おためし小説投稿

登録一切不要で小説投稿!
文字サイズ変更 
忘れないで


とりあえず、龍が誰と関わってるか。

それを知らないと聞く人も分からない。

一番簡単そうなのが、あの担任なんだよな。

一年の頃の、担任。

何か教えてくれるかな。

昼休みはまだ長い。

この間に、一つだけでも新たな情報を得られたら。

私は必死に龍と関わりの有りそうな人を考えた。

「どうする?もう家族行っちゃう?」

「バカじゃないの!?普通自分の息子の秘密言いますか」

「ですよねぇ〜。もー誰が居るのよ」

「香っ、大丈夫だから。安心して?私がどうにかする」

なんて、強がっちゃってね。

結局後で香に助けられる。

もちろん、私から助けを求めて。

少し開けられた窓から、今日も吹き込む春の風。

まだ春なんだね。

梅雨、まだ来ないでほしいな。

暑くて。

夏みたいな暑さじゃないところがまた。

「で、だーれー?」

「だから待っててって。とりあえず担任行こっか」

「担任?私あの人嫌い」

「バカね。今のに聞いてどうするの。私もあの人は大嫌い。一年の頃の。何か知ってそうでしょ?」

何かって何よ、と言う香を置いて教室を出た。

置いてきたはずの香と。

「あぁ、先生!」

「あれ、坂城と藤井」

私達は辺りを見た。

「バカ!私は、き、さ、き!」

確かに少し似てるんだけどね。

覚えておこうよ。

生徒の名前くらい。

「まぁ良いや。その坂城の事、聞きたいんだけど」

「それはちょっと。秘密?」

「っすよねぇ。ありがとね」

「あぁ。悪いな」

「いえ」

その内、絶対言わせてやりますから。

今回は大人しく引っ込んでおこう。

私達は再び教室に。

そして机に突っ伏す。

「そう言えば、ご本人は?」

「ご本人」

「龍よ」

あ、そう言えば。

居ない気がする。

辺りを見れば、確かに彼は居なかった。

どこ行っちゃったんだろう。

「お二人さん?探偵ごっこは楽しい?」

「えっ?」

自分達でも驚く程綺麗に揃った。

「噂になってるよ?坂城の事調べまくってる奴が居るって。あんた達の事でしょ」

噂になっちゃ、まずいよね。

だから龍、居ないのかな。

「え、それ本当?いつから?」

「ハハッ、本当のようね」

「嘘なの?」

頷く彼女。

名前すら知らない人に遊ばれちゃったよ。

「手伝ってあげよっか」

「悪いけど人は十分。それに、あまり大勢でやれば、それこそ噂になりかねない」

「藤井さんったら、本気ね?」

「まぁね」

って、何で私の名前知ってるわけ?

この人は誰?

名前どころか、顔も……

「まっ、私も彼の事で知ってる事も無いし、手伝えないわね」

「そうねぇ。私もそうだもん」

香のお陰で、私はこうして龍に興味を持てたんだよ?

そう言いたいのに、何故か恥ずかしくて言えなかった。

「やっぱりあの人だな。あの人、何て呼ばれてた?」

「どーだろ?何で?」

「あの人しか思い付かない。だから、もう一回、いやっ、
何回でも行こうかなって」

「諦めの悪い人ね」

あなたにだけは言われたくない。

さっきのあなたはどこへ行ったのかな。

私達は教室を出て、再びさっきの教室へ。

「山ちゃん、大人気じゃん。告白じゃね?」

バカじゃねぇの?という声と共に教室から出てきた先輩。

山ちゃん先輩。

「だから言ったよな。俺からお二人さんに言える事は無い」

「何も知らないんですか?」

「あぁ……」

先輩は結構間をあけてそう言った。

絶対何か知ってるよね。

この人も素直で。

「何か知ってる事があったら教えて下さいよっ……」

香、また泣いちゃうの?

別に良いけど、誤解生まないでね?

私が泣かせたなんてなったら。

男の子が放っとかない。

香、男子人気高いんだから。

「女の涙には弱えんだよなぁ。で教えられる事なら良いのにな」

変な期待させやがって。

「こっちは真剣なんですよ。お願いします」

香、良くここまで。

私以上だな。

やっぱり、香の龍への思いは。

いつか、香のこの思いが、龍へ届きますように。

気付いたら視界から先輩は消え、床だけが視界に広がっていた。


<2016/08/23 12:31 秋の空>消しゴム
Copyright(C) おためし小説投稿 Since2013 All Rights Reserved.