日本に居た上杉は、電話を切るなり、パソコンと向き合った。
パソコン画面に、チャットを表示させる。
〈おーい、のっさんいるかー?〉
《いるよ》
返事はすぐに返ってきた。
のっさんとは、本名をノア・マクドナルドという、アメリカの友達である。日本に留学していた頃もあり、日本語を話せるだけでなく、日本語でのチャットもすらすらできる。
そして……上杉並みの腕を持つ、天才外科医。
〈急患や。手ェ空いとるか?〉
《空いてるよ。誰か怪我でも?》
〈煌龍がまた怪我しよった。治療してくれんか〉
《またあいつら怪我したの?よくやるなあ、もう》
ノアは、一目見て呆れているんだろうなと気づくような文章を送ってきた。
ちなみに、煌龍とノアは、数回顔を合わせたことがある。
〈じゃ、手ェ空いとるんやな?〉
《空いてるし、久しぶりにあいつらと会いたいね》
どうやら、やる気はあるようだ。
上杉は安堵のため息をつくと、携帯電話をとった。
ーーまただ。
霧夜は、真っ黒に塗りつぶされた空間にいた。
本当に真っ黒で、上も下もわからない。広さもわからない。……何もわからない。
一歩足を進めると、ほんの小さな音を立て、水のような波紋が広がる。
ーーまた、ここに来たのか。
自分の体を見下ろしてみると、本当に悲惨な状態だった。服はあちこち擦り切れたり裂かれたりしていて、そこから、大量の赤い血が滲んでいる。どの傷も、かなり深かった。
ピション…。
わずかに、そんな音が聞こえた。
ーー来る。
痛くはないが、熱い。そんな体が、金縛りにあったように動かなくなった。
目の前に、そいつは現れた。
黒い髪に、黒い瞳、そして黒ずくめの服を着た、自分だった。
この自分の色を黒と白だけのモノクロにした感じの、そいつ。
こいつが、嫌いだった。
黒い自分が、自分を見つめる。黒い瞳は、暗く、冷たかった。
黒い自分が、自分に手を伸ばす。
避けたいが、体が金縛りにあったように動かず、避けることができない。
それに。
……それに、こんなに苦しんでいたのだ。
苦しい。痛い。耐えられないレベルのこれらから、いち早く解放されたい。
その気持ちが、こんな考えを引き起こした。
ーーもう、どうだっていいや。
黒い自分の白い手が、自分の肩に触れた。
パソコン画面に、チャットを表示させる。
〈おーい、のっさんいるかー?〉
《いるよ》
返事はすぐに返ってきた。
のっさんとは、本名をノア・マクドナルドという、アメリカの友達である。日本に留学していた頃もあり、日本語を話せるだけでなく、日本語でのチャットもすらすらできる。
そして……上杉並みの腕を持つ、天才外科医。
〈急患や。手ェ空いとるか?〉
《空いてるよ。誰か怪我でも?》
〈煌龍がまた怪我しよった。治療してくれんか〉
《またあいつら怪我したの?よくやるなあ、もう》
ノアは、一目見て呆れているんだろうなと気づくような文章を送ってきた。
ちなみに、煌龍とノアは、数回顔を合わせたことがある。
〈じゃ、手ェ空いとるんやな?〉
《空いてるし、久しぶりにあいつらと会いたいね》
どうやら、やる気はあるようだ。
上杉は安堵のため息をつくと、携帯電話をとった。
ーーまただ。
霧夜は、真っ黒に塗りつぶされた空間にいた。
本当に真っ黒で、上も下もわからない。広さもわからない。……何もわからない。
一歩足を進めると、ほんの小さな音を立て、水のような波紋が広がる。
ーーまた、ここに来たのか。
自分の体を見下ろしてみると、本当に悲惨な状態だった。服はあちこち擦り切れたり裂かれたりしていて、そこから、大量の赤い血が滲んでいる。どの傷も、かなり深かった。
ピション…。
わずかに、そんな音が聞こえた。
ーー来る。
痛くはないが、熱い。そんな体が、金縛りにあったように動かなくなった。
目の前に、そいつは現れた。
黒い髪に、黒い瞳、そして黒ずくめの服を着た、自分だった。
この自分の色を黒と白だけのモノクロにした感じの、そいつ。
こいつが、嫌いだった。
黒い自分が、自分を見つめる。黒い瞳は、暗く、冷たかった。
黒い自分が、自分に手を伸ばす。
避けたいが、体が金縛りにあったように動かず、避けることができない。
それに。
……それに、こんなに苦しんでいたのだ。
苦しい。痛い。耐えられないレベルのこれらから、いち早く解放されたい。
その気持ちが、こんな考えを引き起こした。
ーーもう、どうだっていいや。
黒い自分の白い手が、自分の肩に触れた。
