龍の事を知りたい。
そんな心を頭が受け入れ、私達は今、病院の前で隠れている。
龍が出てきて私達に気付かないなんて事は無いだろうけど。
「さ〜む〜い〜」
隣で小さくしゃがんで騒ぐ香。
とても低い声で。
こんな可愛い感じの顔してね。
「もう少しだから、頑張ろ?」
それに唸りながら頷く香。
そんな香に後ろから抱きついた。
すると、ふざけんな、という強烈なお言葉を頂いた。
これ以上騒げばいつ出てきても気付かないから大人しく
離れた。
「あっ、誰か出てきたよ?」
「うそっ」
私は体を隠しくれてる何かの陰から少し顔を出した。
「龍だ……」
「え、萌?」
出てきたのは確かに龍だった。
けど、その顔がとても暗かった。
今にも、泣き出しそうな。
そして細く長い腕を目元へ。
「何か、変じゃない?」
私は香のその言葉に頷いた。
その時、龍を支えるあの時の女性。
龍のお母さんのお姉さん。
名前も知らないけど。
普通知らないか。
そんな事を考えている頃、その場にしゃがみこむ龍。
その背中をそっと擦るお姉さん。
「どうしたんだろう」
多分、ここに居る人は龍のおばあちゃん。
先生の今までの龍に対する態度や言葉からそんな気がする。
そのおばあちゃんに、何かあったのだろう。
「うそ、だよね……」
「香?」
香は今日、屋上で龍が言ってた事を教えてくれた。
何で龍にばかりこんなに辛い事が起こるの……
お母さんは知らない人に。
お父さんは、小さい頃に。
でも、それを知って納得した。
何故、龍はあのお店の所に居ないのかという事に。
二人とも居ないなら、お姉さんの所で過ごしてるという事も十分あり得る。
そんな事を考えていたら、龍はもう居なくなっていた。
帰ろうと立ち上がると、そこに見覚えのある顔があって
血管にダメージが。
「龍なら、暫くそっとしておいてあげて」
そう言ってどこかへ向かうお姉さん。
「あのっ」
それを無意識に呼び止める。
「何?」
「何が、あったんですか」
「もう少し、言葉を選ぶべきかもしれないけど……」
私達は少し不安だったけど、その後の言葉を待った。
「あなた達には関係の無い事よ。じゃあね」
その言い方は、龍に良く似ていた。
何かして欲しい事があるのに、それを殺してあの言葉を
言っているような。
なんて、都合良く解釈する私。
けど、私にはそう聞こえた。
それが、私だった。
今までも、今も。
そしてきっと、これからも。
「もう、私達には出来る事は無いのかもね…」
そう、悲しそうに呟く香。
「諦めるの?」
「えっ?」
「諦めるの?龍の事。もう、放っとくの?
傍から離れるの?それが、本当に龍の望んでる事だと
思うの?」
「萌、落ち着いて?」
「それは私のセリフ。香こそ落ち着いてよっ……」
何故か今にも泣きそうだった。
「だって、もう無いよ。だからあの人もそう言ったんでしょ?もう、分かってあげようよ……」
分かってるよ。
そう言いたかったけど、言えなかった。
実際、全く分かってないから。
だからこうなってると、そっちを分かってるから。
私は地面に視線を落とし、強く唇を噛んだ。
放っとくのが、私達に出来る事だなんて。
そんな事、信じたくなかったから。
まだ出来る事があると、そう信じたかったから。
「もう無いよ。私達に、出来る事は。これが、私達が
最後に、どん底に沈んだ彼に出来る事……」
そう言った香の声は、本気だった。
「香っ!」
どこかへ向かう香の制服を掴んだ。
それに、涙を堪えているような顔で振り向く香。
「私は、私は、諦めないから……」
「やめとく事を勧めるわ」
香の声と言葉が、かなりキツくなっている。
けど今の私には、その言葉に頷く事は出来なかった。
「私は止めたわよ。悪いけど、あなたが後悔して私の所へ
来た時に、私があなたにしてあげられる事は何一つとして無い」
そう冷たく言い放ち、再びどこかへと向かって歩き出す香。
私も、それとは逆の方へ歩き出した。
自分が正しいと、思った方へ。
自分の出した、答えの方へ。
それが、答えだと信じて。
自分で見つけた、出した答えだと。
そう、信じて……
そんな心を頭が受け入れ、私達は今、病院の前で隠れている。
龍が出てきて私達に気付かないなんて事は無いだろうけど。
「さ〜む〜い〜」
隣で小さくしゃがんで騒ぐ香。
とても低い声で。
こんな可愛い感じの顔してね。
「もう少しだから、頑張ろ?」
それに唸りながら頷く香。
そんな香に後ろから抱きついた。
すると、ふざけんな、という強烈なお言葉を頂いた。
これ以上騒げばいつ出てきても気付かないから大人しく
離れた。
「あっ、誰か出てきたよ?」
「うそっ」
私は体を隠しくれてる何かの陰から少し顔を出した。
「龍だ……」
「え、萌?」
出てきたのは確かに龍だった。
けど、その顔がとても暗かった。
今にも、泣き出しそうな。
そして細く長い腕を目元へ。
「何か、変じゃない?」
私は香のその言葉に頷いた。
その時、龍を支えるあの時の女性。
龍のお母さんのお姉さん。
名前も知らないけど。
普通知らないか。
そんな事を考えている頃、その場にしゃがみこむ龍。
その背中をそっと擦るお姉さん。
「どうしたんだろう」
多分、ここに居る人は龍のおばあちゃん。
先生の今までの龍に対する態度や言葉からそんな気がする。
そのおばあちゃんに、何かあったのだろう。
「うそ、だよね……」
「香?」
香は今日、屋上で龍が言ってた事を教えてくれた。
何で龍にばかりこんなに辛い事が起こるの……
お母さんは知らない人に。
お父さんは、小さい頃に。
でも、それを知って納得した。
何故、龍はあのお店の所に居ないのかという事に。
二人とも居ないなら、お姉さんの所で過ごしてるという事も十分あり得る。
そんな事を考えていたら、龍はもう居なくなっていた。
帰ろうと立ち上がると、そこに見覚えのある顔があって
血管にダメージが。
「龍なら、暫くそっとしておいてあげて」
そう言ってどこかへ向かうお姉さん。
「あのっ」
それを無意識に呼び止める。
「何?」
「何が、あったんですか」
「もう少し、言葉を選ぶべきかもしれないけど……」
私達は少し不安だったけど、その後の言葉を待った。
「あなた達には関係の無い事よ。じゃあね」
その言い方は、龍に良く似ていた。
何かして欲しい事があるのに、それを殺してあの言葉を
言っているような。
なんて、都合良く解釈する私。
けど、私にはそう聞こえた。
それが、私だった。
今までも、今も。
そしてきっと、これからも。
「もう、私達には出来る事は無いのかもね…」
そう、悲しそうに呟く香。
「諦めるの?」
「えっ?」
「諦めるの?龍の事。もう、放っとくの?
傍から離れるの?それが、本当に龍の望んでる事だと
思うの?」
「萌、落ち着いて?」
「それは私のセリフ。香こそ落ち着いてよっ……」
何故か今にも泣きそうだった。
「だって、もう無いよ。だからあの人もそう言ったんでしょ?もう、分かってあげようよ……」
分かってるよ。
そう言いたかったけど、言えなかった。
実際、全く分かってないから。
だからこうなってると、そっちを分かってるから。
私は地面に視線を落とし、強く唇を噛んだ。
放っとくのが、私達に出来る事だなんて。
そんな事、信じたくなかったから。
まだ出来る事があると、そう信じたかったから。
「もう無いよ。私達に、出来る事は。これが、私達が
最後に、どん底に沈んだ彼に出来る事……」
そう言った香の声は、本気だった。
「香っ!」
どこかへ向かう香の制服を掴んだ。
それに、涙を堪えているような顔で振り向く香。
「私は、私は、諦めないから……」
「やめとく事を勧めるわ」
香の声と言葉が、かなりキツくなっている。
けど今の私には、その言葉に頷く事は出来なかった。
「私は止めたわよ。悪いけど、あなたが後悔して私の所へ
来た時に、私があなたにしてあげられる事は何一つとして無い」
そう冷たく言い放ち、再びどこかへと向かって歩き出す香。
私も、それとは逆の方へ歩き出した。
自分が正しいと、思った方へ。
自分の出した、答えの方へ。
それが、答えだと信じて。
自分で見つけた、出した答えだと。
そう、信じて……
