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煌龍vsパイレーツ


まぁもちろん、夜道は危険だと思っていた。
歩きでは時間がかかるのでバイクで行ったのだが、それは正解だったらしい。
というのは…。

霧夜は幸人を後ろに乗せ、龍次は一人でバイクを走らせていた。
そこで、慣れたあの感覚が起きたのだ。
「つけられてるな」
霧夜は後ろを振り返らずに、呟いた。幸人は「え?」と声をあげ振り向こうとしたが、霧夜がそれをとめた。
「振り返るな」
静かだがはっきりとしたその言い方に、幸人はびっくりして前に向き直った。

…感じる。

後ろから、軽自動車が追いかけて来ている。

そして乗っているのは…三、四人。

「遠回りすんぞ」
「了解」
霧夜が声をかけると、龍次はすぐに頷いた。
二台一緒に、車も入らないような路地に滑り込む。
後ろの方で、急ブレーキとスピンの音がした。
「おお、すげー!」
幸人は、思わず拳を突き上げた。
しかし、霧夜と龍次の顔からは、緊張の色は消えなかった。
枝分かれもしていない一本道の路地が、もうすぐ終わろうとしているのが見えた。

「いや…待ち伏せてやがる」

龍次がそう言った時だった。
突然、無数の発砲音が響き渡った。
「ユキ、伏せろ!」
霧夜は鋭くそう怒鳴り、自分も身を縮めた。それと同時に、二台ともスピードを上げる。
二台のバイクは、精一杯のスピードで、狭い路地から飛び出した。それでもスピードを緩めず、そのまま…

「どりゃああああああああああああああああっ!」
「食らえバイク頭突き2連発ーーーーーーーーーーっ!」

口々に叫びながら、路地前に停まっていた車にドカドカと突っ込んだ。
車の中から銃を構えていた二人の男が、悲鳴を上げて体を引っ込める。
が、一人、手が挟まった。

夜空に、断末魔の叫び声がこだまする。

「いやー、これは痛いよね…」
霧夜はそう言うのと同時に、車の中に手を突っ込んだ。その手には、ナイフが握られていた。
ナイフを突きつけられた運転手の男が、ひっと悲鳴を上げる。
「あんたら、やっぱパイレーツか」
「パイレーツだなぁ。一人のこらずパイレーツだ」
龍次はそう言い、車内で固まっている三人に鋭い視線をぶつけた。
「よーくわかんねぇなぁ。お前ら、冷静さが足りねーぞ」
パイレーツは、冷静さが売りの殺し屋……そのはずである。
しかし、これはーー。

そのとき。

「うるさいっ」
運転手の男が、突然大声をあげた。
「裏切り者が、全部わかったようなクチをきくな!」
そう怒鳴るがはやいか、ナイフを突きつけられているにも関わらず、アクセルを踏み込んだ。
「わっ、あぶなっ」
本日二回目、車にひかれそうになる霧夜。そんな彼を、龍次が慌てて引き寄せた。
車は、マフラーから「嫌がらせ」に相当するような量の排気ガスをふきだしながら、猛スピードで走っていってしまった。
ガスが顔にかかったことも気にせず、三人は呆然と立ちすくんだ。
「……パイレーツの内部って、どうなってんの?」
ぽつり、と、幸人が呟く。
龍次は眉をひそめ、バイクにまたがった。 
「よくわかんねーが…」
消え入りそうな小さな声で、呟く。

「メアリーみたいにならなきゃいいな…」

幸人は聞こえなかったらしく、反応を示さない。
しかし霧夜は、龍次に向かって、小さく頷いた。

<2016/06/08 08:28 三日月兎>消しゴム
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