『私達は助けを求めて手を伸ばす溺れた人間。
あなたはそれを見かけた通行人。いつか、この手を掴んで
助け出してもらうわ?』
木崎の言ってた言葉の意味が、何となく分かった気がした。
溺れた人間。
それは、俺の事だった。
それを彼女は、自分達と言った。
理由はきっと、俺が通行人で助ける方なら、関わると
思ったから。
俺がもし、あの二人に助けを求められたら、出来る事は 全てやる。
そこを知ってるのが木崎だった、って事かな。
俺を良く知ってる人。
そんな人だからこそ、俺は離れなくてはならない。
これ以上二人に迷惑を掛ける訳にはいかない。
もう、十分迷惑なら掛けたつもり。
残りの時間は、残りの学校生活は。
二人で楽しんでもらいたい。
俺はただ、その二人の姿を見ているだけで良かった。
上を見れば、今日も晴れ渡る広い空が。
オレンジ色に染まった、綺麗な空。
そこから今日も、家族達は見守っている。
そんな家族の一人、姉貴に一つ聞きたい事があった。
俺、間違ってないよね。
あの、遠く綺麗な空に届くくらいに強くそう思ってみた。
当たり前のように答えは返ってこない。
何となく笑いそうになりながら一つため息を吐き、家に 向かった。
最後まで歩く事は、無いみたいだけど。
黒い車の隣に、その車が似合わないような優しい笑みを
浮かべる冬実が。
「乗って?」
俺は素直に頷き、車に乗り込んだ。
それから特に会話は無い。
けど、お互い決して緊張など感じていない。
きっと、居たら父親とはこんなふうには居られないだろう。
「どうした?」
そんな沈黙を優しい声で破ったのは冬実だった。
「えっ、何が?」
「何でも無いなら良いんだけどさ?」
そんな優しい声と同時に信号の前で止まる車。
「何も無いよ?俺の事は良いから、今はゆっくりして?」
「そんなに体調悪い訳でもないんだから」
俺でも分かるような嘘。
「信号」
「あぁ、失礼」
だからゆっくりしてれば良いのに。
これじゃお互い疲れる。
別に俺だけなら良いんだけど。
「素直になるって、難しいんだね…」
気付けばそんな、何とも素直な言葉が出ていた。
「そうね。何かあった?」
「それは無い」
本当に素直ね、と笑う冬実。
素直になるのは難しいとか言いながらバレる嘘。
「二人と何かあったの?」
あら、そこまでバレてるの。
何かって程でもないけど。
俺はため息を堪え、車窓から流れる景色を眺めた。
これも景色、と言う程のものではないけど。
それが、この辺。
「大丈夫?着いたけど…」
「あっ、ごめん…」
「何かあったら言いなさいよ?」
「じゃあ早く開けて」
そんな高校生にもなって。
あまり言いたくもないけど本当の親でもないのに。
「ありがとね」
「お疲れ様」
「そっちこそ」
軽く笑ってそう言い、そのまま部屋へ直行した。
あなたはそれを見かけた通行人。いつか、この手を掴んで
助け出してもらうわ?』
木崎の言ってた言葉の意味が、何となく分かった気がした。
溺れた人間。
それは、俺の事だった。
それを彼女は、自分達と言った。
理由はきっと、俺が通行人で助ける方なら、関わると
思ったから。
俺がもし、あの二人に助けを求められたら、出来る事は 全てやる。
そこを知ってるのが木崎だった、って事かな。
俺を良く知ってる人。
そんな人だからこそ、俺は離れなくてはならない。
これ以上二人に迷惑を掛ける訳にはいかない。
もう、十分迷惑なら掛けたつもり。
残りの時間は、残りの学校生活は。
二人で楽しんでもらいたい。
俺はただ、その二人の姿を見ているだけで良かった。
上を見れば、今日も晴れ渡る広い空が。
オレンジ色に染まった、綺麗な空。
そこから今日も、家族達は見守っている。
そんな家族の一人、姉貴に一つ聞きたい事があった。
俺、間違ってないよね。
あの、遠く綺麗な空に届くくらいに強くそう思ってみた。
当たり前のように答えは返ってこない。
何となく笑いそうになりながら一つため息を吐き、家に 向かった。
最後まで歩く事は、無いみたいだけど。
黒い車の隣に、その車が似合わないような優しい笑みを
浮かべる冬実が。
「乗って?」
俺は素直に頷き、車に乗り込んだ。
それから特に会話は無い。
けど、お互い決して緊張など感じていない。
きっと、居たら父親とはこんなふうには居られないだろう。
「どうした?」
そんな沈黙を優しい声で破ったのは冬実だった。
「えっ、何が?」
「何でも無いなら良いんだけどさ?」
そんな優しい声と同時に信号の前で止まる車。
「何も無いよ?俺の事は良いから、今はゆっくりして?」
「そんなに体調悪い訳でもないんだから」
俺でも分かるような嘘。
「信号」
「あぁ、失礼」
だからゆっくりしてれば良いのに。
これじゃお互い疲れる。
別に俺だけなら良いんだけど。
「素直になるって、難しいんだね…」
気付けばそんな、何とも素直な言葉が出ていた。
「そうね。何かあった?」
「それは無い」
本当に素直ね、と笑う冬実。
素直になるのは難しいとか言いながらバレる嘘。
「二人と何かあったの?」
あら、そこまでバレてるの。
何かって程でもないけど。
俺はため息を堪え、車窓から流れる景色を眺めた。
これも景色、と言う程のものではないけど。
それが、この辺。
「大丈夫?着いたけど…」
「あっ、ごめん…」
「何かあったら言いなさいよ?」
「じゃあ早く開けて」
そんな高校生にもなって。
あまり言いたくもないけど本当の親でもないのに。
「ありがとね」
「お疲れ様」
「そっちこそ」
軽く笑ってそう言い、そのまま部屋へ直行した。
