あの、初めて坂城くんと話した日から更に数カ月が経った
この日。
遂に坂城くんが学校に姿を現した。
もちろん教室内は史上最高レベルに盛り上がる。
そしてその歓声は無いもののように私の隣の席に着く
坂城くん。
私は何となく、軽く頭を下げてみた。
それに返ってくるのは、言葉でも笑顔でもない、何か
だった。
返された私も分からないような、何か。
「来た、んだ」
「気が向いたから」
答えてはくれるんだ。
私はこれ以上彼に話し掛ける事は難しく感じ、今日も窓の
外へと視線を逃がした。
あ、こういう時は花瓶だ。
水を変えるフリをして教室から逃げてしまえ。
私は花瓶を巻き込み、教室から逃げた。
どうしよう。
戻りたくないんだけど。
もうとっくに水を変えた花瓶を眺めた。
私は気持ちを落ち着かせるような気持ちで息を強く吐き、
教室へと向かった。
そして教室に入って目に飛び込んできたのは、疑いたく
なるような彼の表情だった。
「えっ……」
これは声出るよ。
彼が、凄く寂しそうに空を見てるんだから。
何かを、願うように。
何かを、求めるように。
私は静かにその彼の後ろを通り、そっと花瓶をいつもの
場所に置いた。
そしていつものように席からそれを眺める。
季節はすっかり冬だというのに。
花は今日も、美しく咲き誇る。
この、小さな花瓶の中で。
力強く、生きている。
私には、とても出来ないだろう。
そんな狭くて、自分で動く事も出来ないような、そんな
場所で。
力強く、生きるなんて事は。
この広い世界でも、出来ていないのに。
この自由な、広い世界でも。
「空、好きなの?」
気付いたら私は坂城くんの隣に立ち、一緒に空を見ていた。
「別に」
あの時の坂城くんはどこへ行ってしまったのか。
旅に出て、迷っちゃったかな。
この世界は、そんな場所だから。
私は席に戻り、そのまま勢い良く突っ伏した。
「坂城くんは?」
「さぁ?教室にも居ないけど?」
「そう……」
心配そうな香の顔。
分かるよ。
分かったよ。
あんな姿というか、顔見たら。
心配にもなるよね。
「まさかの坂城、クール系だよ」
残念そうな女子の声。
「ほんとー。もっと優しい系かと思ったー」
そういうので変わるんだね。
「萌は?」
「は?」
「坂城くん。どうするの?」
「嫌だな、放っとくに決まってんじゃん」
「やっぱり、そうだよね……」
「ねぇ、本当に香は坂城くんの事、何も知らないの?」
香はその言葉に、首を横に振る事は無かった。
「私さ、坂城くんと友達になりたい」
またとんでもない事を。
「はぁ!?」
無理に決まってるでしょ。
あの人、明らかに変な人だし。
「だって最初、萌がハンカチ拾ってもらった時。凄い
優しそうな顔してたじゃない」
「あのね香?顔で全てが分かる訳じゃあないんだわ」
「分かってるよ?分かってるけど、本当に一人にして
良い人なのかなって。何か、何か求めてるものがあるん
じゃないかって」
いやいや、あの一瞬で何が分かるのよ。
絶対関わらない方が利口なタイプだって。
ああいう人は一番扱いが難しい。
まぁ、この私達にとっては全員そんな感じだけど。
「まぁ、香が友達になりたいなら、なれば?私は止めないよ。けど、私はならないからね?」
「う、うん……」
珍しく自信なさ気な香の声と顔。
流石の私でも心配になる。
これ、関わる系?
それだけは絶対ゴメンだ。
人と関わるのは必要最低限にして生きていく。
それが、私の人生の目標なんだから。
しかもこんな事、今くらいしか出来ないし。
仕事なんかするようになればこんなワガママは効かない。
「けど萌?」
「何?」
「少し、力を借りる時もあるかもしれない……」
「別に、良いけど。香と彼の仲が良くなる保証はどこにも
無いわよ?」
香は、キツめに出た私の言葉に、確かに頷いた。
私の、目を見て。
逸らしたくなる程の目で、私を見捉えて。
この日。
遂に坂城くんが学校に姿を現した。
もちろん教室内は史上最高レベルに盛り上がる。
そしてその歓声は無いもののように私の隣の席に着く
坂城くん。
私は何となく、軽く頭を下げてみた。
それに返ってくるのは、言葉でも笑顔でもない、何か
だった。
返された私も分からないような、何か。
「来た、んだ」
「気が向いたから」
答えてはくれるんだ。
私はこれ以上彼に話し掛ける事は難しく感じ、今日も窓の
外へと視線を逃がした。
あ、こういう時は花瓶だ。
水を変えるフリをして教室から逃げてしまえ。
私は花瓶を巻き込み、教室から逃げた。
どうしよう。
戻りたくないんだけど。
もうとっくに水を変えた花瓶を眺めた。
私は気持ちを落ち着かせるような気持ちで息を強く吐き、
教室へと向かった。
そして教室に入って目に飛び込んできたのは、疑いたく
なるような彼の表情だった。
「えっ……」
これは声出るよ。
彼が、凄く寂しそうに空を見てるんだから。
何かを、願うように。
何かを、求めるように。
私は静かにその彼の後ろを通り、そっと花瓶をいつもの
場所に置いた。
そしていつものように席からそれを眺める。
季節はすっかり冬だというのに。
花は今日も、美しく咲き誇る。
この、小さな花瓶の中で。
力強く、生きている。
私には、とても出来ないだろう。
そんな狭くて、自分で動く事も出来ないような、そんな
場所で。
力強く、生きるなんて事は。
この広い世界でも、出来ていないのに。
この自由な、広い世界でも。
「空、好きなの?」
気付いたら私は坂城くんの隣に立ち、一緒に空を見ていた。
「別に」
あの時の坂城くんはどこへ行ってしまったのか。
旅に出て、迷っちゃったかな。
この世界は、そんな場所だから。
私は席に戻り、そのまま勢い良く突っ伏した。
「坂城くんは?」
「さぁ?教室にも居ないけど?」
「そう……」
心配そうな香の顔。
分かるよ。
分かったよ。
あんな姿というか、顔見たら。
心配にもなるよね。
「まさかの坂城、クール系だよ」
残念そうな女子の声。
「ほんとー。もっと優しい系かと思ったー」
そういうので変わるんだね。
「萌は?」
「は?」
「坂城くん。どうするの?」
「嫌だな、放っとくに決まってんじゃん」
「やっぱり、そうだよね……」
「ねぇ、本当に香は坂城くんの事、何も知らないの?」
香はその言葉に、首を横に振る事は無かった。
「私さ、坂城くんと友達になりたい」
またとんでもない事を。
「はぁ!?」
無理に決まってるでしょ。
あの人、明らかに変な人だし。
「だって最初、萌がハンカチ拾ってもらった時。凄い
優しそうな顔してたじゃない」
「あのね香?顔で全てが分かる訳じゃあないんだわ」
「分かってるよ?分かってるけど、本当に一人にして
良い人なのかなって。何か、何か求めてるものがあるん
じゃないかって」
いやいや、あの一瞬で何が分かるのよ。
絶対関わらない方が利口なタイプだって。
ああいう人は一番扱いが難しい。
まぁ、この私達にとっては全員そんな感じだけど。
「まぁ、香が友達になりたいなら、なれば?私は止めないよ。けど、私はならないからね?」
「う、うん……」
珍しく自信なさ気な香の声と顔。
流石の私でも心配になる。
これ、関わる系?
それだけは絶対ゴメンだ。
人と関わるのは必要最低限にして生きていく。
それが、私の人生の目標なんだから。
しかもこんな事、今くらいしか出来ないし。
仕事なんかするようになればこんなワガママは効かない。
「けど萌?」
「何?」
「少し、力を借りる時もあるかもしれない……」
「別に、良いけど。香と彼の仲が良くなる保証はどこにも
無いわよ?」
香は、キツめに出た私の言葉に、確かに頷いた。
私の、目を見て。
逸らしたくなる程の目で、私を見捉えて。
