに綴られていた。
そして泣くかと思っていた時、俺を呼ぶように風呂の方で
音がした。
俺はそれが本当に最後の、姉貴からの、奏からの
メッセージだと思い、リビングを飛び出し、風呂場へ
向かった。
「か、な…?」
その風呂場に広がっていたのは、真っ赤な世界だった。
湯船に水を張り、その中に手を入れ、それを真っ赤に
染めていた。
俺はとりあえず、既に意識の無い姉貴を寝かせ、手首を、
傷だらけの細い手首をタオルできつく縛った。
そのタオルの隙間からまだ流れる、少し薄い姉貴の血。
俺は、間に合うかなんて考えず、救急車を呼んだ。
そして中に、母親の時と同じ人が入って来た。
その人は姉貴の細い首を触り、首を振った。
何で……
頭の中には、ただそれしか無かった。
姉貴が何でこんな事をしたのか、というよりも。
何でここまで気付いてあげられなかったのか、そんな
意味で。
俺はただ、相当辛い思いでこの世を旅立ったのであろう
当時18歳の姉貴を抱いて、泣いた。
