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煌龍vsパイレーツ


ライフル使えないんじゃないか?

その言葉を聞いたとき、霧夜はちょうど、水の入ったコップに手を伸ばしているところだった。
驚いたが、確かにそうだと思った。
「だとすると、仲間がいるっていう話は確定だな」
「でもさ、仲間がいるんなら、なんで仲間にやらせなかったのかな」
幸人が、もっともなことを言う。
「なんかメアリーに特別な恨みでも持ってたり?……かぶうっ!」
「わっ、びっくりした!」
いきなりむせかえった霧夜に、幸人は見事にビビって飛び上がった。
「お前、今日はむせる日なのか?二倍dayか?」
龍次が、呆れて言う。
しかし、こちら……霧夜は、のって冗談をぬかす余裕がなかった。
こうしているうちにも、霧夜の白い顔が、どんどん赤くなっていく。
「て、おい、どーした?」
「キリヤ…?」
龍次と幸人だけでなく、アンまでもが異変に気づき、霧夜の顔を覗きこんだ。
「……飲んでみ」
霧夜は、コップを龍次に渡すなり、机に突っ伏した。
龍次はいぶかしげにコップを受けとると、言われた通り、中身を飲んだ。
そして、呆然と霧夜を見つめた。
「……酒か!」
「酒でした…」
龍次の言葉に、霧夜は頷いて顔をあげた。アンは素直に驚き、目を丸くした。
「あ、あんな少量で…!?」
「こいつは、アルコールを分解する酵素がほとんど存在しないんだろうな。飲んだら終わりだ」
「げぇー、気持ちわりぃ…風に当たってくるわ…」
霧夜はそう言い、そそくさと外に出た。
「だ、大丈夫じゃないような気がする…」
幸人がそう言って立ち上がり、霧夜を追って外に出た。
「たぶん、十五分くらいで元に戻ると思うぞー」
その小さな背中に向かって、龍次が声をかける。聞こえているか微妙だが、まあ聞いていなくてもいいような情報なので、二度は言わない。

部屋のなかにいるのは、龍次とアンだけになった。
「……パイレーツに、戻るのか」
ぼそっと、龍次はそう訊いた。
アンはうつむき、小さく頷いた。
「戻ったら、殺されるから。でも……すごく、心配」
「だろうなぁ」
龍次はそう言い、ソファに寄りかかった。
すぐとなりにいるアンは、何故か、慌ててそっぽを向いた。
「何?」
「なんでもない」
「いや、なんでもなくないだろ。いっぺんこっち見ろ」
「やだ」
「素直じゃねぇなぁもう」
龍次はそう言うなり、素早くアンの目の前に移動した。

アンは、泣いていた。

……困ったぞ。
「どうした?」
ためしにきいてみると、アンは乱暴に涙を拭い、吐き捨てるように言った。
「だから、この状況が嫌なんだってば…!」
「は?あぁ、二人だけのこの状況ね」
「違う!そうじゃないっ」
……なぜか怒られた。
「煌龍もパイレーツも狙われてるっていうのが嫌なの!」
「あー、なるほど。それか」
「ことの重要性わかってんの…!?」
「わかることとわからないことがある」
「………。」
アンは沈黙すると、そっぽを向いてしまった。
龍次はため息をつくと、ソファに座り直した。
「俺らがどうにかするさ」
やがて、龍次は言った。
「パイレーツが全滅する前に……俺らが敵を潰す」
その声は、やる気と確信に満ちていた。
アンは龍次を見、そして、僅かに笑った。
「ほんとにやりそう」
「馬鹿か。俺と霧夜と幸人のチームだったら、できないことはほとんどないっての」
「じゃ、期待しとく」
「は?」
いきなり、そしてあっさりと期待の言葉を、しかも原型のままぶつけられた。
アンは、涙を拭いながら、笑って言った。
「期待しとくから。君たちなら、できるんでしょ?」
「お、おう」
ーー……女って、よくわからんな。
それとも、アンが特殊なのか。
よくわからないが、龍次はとりあえず頷いた。

<2016/06/09 17:59 三日月兎>消しゴム
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