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縁〜つながり〜


−氷河視点−

「あー、ここが陽と俺の社って事が分かっても戻りたくねぇというか……」
天界に戻ったって。一体どうなるというのか。
誰かが俺のことを探してくれて、求めてくれて。
そんなことがあれば、少なからず戻ろうという意思も芽生えただろうに。
「……寝床は確保出来たけど」
この神社の神主、俺の僅かな神的オーラに気づいたようで、世話をやいてくれるみたいだ。
「……にしても、この町に俺に依頼を持って来る奴はいるのやら……」
暇だし、何をしたらいいのか分からないし、ふらふらしているだけで、この町の住民は何かと声をかけて来て、俺を世話してくれた。
店のおばさんには、なんか「やだ、ちょっとアンタイケメンじゃない!おばさんはいつもここに居るからよろしくね〜」なんて言われた。
工事をしていたイカツイ男性陣には、「男なんだからシャキッとしやがれ!お前はもっと食え!」と焼きそばパンとかいうらしい物を受け取った。
そして、あの女。
初対面のくせに、自己紹介やら俺の名前を褒めるやら、かと思えば嵐のごとく去るし。
人間は、知人はともかく、赤の他人には興味もない。そんな印象だった。
「……いや、この町が異常なのか?」
この世には、都会と田舎という見えない区分があるようだが、そこの違いだろうか。
「おばさんも『助け合わなきゃ生きてけないよ、田舎ではね』なんて言ってたし……」
おばさんの言葉に説得力があるのは何故だろう。
見ず知らずの人間でも、なんかおばさんって凄い気がする。
「んー、悩ましいところだな」
「あっ、氷河、どうも‼︎」
「お前ッ……⁉︎」
髪は全体的には短いが、横髪は長く垂れた茶髪。
柔らかいが、それでもはっきりと耳に届く声。
見間違える、訳がなかった。
それにコイツは、俺の名前を呼んだ。
「そんなに驚きますか……?まさか私、幽霊になっちゃったとか⁉︎」
冗談で言っているのかと思ったが、本気で慌てている様子だった。
「お前……頭が少々よろしくないと見たが」
「お前じゃなくて、別の呼び方、教えました」
馬鹿だろという問いかけには答えないのか。
「その……結希?で、何故ここにいる」
「えっ、私の通学路がここを通るので……今日は学校の下見に行くんですよ」
越して来た人間、ということか。
「氷河こそ、どうしたんですか?前会った時も思ったけど……氷河って神主さん?」
「神主はおっさんだよ。あと、呼び捨てで敬語って、アンバランスなんだけど……」
「面白いでしょう?」
くすくすと笑ってみせる結希。
ああ、やはりコイツは相当の変わり者のようだ。

咲良です。リレー小説の件が、管理人様のブログでも記されていましたが、私と羽衣さんは交流や、近状報告目的でこちらの小説を書いていないということを、ご理解お願いします。
<2016/11/23 18:35 天ノ咲良@合作>消しゴム
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