どこに逃げたかも分からないあの車を追いかけるほど馬鹿ではない。
三人は気持ちを切り替え、西園寺家族の家に来た。
部屋に入ってすぐ、リビングルームがある。
そこの、三人家族にしてはかなり大きなソファに、見覚えのある女性が座っていた。
「ひさしぶりだな、アン」
一番最初に挨拶したのは、霧夜だった。
パイレーツの一員であり、そして、かつて霧夜と龍次の脱走に手を貸した女性。
しかし。
「なんか、あったのか」
龍次が、ぼそっと訊いた。
目に、光がない。というか、生気がない。目の下には熊ができ、顔色は真っ青だった。
アンはひとつ息をつき、とても小さな声で言った。
「パイレーツのみんなが……海外のみんなが、どんどん死んでいく……」
「……どういうこと?」
幸人が、目を丸くしてきく。
「煌龍末梢…できなかったり失敗したりすれば……全滅させられる…」
アンはそう言うなり、顔をおおった。
「メアリーが……私たちの近くでは、メアリーが最初だった……」
考え方や性格は違えど、知っている人が死んでいくのを見るのは、耐え難い。
「もうやだ……消えたい……」
龍次が、霧夜に目配せをする。
霧夜は頷き、時雨にささやいた。
「四人だけにさせてくんないかな?ごめん」
「りょーかい」
時雨はこころよく承諾し、心配そうな雫と澪を連れて、奥の方に引っ込んだ。
「ゆっくりでいい」
龍次は、アンに言った。
「ゆっくりでいいから、話してくれないか」
アンは龍次を見上げ、しばらく視線をさまよわせていたが、やがてこくりと頷いた。
アンの言葉をまとめると、こういうことになる。
ある男から、電話がかかってきた。
内容は、煌龍末梢。失敗したり期限内にできなかったら、ただじゃおかない。
そう告げた男の名は、狩俣慎太郎。
依頼というより、命令のようなものだった。
だが、別に変わったことでもない。しょうもない依頼人は、特別なものでもない。
そう考え、かならず成功させると約束した。
しかし。
ある日、また電話がかかってきた。
ーーお前たちの中に、煌龍の者がいたようだな。
問題ない、そんなこと。裏切り者を惜しむほど馬鹿じゃない。
そう言ったが、狩俣はこちらの言い分を聞こうとしなかった。
ーー信用できん。
そう言って、狩俣は電話を一方的に切った。
そして、その翌日。
アフリカで活動しているパイレーツの仲間が、全滅した。
全員、アジトで惨殺されていた。
ニュースや新聞などのマスコミには、一切漏らされなかった。そのため、この事を知っているのはパイレーツと、政府の関係者のみである。
そして、再び電話がかかってきた。
ーー従わなかったら、全員死んでもらう。このように。
どういうことか。
なぜこんなことをされなくてはならないのだ。
しかも、いきなり、そんな理由で。
理由の筋が通っていれば、こっちも怒らなかっただろう。だが、これは流石にひどい。
しかし、こちらの言い分は聞いてくれない。
そのため、パイレーツは、確実に、そしてはやく煌龍を末梢しなければいけなくなった。
時たつうちに、どんどん仲間が死んでいく。
その圧力で、こちらも、だいぶ疲れきっているようだ。
そしてアンは、煌龍も傷つけたくないし、だからといってパイレーツ全滅も辛く、耐え難い。
その板挟み状態で、精神的にあぶない領域に達しているようだ。
話を聞き終わった三人は、互いに顔を見合わせた。
狩俣慎太郎……一体、何者なのだ?
三人は気持ちを切り替え、西園寺家族の家に来た。
部屋に入ってすぐ、リビングルームがある。
そこの、三人家族にしてはかなり大きなソファに、見覚えのある女性が座っていた。
「ひさしぶりだな、アン」
一番最初に挨拶したのは、霧夜だった。
パイレーツの一員であり、そして、かつて霧夜と龍次の脱走に手を貸した女性。
しかし。
「なんか、あったのか」
龍次が、ぼそっと訊いた。
目に、光がない。というか、生気がない。目の下には熊ができ、顔色は真っ青だった。
アンはひとつ息をつき、とても小さな声で言った。
「パイレーツのみんなが……海外のみんなが、どんどん死んでいく……」
「……どういうこと?」
幸人が、目を丸くしてきく。
「煌龍末梢…できなかったり失敗したりすれば……全滅させられる…」
アンはそう言うなり、顔をおおった。
「メアリーが……私たちの近くでは、メアリーが最初だった……」
考え方や性格は違えど、知っている人が死んでいくのを見るのは、耐え難い。
「もうやだ……消えたい……」
龍次が、霧夜に目配せをする。
霧夜は頷き、時雨にささやいた。
「四人だけにさせてくんないかな?ごめん」
「りょーかい」
時雨はこころよく承諾し、心配そうな雫と澪を連れて、奥の方に引っ込んだ。
「ゆっくりでいい」
龍次は、アンに言った。
「ゆっくりでいいから、話してくれないか」
アンは龍次を見上げ、しばらく視線をさまよわせていたが、やがてこくりと頷いた。
アンの言葉をまとめると、こういうことになる。
ある男から、電話がかかってきた。
内容は、煌龍末梢。失敗したり期限内にできなかったら、ただじゃおかない。
そう告げた男の名は、狩俣慎太郎。
依頼というより、命令のようなものだった。
だが、別に変わったことでもない。しょうもない依頼人は、特別なものでもない。
そう考え、かならず成功させると約束した。
しかし。
ある日、また電話がかかってきた。
ーーお前たちの中に、煌龍の者がいたようだな。
問題ない、そんなこと。裏切り者を惜しむほど馬鹿じゃない。
そう言ったが、狩俣はこちらの言い分を聞こうとしなかった。
ーー信用できん。
そう言って、狩俣は電話を一方的に切った。
そして、その翌日。
アフリカで活動しているパイレーツの仲間が、全滅した。
全員、アジトで惨殺されていた。
ニュースや新聞などのマスコミには、一切漏らされなかった。そのため、この事を知っているのはパイレーツと、政府の関係者のみである。
そして、再び電話がかかってきた。
ーー従わなかったら、全員死んでもらう。このように。
どういうことか。
なぜこんなことをされなくてはならないのだ。
しかも、いきなり、そんな理由で。
理由の筋が通っていれば、こっちも怒らなかっただろう。だが、これは流石にひどい。
しかし、こちらの言い分は聞いてくれない。
そのため、パイレーツは、確実に、そしてはやく煌龍を末梢しなければいけなくなった。
時たつうちに、どんどん仲間が死んでいく。
その圧力で、こちらも、だいぶ疲れきっているようだ。
そしてアンは、煌龍も傷つけたくないし、だからといってパイレーツ全滅も辛く、耐え難い。
その板挟み状態で、精神的にあぶない領域に達しているようだ。
話を聞き終わった三人は、互いに顔を見合わせた。
狩俣慎太郎……一体、何者なのだ?
