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煌龍vsパイレーツ


霧夜、龍次、幸人の三人は、ある家族の家にいた。
その家族とは……。

「まあ、これくらいのものしか出せませんが、どうぞごゆっくり」
爽やかな笑顔と共に、西園寺雫が紅茶を出した。

そう。たまたまロサンゼルスまで旅行に来ていた、西園寺家族である。

「澪ー、そこにおとーさんのベストかけてあるでしょ?とってきてくれる?」
ソファに座ったまま、時雨が頼む。
澪と呼ばれた、三、四歳の女の子が、むすっとした顔で、黙ったままベストを渡す。
「まだ嫌われてるな、にーちゃん」
苦笑いして霧夜が言うと、時雨はしらけたようにそっぽを向いた。
「お気にのお皿割っちゃった俺に対する当然の報いってか」
「辛いだろ」
「うん、すげー辛い」
龍次の言葉に、時雨はすぐに頷いた。
「にしても……面白い家族だなぁ、おい」
自由奔放でドリフト大好きな時雨。おとなしくて可愛い雫。そして、ちょっとふて気味の澪。
「…どうなんだろうか」
「失礼な!立派で素晴らしい家族じゃないか!」
「じゃあにいちゃん、あんたは奔放な性格なおせ。そのうち浮気騒動に発展すんぞ」
「うるさいわ!てか俺に浮気する度胸あるとおもうか!?」
「あ、ないな」
「うん、ないない」
「たしかにないよね」
「いちいち気にさわること言うな!」
時雨はわりといじられるポジションである。だいたいは弟である霧夜をいじくることが多いが。
「ところで」
霧夜は紅茶を一口飲み、口を開いた。
「なんか最近、おかしいこととか起きてないか?」
「おかしいこと…?」
時雨はきょとんと首をかしげ、「あぁ!」と声をあげた。
「さてはお前ら、また面倒なことに首突っ込んだな!?」
「できれば質問に答えてほしいんだが」
「いや、一切ないな!」
龍次の突っ込みは特に意味をなさず、時雨はきっぱり答えた。
というか、あっさりしすぎて呆れる。
「なになに?何に追っかけられてんの?」
興味津々に訊いてくる時雨。
「なんでもねーよ。ただ参考にってだけで」
「ほんとか~、キリヤ?」
「だからなんでもねーっつーの!てかくっつくな暑い!」
と、ここで、龍次まで参戦してきた。
「熱でもあんのか?」
「蹴っ飛ばすぞコラ」
とうとう、軽くキレた。
「で、ひとついいか?」
龍次はそう言って、スマホを出した。
「スーパースペシャルRPGってゲーム、知ってるか?」
「おう、やってるぞ。レベルなんだ?」
「158」
「高っ!俺43だわ!」
「低っ!」
「しかたねーだろ!俺もちゃんとバイトしてんだっつーの!」
「とーちゃんの金でなんとかなるのに?」
「澪に『だらけとーちゃん像』見せたくないっ」
「愛だねぇ」
「だからうるせーよ!」

盛り上がる時雨の家。
その家の前で、一人の男が、車を停めた。
入り口の目の前ではなく、十数メートル離れた路地に。

その男の目は……たしかに、焦っていた。

<2016/06/07 08:34 三日月兎>消しゴム
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